トップ 基礎問題 数学A 確率 数列・確率(数B) 問題 14

数学A 数列・確率(数B) 問題 14 解説

数学A 数列・確率(数B) 問題 14 解説

方針・初手

部屋をすべて扱うと状態が9個になるが、球は1秒ごとに隣の部屋へ移るため、小三角形の向きが毎秒交互に変わる。

部屋 $P$ と部屋 $Q$ はともに逆向きの小三角形であるから、奇数秒後に $Q$ にいる確率は $0$ である。したがって、偶数秒後だけを考え、2秒ごとの移動として整理する。

解法1

逆向きの小三角形は、上の部屋 $P$、左下の逆向きの部屋、右下の部屋 $Q$ の3つである。これらをそれぞれ

$$ P,\ L,\ Q $$

とおく。

2秒後には、逆向きの部屋から逆向きの部屋へ移る。まず、$P$ から2秒後にどこへ行くかを求める。

部屋 $P$ に隣接する部屋は3つである。そのうち、上端の部屋に移ると、次の1秒では必ず $P$ に戻る。また、左右の部屋に移ると、次の1秒ではそれぞれ確率 $\dfrac{1}{2}$ で $P$ に戻り、確率 $\dfrac{1}{2}$ で下側の逆向きの部屋に移る。

したがって、$P$ から2秒後の移動確率は

$$ P\to P:\frac{1}{3}\cdot 1+\frac{1}{3}\cdot\frac{1}{2}+\frac{1}{3}\cdot\frac{1}{2}=\frac{2}{3}, $$

$$ P\to L:\frac{1}{3}\cdot\frac{1}{2}=\frac{1}{6}, \qquad P\to Q:\frac{1}{3}\cdot\frac{1}{2}=\frac{1}{6} $$

である。

同様に、$L$ や $Q$ から出発しても、2秒後には

$$ \text{もとの部屋にいる確率}=\frac{2}{3}, \qquad \text{他の各部屋にいる確率}=\frac{1}{6} $$

となる。

よって、2秒ごとの移動だけを見れば、3つの部屋 $P,L,Q$ の間で、遷移確率は

$$ \begin{pmatrix} \frac{2}{3} & \frac{1}{6} & \frac{1}{6}\\ \frac{1}{6} & \frac{2}{3} & \frac{1}{6}\\ \frac{1}{6} & \frac{1}{6} & \frac{2}{3} \end{pmatrix} $$

で表される。

$n=2m$ とおく。$2m$ 秒後に $Q$ にいる確率を $p_m$ とする。3つの逆向きの部屋は対称であり、長時間後の分布は一様分布

$$ \left(\frac{1}{3},\frac{1}{3},\frac{1}{3}\right) $$

に近づく。

また、この遷移では、平均との差は1回の2秒移動ごとに $\dfrac{1}{2}$ 倍される。実際、ある部屋の確率を $x$、他の2部屋の確率を $y,z$ とすると、次の2秒後のその部屋の確率は

$$ \frac{2}{3}x+\frac{1}{6}y+\frac{1}{6}z $$

である。平均との差を考えると、その差は $\dfrac{1}{2}$ 倍になる。

最初は $P$ に確率 $1$ でいるから、$Q$ の初期確率は $0$ であり、一様分布との差は

$$ 0-\frac{1}{3}=-\frac{1}{3} $$

である。

したがって、$m$ 回の2秒移動の後、$Q$ にいる確率は

$$ \begin{aligned} \frac{1}{3}-\frac{1}{3}\left(\frac{1}{2}\right)^m &= \frac{1}{3}\left(1-\frac{1}{2^m}\right) \end{aligned} $$

となる。

ゆえに、$n=2m$ のとき

$$ \begin{aligned} \Pr(\text{$n$ 秒後に $Q$ にいる}) &= \frac{1}{3}\left(1-\frac{1}{2^m}\right) \end{aligned} $$

である。

一方、$n$ が奇数のときは、球は正向きの小三角形にいるため、逆向きの部屋 $Q$ にはいない。よって確率は $0$ である。

解説

この問題の要点は、9個の部屋すべてを状態として扱わず、$P$ と $Q$ が同じ向きの小三角形であることを利用して、2秒ごとの移動にまとめることである。

1秒ごとに考えると状態数が多く見えるが、2秒ごとに見れば逆向きの3部屋だけの対称な移動になる。この3状態の対称性から、一様分布との差が毎回 $\dfrac{1}{2}$ 倍されることを使えば、漸化式を長く立てずに処理できる。

奇数秒後は向きが異なる部屋にいるため、$Q$ にいる確率が $0$ になる点を落とさないことが重要である。

答え

$n$ が奇数のとき

$$ 0 $$

$n$ が偶数で $n=2m$ のとき

$$ \frac{1}{3}\left(1-\frac{1}{2^m}\right) $$

すなわち

$$ \boxed{ \Pr(\text{$n$ 秒後に部屋 $Q$ にいる}) = \begin{cases} 0 & (n \text{ が奇数}),\\[4pt] \dfrac{1}{3}\left(1-\dfrac{1}{2^{n/2}}\right) & (n \text{ が偶数}) \end{cases} } $$

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