数学3 数列・極限 問題 62 解説

方針・初手
散歩する日を「〇」、散歩しない日を「×」として、$n$ 日間の予定表の総数 $f_n$ に関する漸化式を立てる。 $n$ 日間の予定表について、「〇」となる日で期間を区切ることで、前後の予定の組み方が互いに制約を受けず独立になることに着目する。
解法1
散歩する日を「〇」、散歩しない日を「×」と表す。 条件より、×は2日以上連続せず、$n$ 日目は必ず〇である。 $n \ge 3$ のとき、$n$ 日間の予定表の最後の2日間は「〇〇」または「×〇」のいずれかである。
(i) 最後が「〇〇」で終わる場合 $n-1$ 日目が〇であるから、初日から $n-1$ 日目までの予定表は、$n-1$ 日目が〇であるという条件を満たす。このような予定表の総数は $f_{n-1}$ 通りである。
(ii) 最後が「×〇」で終わる場合 $n-1$ 日目が×であり、×は連続しないため $n-2$ 日目は必ず〇となる。したがって、初日から $n-2$ 日目までの予定表は、$n-2$ 日目が〇であるという条件を満たす。このような予定表の総数は $f_{n-2}$ 通りである。
これらは互いに排反であるから、次の漸化式が成り立つ。
$$f_n = f_{n-1} + f_{n-2} \quad (n \ge 3)$$
また、条件より $f_1=1, f_2=2$ であるから、順に項を求めると以下のようになる。 $f_3 = 3$ $f_4 = 5$ $f_5 = 8$ $f_6 = 13$ $f_7 = 21$ $f_8 = 34$ $f_9 = 55$ $f_{10} = 89$ $f_{11} = 144$ $f_{12} = 233$
次に、$n \ge 5$ において、$n$ 日間の予定表のうち「4日目が〇」であるものの総数を考える。 4日目が〇に確定している場合、1〜4日目の予定と5〜$n$ 日目の予定は、×が連続しないという条件に関して互いに干渉しない(5日目に〇と×のどちらを置いても条件に反しない)。したがって、前半と後半を独立に考えることができる。
- 前半(1〜4日目):最後(4日目)が〇となる4日間の予定表であるから、$f_4$ 通り。
- 後半(5〜$n$ 日目):初日(5日目)は〇でも×でもよく、最後($n$ 日目)が〇となる $n-4$ 日間の予定表であるから、$f_{n-4}$ 通り。
積の法則により、4日目が〇であるような $n$ 日間の予定表の総数は $f_4 f_{n-4}$ 通りである。 したがって、$n \ge 5$ のとき、確率 $p_n$ は次のように表せる。
$$p_n = \frac{f_4 f_{n-4}}{f_n} = \frac{5 f_{n-4}}{f_n}$$
(1) $n=12$ のとき、
$$p_{12} = \frac{5 f_8}{f_{12}} = \frac{5 \times 34}{233} = \frac{170}{233}$$
(2) 求める極限は、
$$\lim_{n \to \infty} p_n = \lim_{n \to \infty} 5 \cdot \frac{f_{n-4}}{f_n} = \lim_{n \to \infty} 5 \left( \frac{f_n}{f_{n-1}} \cdot \frac{f_{n-1}}{f_{n-2}} \cdot \frac{f_{n-2}}{f_{n-3}} \cdot \frac{f_{n-3}}{f_{n-4}} \right)^{-1}$$
ここで、与えられた条件 $\lim_{n \to \infty} \frac{f_{n+1}}{f_n} = \frac{1+\sqrt{5}}{2}$ を用いる。 $\alpha = \frac{1+\sqrt{5}}{2}$ とおくと、$\alpha$ は方程式 $x^2-x-1=0$ の正の解であるから $\alpha^2 = \alpha+1$ を満たす。 上記の各分数の極限は $\alpha$ に収束するから、
$$\lim_{n \to \infty} \left( \frac{f_n}{f_{n-1}} \cdot \frac{f_{n-1}}{f_{n-2}} \cdot \frac{f_{n-2}}{f_{n-3}} \cdot \frac{f_{n-3}}{f_{n-4}} \right) = \alpha^4$$
$\alpha^4$ を次数下げして計算する。
$$\begin{aligned} \alpha^4 &= (\alpha^2)^2 \\ &= (\alpha+1)^2 \\ &= \alpha^2 + 2\alpha + 1 \\ &= (\alpha+1) + 2\alpha + 1 \\ &= 3\alpha + 2 \\ &= 3 \left( \frac{1+\sqrt{5}}{2} \right) + 2 \\ &= \frac{7+3\sqrt{5}}{2} \end{aligned}$$
よって、極限値は次のように求まる。
$$\begin{aligned} \lim_{n \to \infty} p_n &= \frac{5}{\frac{7+3\sqrt{5}}{2}} \\ &= \frac{10}{7+3\sqrt{5}} \\ &= \frac{10(7-3\sqrt{5})}{49 - 45} \\ &= \frac{5(7-3\sqrt{5})}{2} \end{aligned}$$
次に、この極限値と $0.7 = \frac{7}{10}$ の大小を比較する。
$$\begin{aligned} \frac{5(7-3\sqrt{5})}{2} - \frac{7}{10} &= \frac{25(7-3\sqrt{5}) - 7}{10} \\ &= \frac{168 - 75\sqrt{5}}{10} \end{aligned}$$
$168 > 0, 75\sqrt{5} > 0$ であり、それぞれの2乗を計算すると、 $168^2 = 28224$ $(75\sqrt{5})^2 = 75^2 \times 5 = 5625 \times 5 = 28125$ $28224 > 28125$ より $168 > 75\sqrt{5}$ が成り立つから、
$$\frac{168 - 75\sqrt{5}}{10} > 0$$
したがって、極限値は $0.7$ より大きい。
解説
フィボナッチ数列を背景とする場合の数と確率の典型問題である。 (1) では、事象を「ある特定の日(今回は4日目)」で分断して考えることが重要になる。4日目が「散歩する日」と決まっているため、5日目の予定は4日目以前の予定に制限されず、独立事象のように積の法則が適用できる。 (2) の極限計算では、黄金比 $\alpha$ が満たす関係式 $\alpha^2 = \alpha+1$ を用いて次数下げを行うと計算がスムーズに進む。平方根を含む無理数と有理数の大小比較は、差をとって正負を判定する際に「正の数にしてから2乗して比べる」という定石手法が問われている。
答え
(1)
$$p_{12} = \frac{170}{233}$$
(2)
$$\lim_{n \to \infty} p_n = \frac{5(7-3\sqrt{5})}{2}$$
また、この極限値は $0.7$ より大きい。
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