数学A 確率 問題 72 解説

方針・初手
格子を座標で表す。地点 $O$ を $(0,0)$ とし,東向きを $x$ 軸の正方向,北向きを $y$ 軸の正方向とする。
このとき
$$ O=(0,0),\quad Q=(5,5),\quad S=(2,2),\quad T=(3,2),\quad V=(2,3),\quad U=(3,3),\quad W=(5,2) $$
である。
$O$ から $Q$ への最短経路では,東へ $5$ 回,北へ $5$ 回だけ進む。したがって,経路数は東に進む位置の選び方として数えられる。
解法1
(1)
$O$ から $Q$ への最短経路の総数は
$$ {}_{10}\mathrm{C}_{5}=252 $$
である。
このうち,地点 $S$ を通る経路数を数える。
$O$ から $S=(2,2)$ までは東 $2$ 回,北 $2$ 回なので
$$ {}_{4}\mathrm{C}_{2}=6 $$
通りである。また,$S$ から $Q=(5,5)$ までは東 $3$ 回,北 $3$ 回なので
$$ {}_{6}\mathrm{C}_{3}=20 $$
通りである。よって,$S$ を通る経路数は
$$ 6\cdot 20=120 $$
である。
同様に,地点 $T=(3,2)$ を通る経路数は
$$ {}_{5}\mathrm{C}_{2}{}_{5}\mathrm{C}_{2}=10\cdot 10=100 $$
である。
ただし,$S$ と $T$ の両方を通る経路は重複して引かれる。最短経路では西や南には進まないので,両方を通る場合は必ず $S$ から $T$ の順に通る。
したがって,両方を通る経路数は
$$ {}_{4}\mathrm{C}_{2}\cdot 1\cdot {}_{5}\mathrm{C}_{2} =6\cdot 1\cdot 10 =60 $$
である。
よって,$S,T$ のいずれも通らない経路数は
$$ 252-120-100+60=92 $$
である。
(2)
$S,T,U,V$ のいずれも通らない最短経路を数える。地点 $(i,j)$ までの条件を満たす最短経路数を $a_{i,j}$ とおく。
通ってはいけない点では
$$ a_{2,2}=a_{3,2}=a_{2,3}=a_{3,3}=0 $$
とする。それ以外の点では,左または下から来るので
$$ a_{i,j}=a_{i-1,j}+a_{i,j-1} $$
である。
まず,左端と下端では経路は一通りしかないので
$$ a_{0,j}=1,\quad a_{i,0}=1 $$
である。
禁止された $4$ 点の近くから順に計算する。
$$ a_{4,2}=a_{3,2}+a_{4,1}=0+5=5 $$
$$ a_{5,2}=a_{4,2}+a_{5,1}=5+6=11 $$
$$ a_{4,3}=a_{3,3}+a_{4,2}=0+5=5 $$
$$ a_{5,3}=a_{4,3}+a_{5,2}=5+11=16 $$
また,上側について
$$ a_{2,4}=a_{1,4}+a_{2,3}=5+0=5 $$
$$ a_{3,4}=a_{2,4}+a_{3,3}=5+0=5 $$
$$ a_{4,4}=a_{3,4}+a_{4,3}=5+5=10 $$
$$ a_{5,4}=a_{4,4}+a_{5,3}=10+16=26 $$
さらに
$$ a_{2,5}=a_{1,5}+a_{2,4}=6+5=11 $$
$$ a_{3,5}=a_{2,5}+a_{3,4}=11+5=16 $$
$$ a_{4,5}=a_{3,5}+a_{4,4}=16+10=26 $$
よって
$$ a_{5,5}=a_{4,5}+a_{5,4}=26+26=52 $$
である。
したがって,$S,T,U,V$ のいずれも通らない最短経路は $52$ 通りである。
(3)
地点 $W=(5,2)$ に到着するには,東へ $5$ 回,北へ $2$ 回進む必要がある。
ただし,$x=5$ に到達した時点で東方向の道がなくなるので,最後の一歩は必ず $(4,2)$ から $W=(5,2)$ へ進む東向きの一歩である。
したがって,その直前までの $6$ 歩では,東へ $4$ 回,北へ $2$ 回進んでいる。この並べ方は
$$ {}_{6}\mathrm{C}_{2}=15 $$
通りである。
各経路の確率は
$$ p^5q^2 $$
であるから,地点 $W$ に到着する確率は
$$ 15p^5q^2 $$
である。
(4)
総移動距離が $8$ 以上であるとは,少なくとも $7$ 歩進んだ時点ではまだ終了していないということである。
この試行は,東方向に $5$ 回進むか,北方向に $5$ 回進んだ時点で,右端または上端に達して終了する。
したがって,$7$ 歩進んでも終了していないためには,$7$ 歩の中で東が $5$ 回以上でも北が $5$ 回以上でもあってはならない。
$7$ 歩の合計が $7$ であるから,可能なのは東と北の回数が $3$ 回と $4$ 回に分かれる場合だけである。
よって,求める確率は
$$ {}_{7}\mathrm{C}_{3}p^3q^4+{}_{7}\mathrm{C}_{4}p^4q^3 $$
である。
ここで ${}_{7}\mathrm{C}_{3}={}_{7}\mathrm{C}_{4}=35$ より,
$$ {}_{7}\mathrm{C}_{3}p^3q^4+{}_{7}\mathrm{C}_{4}p^4q^3 =35p^3q^3(p+q) $$
である。$p+q=1$ だから
$$ 35p^3q^3 $$
となる。
$x=pq$ より,
$$ 35p^3q^3=35(pq)^3=35x^3 $$
である。
解説
最短経路の問題では,まず「東に何回,北に何回進むか」を固定して,順列として数えるのが基本である。
(1) は,通ってはいけない点が $2$ つなので包除原理で処理できる。特に,$S$ と $T$ の両方を通る経路を足し戻す点が重要である。
(2) は,禁止点が $4$ つに増えて包除原理が煩雑になるため,漸化式で各交点までの経路数を求める方が安全である。
(3) と (4) は,確率の問題であるが,実質的には東と北の回数を数える問題である。境界に達した時点で終了するため,「最後の一歩」や「終了していない条件」を正確に見る必要がある。
答え
(1)
$$ 92 $$
(2)
$$ 52 $$
(3)
$$ 15p^5q^2 $$
(4)
$$ 35x^3 $$
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