数学A 整数問題 問題 66 解説

方針・初手
まず $\vec a\cdot \vec b$ を求める。大きさがともに $\sqrt{2}$、なす角が $120^\circ$ なので、内積は直ちに定まる。
その後、一般に $k\vec a+l\vec b$ の大きさの2乗を計算し、整数の偶奇に帰着させる。
解法1
$\vec a,\vec b$ のなす角が $120^\circ$ であるから、
$$ \begin{aligned} \vec a\cdot\vec b &= |\vec a||\vec b|\cos120^\circ \\ \sqrt{2}\cdot\sqrt{2}\cdot\left(-\frac12\right) \\ -1 \end{aligned} $$
である。また、
$$ |\vec a|^2=|\vec b|^2=2 $$
である。
(1)
$$ \begin{aligned} (\vec a+\vec b)\cdot(\vec a+\vec b) &=\vec a\cdot\vec a+2\vec a\cdot\vec b+\vec b\cdot\vec b\\ &=2+2(-1)+2\\ &=2 \end{aligned} $$
したがって、
$$ (\vec a+\vec b)\cdot(\vec a+\vec b)=2 $$
である。
(2)
$k,l$ を整数とする。
$$ \begin{aligned} |k\vec a+l\vec b|^2 &=(k\vec a+l\vec b)\cdot(k\vec a+l\vec b)\\ &=k^2|\vec a|^2+2kl(\vec a\cdot\vec b)+l^2|\vec b|^2\\ &=2k^2+2kl(-1)+2l^2\\ &=2(k^2-kl+l^2) \end{aligned} $$
ここで $k,l$ は整数であるから、$k^2-kl+l^2$ も整数である。
よって、
$$ |k\vec a+l\vec b|^2 $$
は $2$ の倍数、すなわち偶数である。
(3)
(2)より、
$$ |k\vec a+l\vec b|^2=2(k^2-kl+l^2) $$
である。
これが $4$ の倍数でないことを示すには、$k^2-kl+l^2$ が奇数であることを示せばよい。
整数の偶奇について、平方は元の整数と同じ偶奇をもつので、
$$ k^2\equiv k,\qquad l^2\equiv l \pmod{2} $$
である。また、$-1\equiv 1\pmod{2}$ だから、
$$ k^2-kl+l^2\equiv k+kl+l \pmod{2} $$
である。
$k$ または $l$ が奇数である場合を、偶奇で分ける。
(i)
$k$ が奇数、$l$ が偶数のとき
$$ k+kl+l\equiv 1+0+0\equiv 1 \pmod{2} $$
である。
(ii)
$k$ が偶数、$l$ が奇数のとき
$$ k+kl+l\equiv 0+0+1\equiv 1 \pmod{2} $$
である。
(iii)
$k,l$ がともに奇数のとき
$$ k+kl+l\equiv 1+1+1\equiv 1 \pmod{2} $$
である。
いずれの場合も、
$$ k^2-kl+l^2 $$
は奇数である。
したがって、
$$ |k\vec a+l\vec b|^2=2(k^2-kl+l^2) $$
は $2$ の倍数ではあるが $4$ の倍数ではない。
(4)
$m,n$ を整数とし、$m^2-n^2\ne 0$ とする。特に、$(m,n)\ne(0,0)$ である。
仮に $|m\vec a+n\vec b|$ が整数であるとする。この整数を $N$ とおくと、
$$ N^2=|m\vec a+n\vec b|^2 $$
である。
(2)より、
$$ |m\vec a+n\vec b|^2=2(m^2-mn+n^2) $$
であるから、$N^2$ は偶数である。平方数が偶数なら、そのもとの整数も偶数であるから、$N$ は偶数である。
よって $N^2$ は $4$ の倍数である。
一方、(3)より、$m$ または $n$ の少なくとも一方が奇数なら、
$$ |m\vec a+n\vec b|^2 $$
は $4$ の倍数ではない。これは $N^2$ が $4$ の倍数であることに矛盾する。
したがって、$m,n$ はともに偶数でなければならない。
そこで、
$$ m=2m_1,\qquad n=2n_1 $$
とおくと、
$$ \begin{aligned} |m\vec a+n\vec b|^2 &=|2m_1\vec a+2n_1\vec b|^2\\ &=4|m_1\vec a+n_1\vec b|^2 \end{aligned} $$
である。したがって、
$$ N^2=4|m_1\vec a+n_1\vec b|^2 $$
より、
$$ \left(\frac{N}{2}\right)^2=|m_1\vec a+n_1\vec b|^2 $$
となる。つまり、$|m_1\vec a+n_1\vec b|$ も整数である。
同じ議論を繰り返すと、$m_1,n_1$ もともに偶数でなければならない。したがって、$m,n$ は $2$ で何回でも割り切れることになる。
しかし、$(m,n)\ne(0,0)$ である整数の組が、$2$ で何回でも割り切れることはない。これは矛盾である。
よって、仮定が誤りであり、
$$ |m\vec a+n\vec b| $$
は整数ではない。
解説
この問題の中心は、ベクトルの問題を整数の偶奇の問題に変換することである。
最初に
$$ \vec a\cdot\vec b=-1 $$
を求めれば、以後は
$$ |k\vec a+l\vec b|^2=2(k^2-kl+l^2) $$
という形に帰着できる。
(3)では、$k$ または $l$ が奇数なら $k^2-kl+l^2$ が奇数になることを、合同式 $\pmod{2}$ で処理するのが最も簡潔である。
(4)では、整数の平方が偶数なら元の整数も偶数であり、平方は $4$ の倍数になることを使う。そのうえで、(3)と組み合わせると、$m,n$ がともに偶数でなければならない。これを繰り返すと無限降下となり、非零の整数の組では不可能である。
答え
(1)
$$ (\vec a+\vec b)\cdot(\vec a+\vec b)=2 $$
(2)
$$ |k\vec a+l\vec b|^2=2(k^2-kl+l^2) $$
より、偶数である。
(3)
$k$ または $l$ が奇数なら $k^2-kl+l^2$ は奇数であるから、
$$ |k\vec a+l\vec b|^2 $$
は $4$ の倍数ではない。
(4)
$m^2-n^2\ne0$ のとき、
$$ |m\vec a+n\vec b| $$
は整数ではない。
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