数学B 数列・確率 問題 36 解説

方針・初手
$g(x)=ax^2+bx$ という形の多項式に対して、「表」と「裏」の操作が係数 $(a,b)$ をどう変えるかを先に調べる。すると、各回の硬貨の出方は係数の変換として扱える。
解法1
まず、$g(x)=ax^2+bx$ とする。
$$ g'(x)=2ax+b $$
より、
$$ xg'(x)=x(2ax+b)=2ax^2+bx $$
である。
また、
$$ \begin{aligned} g(t+1)-g(t) &={a(t+1)^2+b(t+1)}-(at^2+bt)\\ &=a{(t+1)^2-t^2}+b\\ &=a(2t+1)+b\\ &=2at+a+b \end{aligned} $$
したがって、
$$ \begin{aligned} \int_0^x {g(t+1)-g(t)},dt &=\int_0^x (2at+a+b),dt\\ &=ax^2+(a+b)x \end{aligned} $$
よって、$g(x)=ax^2+bx$ を係数の組 $(a,b)$ で表すと、表が出たときの変換を $H$、裏が出たときの変換を $T$ として、
$$ H(a,b)=(2a,b),\qquad T(a,b)=(a,a+b) $$
である。
初期状態は
$$ g_0(x)=x^2 $$
なので、係数は
$$ (1,0) $$
である。
(i)
$n=2$ のとき、表裏の出方は4通りである。
(表表)
$$ (1,0)\xrightarrow{H}(2,0)\xrightarrow{H}(4,0) $$
したがって、
$$ f(x)=4x^2 $$
である。
(表裏)
$$ (1,0)\xrightarrow{H}(2,0)\xrightarrow{T}(2,2) $$
したがって、
$$ f(x)=2x^2+2x $$
である。
(裏表)
$$ (1,0)\xrightarrow{T}(1,1)\xrightarrow{H}(2,1) $$
したがって、
$$ f(x)=2x^2+x $$
である。
(裏裏)
$$ (1,0)\xrightarrow{T}(1,1)\xrightarrow{T}(1,2) $$
したがって、
$$ f(x)=x^2+2x $$
である。
(ii) すべて裏が出るときは、変換 $T$ だけを $n$ 回繰り返す。
$T(a,b)=(a,a+b)$ であるから、$a$ は変化せず、$b$ は毎回 $a$ だけ増える。初期状態では $(a,b)=(1,0)$ なので、$k$ 回裏が出た後の係数は
$$ (1,k) $$
である。
よって、$n$ 回すべて裏が出たとき、
$$ f(x)=x^2+nx $$
である。
(iii)
$n=5$ で $f(x)=8x^2+10x$ となる場合を考える。
最終的な $x^2$ の係数は $8$ である。表の変換 $H$ は $a$ を2倍し、裏の変換 $T$ は $a$ を変えない。初期値は $a=1$ なので、表が出た回数を $m$ 回とすると、
$$ 2^m=8 $$
である。したがって、
$$ m=3 $$
である。
つまり、5回中、表が3回、裏が2回出ている。
次に、$x$ の係数 $b$ を考える。裏が出たとき、$T(a,b)=(a,a+b)$ なので、その時点での $a$ が $b$ に加えられる。
表がそれまでに $r$ 回出ているとき、$a=2^r$ である。したがって、2回の裏によって $b$ に加わる値は、それぞれ
$$ 2^r $$
の形である。
最終的に $b=10$ であるから、2回の裏で加わる値の和は
$$ 10 $$
でなければならない。
表は全部で3回なので、裏が出る時点での $a$ は
$$ 1,\ 2,\ 4,\ 8 $$
のいずれかである。このうち2つの和が $10$ になるのは
$$ 2+8=10 $$
だけである。
したがって、1回目の裏は表が1回出た後、2回目の裏は表が3回すべて出た後でなければならない。
よって、出方は
$$ \text{表,裏,表,表,裏} $$
である。
実際に確認すると、
$$ (1,0)\xrightarrow{H}(2,0)\xrightarrow{T}(2,2)\xrightarrow{H}(4,2)\xrightarrow{H}(8,2)\xrightarrow{T}(8,10) $$
となるので、
$$ f(x)=8x^2+10x $$
である。
解説
この問題では、各回の操作を直接関数で追いかけると煩雑になる。重要なのは、$g(x)=ax^2+bx$ という形が、表の操作でも裏の操作でも保たれることである。
そのため、関数そのものではなく係数 $(a,b)$ の変化だけを追えばよい。表は
$$ (a,b)\mapsto (2a,b) $$
裏は
$$ (a,b)\mapsto (a,a+b) $$
という変換になる。
特に (iii) では、$x^2$ の係数から表の回数が決まり、$x$ の係数から裏が出た位置が決まる。表は $a$ を2倍し、裏はその時点の $a$ を $b$ に加える、という構造を押さえることが核心である。
答え
(1)
$$ xg'(x)=2ax^2+bx $$
$$ \int_0^x {g(t+1)-g(t)},dt=ax^2+(a+b)x $$
(2)(i)
$$ \begin{aligned} \text{表表} &: 4x^2\\ \text{表裏} &: 2x^2+2x\\ \text{裏表} &: 2x^2+x\\ \text{裏裏} &: x^2+2x \end{aligned} $$
(2)(ii)
$$ f(x)=x^2+nx $$
(2)(iii)
$$ \text{表,裏,表,表,裏} $$
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