数学B 共役無理数 問題 5 解説

方針・初手
$\sqrt{3}$ の無理性を用いて、有理数係数で $1$ と $\sqrt{3}$ が一次独立であることを示す。以後は、$a+b\sqrt{3}$ 型の数を比較するときに、この一次独立性を使う。
解法1
(1)
$s,t$ は有理数で、
$$ s+t\sqrt{3}=0 $$
とする。
もし $t\neq 0$ ならば、
$$ \sqrt{3}=-\frac{s}{t} $$
となる。右辺は有理数であるから、$\sqrt{3}$ が有理数となってしまう。これは $\sqrt{3}$ が無理数であることに反する。
したがって $t=0$ である。このとき、もとの式から
$$ s=0 $$
も従う。
よって、
$$ s+t\sqrt{3}=0,\quad s,t\in\mathbb{Q} $$
ならば、
$$ s=t=0 $$
である。
(2)
$1+\sqrt{3}$ が
$$ x^3+px+q=0 $$
の解であるから、
$$ (1+\sqrt{3})^3+p(1+\sqrt{3})+q=0 $$
が成り立つ。
まず
$$ (1+\sqrt{3})^2=4+2\sqrt{3} $$
であるから、
$$ (1+\sqrt{3})^3=(4+2\sqrt{3})(1+\sqrt{3})=10+6\sqrt{3} $$
となる。
したがって、
$$ 10+6\sqrt{3}+p(1+\sqrt{3})+q=0 $$
すなわち
$$ (10+p+q)+(6+p)\sqrt{3}=0 $$
である。
$p,q$ は有理数なので、(1)より
$$ \begin{cases} 10+p+q=0,\\ 6+p=0 \end{cases} $$
が成り立つ。
よって
$$ p=-6,\quad q=-4 $$
である。
このとき方程式は
$$ x^3-6x-4=0 $$
となる。$x=1+\sqrt{3}$ が解であるから、係数が有理数であることより $x=1-\sqrt{3}$ も解である。
実際、
$$ (1-\sqrt{3})^3-6(1-\sqrt{3})-4=0 $$
である。
残りの解を $r$ とすると、3つの解の和は $0$ であるから、
$$ (1+\sqrt{3})+(1-\sqrt{3})+r=0 $$
より
$$ 2+r=0 $$
である。
したがって、
$$ r=-2 $$
である。
よって、他の解は
$$ 1-\sqrt{3},\quad -2 $$
である。
(3)
数学的帰納法で示す。
$n=1$ のとき、
$$ (1+\sqrt{3})^1=1+\sqrt{3} $$
であるから、
$$ a_1=1,\quad b_1=1 $$
とすればよい。したがって $n=1$ では成り立つ。
次に、ある自然数 $k$ について
$$ (1+\sqrt{3})^k=a_k+b_k\sqrt{3} $$
となる自然数 $a_k,b_k$ が存在すると仮定する。
このとき、
$$ \begin{aligned} (1+\sqrt{3})^{k+1} &=(a_k+b_k\sqrt{3})(1+\sqrt{3})\\ &=a_k+3b_k+(a_k+b_k)\sqrt{3} \end{aligned} $$
である。
ここで
$$ a_{k+1}=a_k+3b_k,\quad b_{k+1}=a_k+b_k $$
とおけば、$a_k,b_k$ は自然数であるから、$a_{k+1},b_{k+1}$ も自然数である。
よって $n=k+1$ でも成り立つ。
以上より、すべての自然数 $n$ に対して、自然数 $a_n,b_n$ が存在して
$$ (1+\sqrt{3})^n=a_n+b_n\sqrt{3} $$
となる。
(4)
(3)で得られた自然数 $a_n,b_n$ を用いると、同じ計算により
$$ (1-\sqrt{3})^n=a_n-b_n\sqrt{3} $$
と表せる。
これは、展開したときに $\sqrt{3}$ の偶数乗を含む項は有理部分に入り、奇数乗を含む項は $\sqrt{3}$ の係数部分に入るためである。
ここで、背理法により $(1-\sqrt{3})^n$ が有理数であると仮定する。その値を $r$ とおくと、
$$ a_n-b_n\sqrt{3}=r $$
である。
移項して、
$$ (a_n-r)-b_n\sqrt{3}=0 $$
となる。
$a_n,r,b_n$ は有理数であり、$b_n$ は自然数であるから $b_n\neq 0$ である。
しかし (1) より、
$$ (a_n-r)-b_n\sqrt{3}=0 $$
が成り立つならば、
$$ a_n-r=0,\quad -b_n=0 $$
でなければならない。
これは $b_n\neq 0$ に反する。
したがって、$(1-\sqrt{3})^n$ は有理数ではない。
よって、すべての自然数 $n$ に対して、
$$ (1-\sqrt{3})^n $$
は無理数である。
解説
この問題の中心は、$a+b\sqrt{3}$ 型の数の比較である。有理数部分と $\sqrt{3}$ の係数部分を分けたあと、(1) の結果を使ってそれぞれの係数を比較する。
(2) では、$1+\sqrt{3}$ を代入して有理数部分と $\sqrt{3}$ の係数部分を分ければ、$p,q$ が一意に決まる。
(3) では、$1+\sqrt{3}$ を掛ける操作によって、再び $a+b\sqrt{3}$ 型に戻ることを見る。自然数性も同時に確認する必要がある。
(4) では、$(1-\sqrt{3})^n$ も $a_n-b_n\sqrt{3}$ 型になることを使う。これが有理数だとすると、$\sqrt{3}$ の係数が $0$ でなければならないが、$b_n$ は自然数なので矛盾する。
答え
(1)
$$ s+t\sqrt{3}=0,\quad s,t\in\mathbb{Q} $$
ならば、
$$ s=t=0 $$
である。
(2)
$$ p=-6,\quad q=-4 $$
である。他の解は
$$ 1-\sqrt{3},\quad -2 $$
である。
(3)
すべての自然数 $n$ に対して、自然数 $a_n,b_n$ が存在して
$$ (1+\sqrt{3})^n=a_n+b_n\sqrt{3} $$
と表せる。
(4)
すべての自然数 $n$ に対して、
$$ (1-\sqrt{3})^n $$
は無理数である。
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