数学B 共役無理数 問題 3 解説

方針・初手
方程式 $u^2-2v^2=1$ は Pell 型方程式である。最小の自然数解 $(3,2)$ を基準にし、$u\geqq 4$ の解から
$$ s=3u-4v,\qquad t=-2u+3v $$
を作ると、これは $u+v\sqrt{2}$ に $3-2\sqrt{2}$ を掛ける操作に対応する。したがって、自然数解をより小さい自然数解へ下げる「降下法」で全体を証明する。
解法1
(1)
$(u,v)$ が曲線 $x^2-2y^2=1$ 上にあるから、
$$ u^2-2v^2=1 $$
である。
$u=1$ とすると、
$$ 1-2v^2=1 $$
より $v=0$ となる。これは $v$ が自然数であることに反する。
また、$u=2$ とすると、
$$ 4-2v^2=1 $$
より
$$ 2v^2=3 $$
となり、自然数 $v$ は存在しない。
よって、
$$ u\neq 1,2 $$
である。
(2)
$u=3$ とすると、
$$ 9-2v^2=1 $$
であるから、
$$ 2v^2=8 $$
すなわち
$$ v^2=4 $$
となる。$v$ は自然数なので、
$$ v=2 $$
である。
(3)
以後 $u\geqq 4$ とし、
$$ s=3u-4v,\qquad t=-2u+3v $$
とおく。
(i)
まず、
$$ u^2-2v^2=1 $$
より
$$ u^2=2v^2+1>2v^2 $$
である。$u,v$ は自然数だから正であり、
$$ u>\sqrt{2}v $$
が成り立つ。
次に $3v>2u$ を示す。仮に $3v\leqq 2u$ とすると、
$$ 9v^2\leqq 4u^2 $$
である。ところが $u^2=2v^2+1$ より、
$$ 4u^2=8v^2+4 $$
だから、
$$ 9v^2\leqq 8v^2+4 $$
となる。よって
$$ v^2\leqq 4 $$
であり、$v=1,2$ である。
$v=1$ のときは
$$ u^2=2\cdot 1^2+1=3 $$
となり、自然数 $u$ は存在しない。
$v=2$ のときは
$$ u^2=2\cdot 2^2+1=9 $$
より $u=3$ となり、$u\geqq 4$ に反する。
したがって仮定 $3v\leqq 2u$ は誤りであり、
$$ 3v>2u $$
である。
よって、
$$ u>\sqrt{2}v,\qquad 3v>2u $$
が成り立つ。
(ii)
$s,t$ は $u,v$ の整数係数一次式であるから整数である。
まず $s$ の正値性を示す。(i) より $u>\sqrt{2}v$ であるから、
$$ 3u>3\sqrt{2}v $$
である。ここで $3\sqrt{2}>4$ より、
$$ 3u>4v $$
である。したがって
$$ s=3u-4v>0 $$
であり、$s$ は自然数である。
また、(i) より
$$ 3v>2u $$
であるから、
$$ t=-2u+3v>0 $$
であり、$t$ も自然数である。
次に $(s,t)$ が曲線上にあることを示す。
$$ \begin{aligned} s^2-2t^2 &=(3u-4v)^2-2(-2u+3v)^2\\ &=(9u^2-24uv+16v^2)-2(4u^2-12uv+9v^2)\\ &=9u^2-24uv+16v^2-8u^2+24uv-18v^2\\ &=u^2-2v^2\\ &=1 \end{aligned} $$
よって $(s,t)$ も曲線 $x^2-2y^2=1$ 上の点であり、その成分 $s,t$ は自然数である。
(iii)
示すべきことは $u>s$ である。$s=3u-4v$ だから、
$$ u>s $$
は
$$ u>3u-4v $$
すなわち
$$ 2v>u $$
と同値である。
ここで
$$ u^2=2v^2+1 $$
であり、$v$ は自然数なので
$$ 2v^2+1<4v^2 $$
が成り立つ。したがって
$$ u^2<4v^2 $$
である。$u,v$ は正だから、
$$ u<2v $$
である。
よって
$$ u>s $$
が成り立つ。
(iv)
右辺を展開する。
$$ \begin{aligned} (3+2\sqrt{2})(s+t\sqrt{2}) &=3s+6t\sqrt{2}+2s\sqrt{2}+4t\\ &=(3s+4t)+(2s+3t)\sqrt{2} \end{aligned} $$
ここで $s=3u-4v,\ t=-2u+3v$ を代入すると、
$$ \begin{aligned} 3s+4t &=3(3u-4v)+4(-2u+3v)\\ &=9u-12v-8u+12v\\ &=u \end{aligned} $$
また、
$$ \begin{aligned} 2s+3t &=2(3u-4v)+3(-2u+3v)\\ &=6u-8v-6u+9v\\ &=v \end{aligned} $$
である。したがって、
$$ (3+2\sqrt{2})(s+t\sqrt{2})=u+v\sqrt{2} $$
すなわち
$$ u+v\sqrt{2}=(3+2\sqrt{2})(s+t\sqrt{2}) $$
である。
(4)
まず、十分性を示す。自然数 $n$ が存在して
$$ u+v\sqrt{2}=(3+2\sqrt{2})^n $$
を満たすとする。
二項展開より、右辺は
$$ (3+2\sqrt{2})^n=u+v\sqrt{2} $$
という形で表され、このとき $u,v$ は自然数である。また、その共役をとると
$$ u-v\sqrt{2}=(3-2\sqrt{2})^n $$
である。
したがって、
$$ \begin{aligned} u^2-2v^2 &=(u+v\sqrt{2})(u-v\sqrt{2})\\ &=(3+2\sqrt{2})^n(3-2\sqrt{2})^n\\ &={(3+2\sqrt{2})(3-2\sqrt{2})}^n\\ &=(9-8)^n\\ &=1 \end{aligned} $$
である。よって $(u,v)$ は曲線 $x^2-2y^2=1$ 上の点である。
次に、必要性を示す。$(u,v)$ を、成分がともに自然数である曲線 $x^2-2y^2=1$ 上の点とする。
(1) より $u\neq 1,2$ であるから、自然数 $u$ について
$$ u\geqq 3 $$
である。
$u=3$ のとき、(2) より $v=2$ である。したがって
$$ u+v\sqrt{2}=3+2\sqrt{2}=(3+2\sqrt{2})^1 $$
となり、条件を満たす。
$u\geqq 4$ のとき、(3) により
$$ s=3u-4v,\qquad t=-2u+3v $$
とおけば、$(s,t)$ も曲線 $x^2-2y^2=1$ 上の自然数解であり、さらに
$$ s<u $$
である。
ここで $u$ に関する数学的帰納法、より正確には強い帰納法を用いる。$s<u$ なので、より小さい自然数解 $(s,t)$ については、ある自然数 $m$ が存在して
$$ s+t\sqrt{2}=(3+2\sqrt{2})^m $$
と表せる。
すると (3) の (iv) より、
$$ \begin{aligned} u+v\sqrt{2} &=(3+2\sqrt{2})(s+t\sqrt{2})\\ &=(3+2\sqrt{2})(3+2\sqrt{2})^m\\ &=(3+2\sqrt{2})^{m+1} \end{aligned} $$
である。$m+1$ は自然数であるから、必要性が示された。
以上より、成分がともに自然数である点 $(u,v)$ が曲線 $x^2-2y^2=1$ 上にあるための必要十分条件は、ある自然数 $n$ が存在して
$$ u+v\sqrt{2}=(3+2\sqrt{2})^n $$
を満たすことである。
解説
この問題の中心は、Pell 方程式 $u^2-2v^2=1$ の自然数解を、基本解 $(3,2)$ からすべて生成できることを示す点にある。
特に重要なのは、$u\geqq 4$ の解 $(u,v)$ から
$$ s=3u-4v,\qquad t=-2u+3v $$
を作ると、再び自然数解 $(s,t)$ が得られ、しかも $s<u$ となることである。これにより、大きな解を小さな解へ戻していく降下法が使える。
また、
$$ u+v\sqrt{2}=(3+2\sqrt{2})(s+t\sqrt{2}) $$
という関係は、実質的には
$$ s+t\sqrt{2}=(3-2\sqrt{2})(u+v\sqrt{2}) $$
を意味している。つまり、解を一段階小さくする操作が、$3-2\sqrt{2}$ を掛ける操作になっている。
最小の自然数解が $(3,2)$ であることを確認し、そこから帰納的にすべての解が
$$ (3+2\sqrt{2})^n $$
で表されると結論づけるのが、この問題の標準的な構造である。
答え
(1)
$$ u\neq 1,2 $$
(2)
$$ u=3\ \text{のとき}\ v=2 $$
(3)
$u\geqq 4$ とし、
$$ s=3u-4v,\qquad t=-2u+3v $$
とすると、
$$ u>\sqrt{2}v,\qquad 3v>2u $$
であり、$(s,t)$ も曲線 $x^2-2y^2=1$ 上の自然数解である。また、
$$ u>s $$
かつ
$$ u+v\sqrt{2}=(3+2\sqrt{2})(s+t\sqrt{2}) $$
である。
(4)
成分がともに自然数である点 $(u,v)$ が曲線 $x^2-2y^2=1$ 上にあるための必要十分条件は、ある自然数 $n$ が存在して
$$ u+v\sqrt{2}=(3+2\sqrt{2})^n $$
を満たすことである。
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