数学3 数列・極限 問題 60 解説

方針・初手
与えられた漸化式から定まる数列の極限を求める問題である。
(1) は方程式 $x = 3 - \frac{1}{x^2}$ の実数解の個数と配置を、関数 $f(x) = x - 3 + \frac{1}{x^2}$ の増減を調べて評価する。
(2) は具体的に $a_2, a_3$ を計算し、$n \geqq 3$ 以降の振る舞いを数学的帰納法で示す。
(3) は極限を求めるための準備として、数列の各項と目標値 $c$ との差の絶対値を評価する。漸化式 $a_{n+1} = f(a_n)$ と $c = f(c)$ の辺々を引いて変形する直接計算か、平均値の定理を用いる手法が有効である。
(4) は (3) の結果を繰り返し用いて、はさみうちの原理に持ち込む典型的な流れとなる。
解法1
(1)
方程式 $x = 3 - \frac{1}{x^2}$ は $x = 0$ を解にもたないため、$x \neq 0$ としてよい。
$$f(x) = x - 3 + \frac{1}{x^2}$$
とおく。$f(x)$ を微分すると、
$$f'(x) = 1 - \frac{2}{x^3} = \frac{x^3 - 2}{x^3}$$
となる。$f'(x) = 0$ となるのは $x = \sqrt[3]{2}$ のときである。$f(x)$ の増減は以下のようになる。
$x < 0$ の範囲では $f'(x) > 0$ であるため、$f(x)$ は単調増加する。
$$\lim_{x \to -\infty} f(x) = -\infty, \quad \lim_{x \to -0} f(x) = \infty$$
であるから、$x < 0$ の範囲にただ1つの実数解をもつ。
$x > 0$ の範囲において、増減表は次のようになる。
$$\begin{array}{c|c|c|c|c} \hline x & (0) & \cdots & \sqrt[3]{2} & \cdots \\ \hline f'(x) & & - & 0 & + \\ \hline f(x) & (\infty) & \searrow & \text{極小} & \nearrow \\ \hline \end{array}$$
ここで、$x = 2$ のときの $f(x)$ の値を調べる。
$$f(2) = 2 - 3 + \frac{1}{2^2} = -\frac{3}{4} < 0$$
$x \geqq 2$ の範囲では $f'(x) > 0$ であるから $f(x)$ は単調増加する。
$$\lim_{x \to \infty} f(x) = \infty$$
であることと $f(2) < 0$ であることから、中間値の定理より $x > 2$ の範囲にただ1つの実数解をもつ。
また、$0 < x < \sqrt[3]{2}$ の範囲において、$f(x)$ は単調減少であり、
$$\lim_{x \to +0} f(x) = \infty, \quad f(\sqrt[3]{2}) < f(2) < 0$$
であるから、$0 < x < \sqrt[3]{2}$ の範囲にもただ1つの実数解をもつ。
以上より、$f(x) = 0$ の実数解は3つ存在し、それぞれ $x < 0$, $0 < x < \sqrt[3]{2}$, $x > 2$ の範囲にある。
最も大きい実数解を $c$ とおくので、$c$ は $x > 2$ の範囲にある解である。したがって、$c > 2$ が示された。
(2)
漸化式より、順に計算すると、
$$\begin{aligned} a_1 &= \frac{1}{2} \\ a_2 &= 3 - \frac{1}{(1/2)^2} = 3 - 4 = -1 \\ a_3 &= 3 - \frac{1}{(-1)^2} = 3 - 1 = 2 \end{aligned}$$
となる。$n \geqq 3$ のとき、$a_n \geqq 2$ であることを数学的帰納法によって示す。
(i) $n = 3$ のとき
$a_3 = 2 \geqq 2$ となり、成り立つ。
(ii) $n = k$ ($k \geqq 3$) のとき
$a_k \geqq 2$ が成り立つと仮定する。このとき $a_k^2 \geqq 4$ より、
$$0 < \frac{1}{a_k^2} \leqq \frac{1}{4}$$
であるから、
$$a_{k+1} = 3 - \frac{1}{a_k^2} \geqq 3 - \frac{1}{4} = \frac{11}{4} > 2$$
となり、$n = k+1$ のときも成り立つ。
(i), (ii) より、すべての整数 $n \geqq 3$ について $a_n \geqq 2$ であることが示された。
(3)
$c$ は方程式 $x = 3 - \frac{1}{x^2}$ の解であるから、
$$c = 3 - \frac{1}{c^2}$$
を満たす。漸化式 $a_{n+1} = 3 - \frac{1}{a_n^2}$ と辺々引くと、
$$a_{n+1} - c = \left( 3 - \frac{1}{a_n^2} \right) - \left( 3 - \frac{1}{c^2} \right) = \frac{1}{c^2} - \frac{1}{a_n^2} = \frac{a_n^2 - c^2}{c^2 a_n^2} = \frac{(a_n + c)(a_n - c)}{c^2 a_n^2}$$
両辺の絶対値をとると、
$$|a_{n+1} - c| = \frac{|a_n + c|}{c^2 a_n^2} |a_n - c|$$
ここで、$n \geqq 3$ のとき (2) より $a_n \geqq 2$ であり、(1) より $c > 2$ である。よって $a_n + c > 0$ であるから、絶対値を外して式を変形すると、
$$\frac{a_n + c}{c^2 a_n^2} = \frac{1}{c^2 a_n} + \frac{1}{c a_n^2}$$
$a_n \geqq 2, c > 2$ を用いると、
$$\frac{1}{c^2 a_n} < \frac{1}{2^2 \cdot 2} = \frac{1}{8}$$
$$\frac{1}{c a_n^2} < \frac{1}{2 \cdot 2^2} = \frac{1}{8}$$
したがって、
$$\frac{a_n + c}{c^2 a_n^2} < \frac{1}{8} + \frac{1}{8} = \frac{1}{4}$$
ゆえに、$n \geqq 3$ のとき、
$$|a_{n+1} - c| \leqq \frac{1}{4} |a_n - c|$$
が示された(等号は成り立たないが、不等式として成立する)。
(4)
(3) の結果を繰り返し用いると、$n \geqq 3$ に対して、
$$|a_n - c| \leqq \frac{1}{4} |a_{n-1} - c| \leqq \left(\frac{1}{4}\right)^2 |a_{n-2} - c| \leqq \cdots \leqq \left(\frac{1}{4}\right)^{n-3} |a_3 - c|$$
が成り立つ。ここで、
$$\lim_{n \to \infty} \left(\frac{1}{4}\right)^{n-3} = 0$$
であり、$|a_3 - c|$ は定数であるから、
$$\lim_{n \to \infty} \left(\frac{1}{4}\right)^{n-3} |a_3 - c| = 0$$
となる。したがって、はさみうちの原理より、
$$\lim_{n \to \infty} |a_n - c| = 0$$
よって、$\lim_{n \to \infty} a_n = c$ が示された。
解法2
(3) の別解として、平均値の定理を用いた方法を示す。
$g(x) = 3 - \frac{1}{x^2}$ とおくと、$g(x)$ は $x \neq 0$ で微分可能であり、
$$g'(x) = \frac{2}{x^3}$$
である。$n \geqq 3$ のとき、(1), (2) より $a_n \geqq 2$, $c > 2$ である。
$a_n \neq c$ のとき、区間 $[a_n, c]$ または $[c, a_n]$ において関数 $g(x)$ に平均値の定理を適用すると、
$$\frac{g(a_n) - g(c)}{a_n - c} = g'(t)$$
を満たす実数 $t$ が $a_n$ と $c$ の間に存在する。
$t$ は $2$ 以上の値 $a_n$ と $2$ より大きい値 $c$ の間にあるため、$t > 2$ である。よって、
$$|g'(t)| = \frac{2}{t^3} < \frac{2}{2^3} = \frac{1}{4}$$
となる。$g(a_n) = a_{n+1}$, $g(c) = c$ であるから、
$$\frac{|a_{n+1} - c|}{|a_n - c|} < \frac{1}{4}$$
両辺に $|a_n - c| > 0$ を掛けて、
$$|a_{n+1} - c| < \frac{1}{4} |a_n - c|$$
$a_n = c$ のときは、$a_{n+1} = 3 - \frac{1}{c^2} = c$ となり、$|a_{n+1} - c| = 0$, $\frac{1}{4}|a_n - c| = 0$ であるから、不等式は等号付きで $0 \leqq 0$ となり成立する。
以上より、$n \geqq 3$ のとき、
$$|a_{n+1} - c| \leqq \frac{1}{4} |a_n - c|$$
が示された。
解説
非線形な漸化式 $a_{n+1} = f(a_n)$ によって定まる数列の極限を求める、大学入試の頻出テーマである。
極限値が方程式 $x = f(x)$ の解になることを予測し、目標となる値 $c$ と数列の項との差 $a_n - c$ を評価して $0$ に収束することを示すのが定石である。この際、解法1 のように直接代入して因数分解などにより差を作り出す方法と、解法2 のように関数として捉えて平均値の定理を用いる方法の2パターンを使いこなせるようにしておきたい。
本問では初項から数項は $2$ 未満の値や負の値をとるが、$n=3$ 以降は値の範囲が安定する。帰納法を用いる (2) では、$a_1$ からの推移を自ら計算して $a_3 \geqq 2$ を見つける必要がある点が実践的である。
答え
(1) $f(x) = x - 3 + \frac{1}{x^2}$ とおき増減を調べ、最大の実数解 $c$ が $c > 2$ の範囲に存在することを示した。
(2) 数学的帰納法により、$n \geqq 3$ で $a_n \geqq 2$ となることを示した。
(3) 直接計算(または平均値の定理)により、$|a_{n+1} - c| \leqq \frac{1}{4}|a_n - c|$ を示した。
(4) (3) の不等式を繰り返し用い、はさみうちの原理から $\lim_{n \to \infty} a_n = c$ を示した。
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





