数学A 整数問題 問題 100 解説

方針・初手
まず積分を実行して、条件 $(*)$ を $a,b,c$ の整数方程式に直す。$a\ne b$ のときは因数 $b-a$ を消すことができるので、そこから合同式と因数分解で処理する。
特に $c=3600$ の個数問題では、(1) で分かる $3\mid c$ に合わせて $b-a=3r$ とおくと、差の平方の形に変形でき、約数の個数に帰着できる。
解法1
与えられた条件は
$$ \int_a^c (x^2+bx),dx=\int_b^c (x^2+ax),dx $$
である。両辺を計算すると、
$$ \begin{aligned} \int_a^c (x^2+bx),dx &=\left[\frac{x^3}{3}+\frac{b x^2}{2}\right]_a^c,\\ \int_b^c (x^2+ax),dx &=\left[\frac{x^3}{3}+\frac{a x^2}{2}\right]_b^c. \end{aligned} $$
したがって、左辺から右辺を引くと
$$ \begin{aligned} 0 &=\left(\frac{c^3}{3}+\frac{bc^2}{2}-\frac{a^3}{3}-\frac{ba^2}{2}\right) -\left(\frac{c^3}{3}+\frac{ac^2}{2}-\frac{b^3}{3}-\frac{ab^2}{2}\right)\\ &=\frac{(b-a)c^2}{2}+\frac{b^3-a^3}{3}+\frac{ab(b-a)}{2}\\ &=(b-a)\left\{\frac{c^2}{2}+\frac{a^2+ab+b^2}{3}+\frac{ab}{2}\right\}. \end{aligned} $$
よって
$$ (b-a)\left(2a^2+5ab+2b^2+3c^2\right)=0 $$
を得る。
(1)
$a\ne b$ であるから、
$$ 2a^2+5ab+2b^2+3c^2=0 $$
である。
これを $3$ で割った余りで考えると、
$$ 2a^2+2ab+2b^2\equiv 0 \pmod 3 $$
である。$2$ は $3$ と互いに素なので、
$$ a^2+ab+b^2\equiv 0 \pmod 3 $$
となる。ここで
$$ a^2+ab+b^2\equiv (a-b)^2 \pmod 3 $$
であるから、
$$ (a-b)^2\equiv 0 \pmod 3 $$
となる。よって
$$ a-b\equiv 0 \pmod 3 $$
である。
したがって、ある整数 $k$ を用いて
$$ a-b=3k $$
とおける。
また、
$$ 2a^2+5ab+2b^2+3c^2=0 $$
を変形すると、
$$ (a-b)^2-9(a+b)^2=12c^2 $$
である。実際、
$$ (a-b)^2-9(a+b)^2=-4(2a^2+5ab+2b^2) $$
であり、$2a^2+5ab+2b^2=-3c^2$ だからである。
ここに $a-b=3k$ を代入すると、
$$ 9k^2-9(a+b)^2=12c^2 $$
すなわち
$$ 3{k^2-(a+b)^2}=4c^2 $$
となる。左辺は $3$ の倍数であるから、右辺 $4c^2$ も $3$ の倍数である。$3$ と $4$ は互いに素なので、
$$ 3\mid c^2 $$
である。よって
$$ 3\mid c $$
である。
したがって、$c$ は $3$ の倍数である。
(2)
$c=3600$ とする。$a<b$ なので $a\ne b$ であり、(1) の議論から $a\equiv b\pmod 3$ である。
よって、ある正の整数 $r$ を用いて
$$ b-a=3r $$
とおける。また
$$ s=a+b $$
とおく。
先ほど得た式
$$ (a-b)^2-9(a+b)^2=12c^2 $$
に $b-a=3r$、$s=a+b$、$c=3600=3\cdot 1200$ を代入すると、
$$ 9r^2-9s^2=12\cdot 3600^2 $$
である。両辺を $9$ で割ると、
$$ r^2-s^2=12\cdot 1200^2 $$
となる。したがって
$$ (r-s)(r+s)=12\cdot 1200^2 $$
である。
右辺は $4$ の倍数である。もし $r$ と $s$ の偶奇が異なれば $r^2-s^2$ は奇数になるので矛盾する。よって $r$ と $s$ は同じ偶奇であり、$r-s$ と $r+s$ はともに偶数である。
そこで
$$ r-s=2u,\qquad r+s=2v $$
とおく。ただし $r>|s|$ であるから、$u,v$ は正の整数である。
すると
$$ 4uv=12\cdot 1200^2 $$
より
$$ uv=3\cdot 1200^2 $$
である。
ここで
$$ 1200=2^4\cdot 3\cdot 5^2 $$
だから、
$$ 3\cdot 1200^2 =3\cdot (2^4\cdot 3\cdot 5^2)^2 =2^8\cdot 3^3\cdot 5^4 $$
である。
したがって、$uv=3\cdot 1200^2$ をみたす正の整数の組 $(u,v)$ の個数は、$u$ を正の約数として選べば $v$ が一意に決まるので、
$$ (8+1)(3+1)(4+1)=180 $$
である。
逆に、このような正の整数の組 $(u,v)$ から
$$ r=u+v,\qquad s=v-u $$
と定めると、
$$ r^2-s^2=(r-s)(r+s)=4uv=12\cdot 1200^2 $$
を満たす。また $r$ と $s$ は同じ偶奇であるから、
$$ a=\frac{s-3r}{2},\qquad b=\frac{s+3r}{2} $$
は整数であり、
$$ b-a=3r>0 $$
より $a<b$ である。したがって、すべての組が条件を満たす。
よって求める整数の組 $(a,b)$ の個数は
$$ 180 $$
である。
解説
この問題の中心は、積分条件をそのまま扱わず、まず $a,b,c$ の整数方程式に直すことである。積分を計算すると、条件は
$$ (b-a)\left(2a^2+5ab+2b^2+3c^2\right)=0 $$
に整理される。
$a\ne b$ の場合は第2因子が $0$ となる。ここで合同式を使うと $a-b$ が $3$ の倍数であることが分かり、さらに
$$ (a-b)^2-9(a+b)^2=12c^2 $$
という差の平方の形に直すことで $3\mid c$ が導ける。
個数問題では、$b-a=3r$、$a+b=s$ とおくことで
$$ r^2-s^2=12\cdot 1200^2 $$
となり、結局は
$$ uv=3\cdot 1200^2 $$
の正の整数解の個数を数える問題になる。ここで「順序つきの因数分解」を数える点が重要である。
答え
(1)
$c$ は $3$ の倍数である。
(2)
求める整数の組 $(a,b)$ の個数は
$$ 180 $$
である。
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





