数学3 数列・極限 問題 2 解説

方針・初手
漸化式が $x_{n+1} = \frac{x_n}{p x_n + q}$ の形(分数型)で与えられている。このタイプの漸化式は、各項が $0$ でないことを確認したうえで、両辺の逆数をとることで $y_{n+1} = p + q y_n$ のような1次方程式型の漸化式に帰着させるのが定石である。 あるいは、(1) で具体的に求めた項から一般項の規則性を推測し、数学的帰納法で証明する方針でも解くことができる。 (3) の極限計算では、(2) で求めた一般項の分母に含まれる指数関数 $2^{n-1}$ の係数が $0$ になるかどうかで場合分けが必要になる点に注意する。
解法1
(1)
与えられた漸化式 $x_{n+1} = \frac{x_n}{3x_n + 2}$ を順次用いて計算する。
$$x_1 = a$$
$$x_2 = \frac{x_1}{3x_1 + 2} = \frac{a}{3a + 2}$$
$$x_3 = \frac{x_2}{3x_2 + 2} = \frac{\frac{a}{3a+2}}{3\left(\frac{a}{3a+2}\right) + 2} = \frac{a}{3a + 2(3a+2)} = \frac{a}{9a + 4}$$
$$x_4 = \frac{x_3}{3x_3 + 2} = \frac{\frac{a}{9a+4}}{3\left(\frac{a}{9a+4}\right) + 2} = \frac{a}{3a + 2(9a+4)} = \frac{a}{21a + 8}$$
(2)
$a = 0$ のとき、漸化式より常に $x_n = 0$ となる。これは後述する一般項の式において $a=0$ とした場合と一致する。
以下、$a \neq 0$ のときを考える。 ある自然数 $n$ に対して $x_n = 0$ になると仮定する。そのような最小の $n$ を $k$ ($k \geqq 2$) とおくと、
$$x_k = \frac{x_{k-1}}{3x_{k-1} + 2} = 0$$
これより $x_{k-1} = 0$ となり、$k$ が最小であることに矛盾する。したがって、すべての自然数 $n$ について $x_n \neq 0$ である。
漸化式の両辺の逆数をとると、
$$\frac{1}{x_{n+1}} = \frac{3x_n + 2}{x_n} = 3 + 2 \frac{1}{x_n}$$
ここで $y_n = \frac{1}{x_n}$ とおくと、
$$y_{n+1} = 2y_n + 3$$
これを変形して、
$$y_{n+1} + 3 = 2(y_n + 3)$$
数列 $\{y_n + 3\}$ は、初項 $y_1 + 3 = \frac{1}{a} + 3 = \frac{3a+1}{a}$、公比 $2$ の等比数列であるから、
$$y_n + 3 = \frac{3a+1}{a} \cdot 2^{n-1}$$
$$y_n = \frac{3a+1}{a} \cdot 2^{n-1} - 3 = \frac{(3a+1)2^{n-1} - 3a}{a}$$
$x_n = \frac{1}{y_n}$ より、
$$x_n = \frac{a}{(3a+1)2^{n-1} - 3a}$$
この結果は、$a=0$ のときも $x_n = 0$ となり成立する。
(3)
(2) で求めた一般項において、$n \to \infty$ のときの極限を考える。分母の $2^{n-1}$ の係数である $3a+1$ が $0$ になるかどうかで場合分けを行う。
(i) $3a+1 = 0$、すなわち $a = -\frac{1}{3}$ のとき
一般項の式に代入すると、
$$x_n = \frac{-\frac{1}{3}}{0 \cdot 2^{n-1} - 3\left(-\frac{1}{3}\right)} = \frac{-\frac{1}{3}}{1} = -\frac{1}{3}$$
したがって、極限値は、
$$\lim_{n \to \infty} x_n = -\frac{1}{3}$$
(ii) $3a+1 \neq 0$、すなわち $a \neq -\frac{1}{3}$ のとき
一般項の分母と分子を $2^{n-1}$ で割ると、
$$x_n = \frac{\frac{a}{2^{n-1}}}{3a+1 - \frac{3a}{2^{n-1}}}$$
$n \to \infty$ のとき $\frac{1}{2^{n-1}} \to 0$ であるから、
$$\lim_{n \to \infty} x_n = \frac{0}{3a+1 - 0} = 0$$
解法2
(1)
解法1と同様に計算し、以下の結果を得る。
$$x_2 = \frac{a}{3a + 2}, \quad x_3 = \frac{a}{9a + 4}, \quad x_4 = \frac{a}{21a + 8}$$
(2)
(1) の結果において、分母の $a$ の係数と定数項の規則性に注目する。
$$\begin{aligned} x_2 &= \frac{a}{3(2^1-1)a + 2^1} \\ x_3 &= \frac{a}{3(2^2-1)a + 2^2} \\ x_4 &= \frac{a}{3(2^3-1)a + 2^3} \end{aligned}$$
これらより、一般項 $x_n$ は次のように推測できる。
$$x_n = \frac{a}{3(2^{n-1}-1)a + 2^{n-1}} = \frac{a}{(3a+1)2^{n-1} - 3a}$$
これを数学的帰納法によって証明する。
(i) $n=1$ のとき
$$x_1 = \frac{a}{(3a+1)\cdot 2^0 - 3a} = \frac{a}{3a+1-3a} = a$$
となり、推測した式は成立する。
(ii) $n=k$ ($k \geqq 1$) のとき
$$x_k = \frac{a}{(3a+1)2^{k-1} - 3a}$$
が成り立つと仮定する。$n=k+1$ のとき、与えられた漸化式より、
$$\begin{aligned} x_{k+1} &= \frac{x_k}{3x_k + 2} \\ &= \frac{\frac{a}{(3a+1)2^{k-1} - 3a}}{3 \cdot \frac{a}{(3a+1)2^{k-1} - 3a} + 2} \\ &= \frac{a}{3a + 2\{(3a+1)2^{k-1} - 3a\}} \\ &= \frac{a}{3a + (3a+1)2^k - 6a} \\ &= \frac{a}{(3a+1)2^k - 3a} \end{aligned}$$
これは $n=k+1$ のときも推測した式が成り立つことを示している。 したがって、(i)、(ii) より、すべての自然数 $n$ について推測は正しく、一般項は次のように求まる。
$$x_n = \frac{a}{(3a+1)2^{n-1} - 3a}$$
(3)
解法1と同様に、$a = -\frac{1}{3}$ と $a \neq -\frac{1}{3}$ で場合分けを行い、極限値を求める。
解説
分数型の漸化式 $x_{n+1} = \frac{r x_n}{p x_n + q}$ は、両辺の逆数をとることで、数学Bで学ぶ基本的な漸化式の形に持ち込むことができる典型問題である。ただし、逆数をとる操作を行うためには「分母が $0$ にならないこと」すなわち「すべての項が $0$ でないこと」を保証する必要があり、答案ではその点に言及することが求められる。 また、(3) の極限において、求めた一般項の中に $2^{n-1}$ が含まれているが、その係数が $0$ になる場合(本問では $a = -1/3$ の場合)は極限値が変わるため、場合分けが必要である。このような「文字定数を含む数列の極限」では、最高位の項が消滅するケースを見落としやすいので注意が必要である。
答え
(1) $x_2 = \frac{a}{3a + 2}$, $x_3 = \frac{a}{9a + 4}$, $x_4 = \frac{a}{21a + 8}$
(2) $x_n = \frac{a}{(3a+1)2^{n-1} - 3a}$
(3) $a = -\frac{1}{3}$ のとき $-\frac{1}{3}$、$a \neq -\frac{1}{3}$ のとき $0$
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