数学B 数学的帰納法 問題 44 解説

方針・初手
不等式
$$ 3^n>2n^2-n+3 $$
は $n=1,2$ では成り立たず、$n=3$ から成り立つ形である。したがって、数学的帰納法では初項を $n=3$ として確認し、$n=k$ から $n=k+1$ への推移を示す。
解法1
まず、$n=1,2,3$ の場合を調べる。
(1)
$n=1$ のとき
$$ 3^1=3,\qquad 2\cdot 1^2-1+3=4 $$
であるから、
$$ 3>4 $$
は成り立たない。よって、$n=1$ では不等式は成り立たない。
(2)
$n=2$ のとき
$$ 3^2=9,\qquad 2\cdot 2^2-2+3=9 $$
であるから、
$$ 9>9 $$
は成り立たない。よって、$n=2$ では不等式は成り立たない。
(3)
$n=3$ のとき
$$ 3^3=27,\qquad 2\cdot 3^2-3+3=18 $$
であるから、
$$ 27>18 $$
となり、$n=3$ では不等式は成り立つ。
次に、$n\geqq 3$ のときに不等式が成り立つことを数学的帰納法で示す。
まず、上で確認したように、$n=3$ のとき
$$ 3^3>2\cdot 3^2-3+3 $$
が成り立つ。
次に、$k\geqq 3$ とし、$n=k$ のとき
$$ 3^k>2k^2-k+3 $$
が成り立つと仮定する。このとき、
$$ 3^{k+1}=3\cdot 3^k $$
であるから、帰納法の仮定より
$$ 3^{k+1}>3(2k^2-k+3) $$
を得る。
ここで、右辺を $n=k+1$ のときの右辺と比較する。
$$ 3(2k^2-k+3)=6k^2-3k+9 $$
また、
$$ 2(k+1)^2-(k+1)+3=2k^2+3k+4 $$
である。差をとると、
$$ \begin{aligned} 3(2k^2-k+3)-{2(k+1)^2-(k+1)+3} &=(6k^2-3k+9)-(2k^2+3k+4)\\ &=4k^2-6k+5 \end{aligned} $$
となる。
さらに、
$$ 4k^2-6k+5=(2k-1)^2+4k $$
であり、$k\geqq 3$ ではこれは正である。したがって、
$$ 3(2k^2-k+3)>2(k+1)^2-(k+1)+3 $$
が成り立つ。
以上より、
$$ 3^{k+1}>3(2k^2-k+3)>2(k+1)^2-(k+1)+3 $$
となるので、$n=k+1$ のときも不等式は成り立つ。
よって、数学的帰納法により、すべての自然数 $n\geqq 3$ について
$$ 3^n>2n^2-n+3 $$
が成り立つ。
解説
この問題では、$n=1,2$ では不等式が成り立たないため、数学的帰納法を $n=1$ から始めてはいけない。成立し始める $n=3$ を初項として確認することが重要である。
帰納法の推移では、指数関数の性質
$$ 3^{k+1}=3\cdot 3^k $$
を使い、帰納法の仮定によって $3^k$ を $2k^2-k+3$ より大きい量として評価する。その後、
$$ 3(2k^2-k+3) $$
が次の右辺
$$ 2(k+1)^2-(k+1)+3 $$
より大きいことを確認すればよい。
答え
(1)
$n=1$ のとき、成り立たない。
$n=2$ のとき、成り立たない。
$n=3$ のとき、成り立つ。
(2)
すべての自然数 $n\geqq 3$ について、
$$ 3^n>2n^2-n+3 $$
が成り立つ。
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