数学A フェルマーの小定理 問題 5 解説

方針・初手
(1) は二項係数の隣接関係を使い、$p$ と $k$ が互いに素であることに注目する。
(2) は数学的帰納法で示す。$(n+1)^p$ を二項展開すると、途中の二項係数がすべて $p$ の倍数になるため、(1) がそのまま使える。
解法1
まず、$p$ を素数とし、$k=1,2,\dots,p-1$ とする。
二項係数について
$$ k{}_{p}\mathrm{C}_{k}=p{}_{p-1}\mathrm{C}_{k-1} $$
が成り立つ。実際、
$$ \begin{aligned} k{}_{p}\mathrm{C}_{k} &=k\cdot \frac{p!}{k!(p-k)!} \\ &=\frac{p!}{(k-1)!(p-k)!} \\ &=p\cdot \frac{(p-1)!}{(k-1)!(p-k)!} \\ &=p{}_{p-1}\mathrm{C}_{k-1} \end{aligned} $$
である。
右辺は $p$ で割り切れるから、$k{}_{p}\mathrm{C}_{k}$ は $p$ で割り切れる。
ここで $1\leqq k\leqq p-1$ であり、$p$ は素数なので、$p$ と $k$ は互いに素である。したがって、$k{}_{p}\mathrm{C}_{k}$ が $p$ で割り切れるならば、${}_{p}\mathrm{C}_{k}$ 自身が $p$ で割り切れる。
よって、
$$ {}_{p}\mathrm{C}_{k}\equiv 0 \pmod p \qquad (k=1,2,\dots,p-1) $$
である。
次に、すべての自然数 $n$ に対して
$$ n^p-n $$
が $p$ で割り切れることを数学的帰納法で示す。
まず $n=1$ のとき、
$$ 1^p-1=0 $$
であるから、これは $p$ で割り切れる。
次に、ある自然数 $n$ について
$$ n^p-n $$
が $p$ で割り切れると仮定する。このとき、二項定理より
$$ \begin{aligned} (n+1)^p-(n+1) &=\sum_{k=0}^{p}{}_{p}\mathrm{C}_{k}n^k-n-1 \\ &=n^p+\sum_{k=1}^{p-1}{}_{p}\mathrm{C}_{k}n^k+1-n-1 \\ &=(n^p-n)+\sum_{k=1}^{p-1}{}_{p}\mathrm{C}_{k}n^k \end{aligned} $$
である。
帰納法の仮定より、$n^p-n$ は $p$ で割り切れる。また、(1) より $k=1,2,\dots,p-1$ に対して ${}_{p}\mathrm{C}_{k}$ は $p$ で割り切れるので、
$$ {}_{p}\mathrm{C}_{k}n^k $$
もすべて $p$ で割り切れる。
したがって、
$$ (n+1)^p-(n+1) $$
も $p$ で割り切れる。
以上より、数学的帰納法によって、すべての自然数 $n$ に対して $n^p-n$ は $p$ で割り切れる。
解説
(1) の核心は、$p$ が素数であり、$1\leqq k\leqq p-1$ なら $p$ と $k$ が互いに素になる点である。単に ${}_{p}\mathrm{C}_{k}$ の分子に $p$ があるというだけでは、分母との約分の扱いが曖昧になりやすい。そこで
$$ k{}_{p}\mathrm{C}_{k}=p{}_{p-1}\mathrm{C}_{k-1} $$
という整数の等式に直して議論すると安全である。
(2) はフェルマーの小定理の典型的な証明である。$n$ から $n+1$ へ進めるとき、二項展開の中間項の係数 ${}_{p}\mathrm{C}_{k}$ がすべて $p$ の倍数になるため、差が保たれる。つまり、(1) は二項展開における中間項を消すための準備である。
答え
(1)
$$ {}_{p}\mathrm{C}_{k} \quad (k=1,2,\dots,p-1) $$
は、いずれも $p$ で割り切れる。
(2)
すべての自然数 $n$ に対して、
$$ n^p-n $$
は $p$ で割り切れる。
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