数学2 領域 問題 7 解説

方針・初手
与えられた点 $\text{A}$ と点 $\text{B}$ の座標から、直線 $\text{AB}$ の方程式を媒介変数 $t$ を用いて表す。
直線の方程式が求まったら、$x$ を定数とみなして $y$ を $t$ の関数として捉える。$t$ が $0 \leqq t \leqq 1$ の範囲を動くときの $y$ のとりうる値の範囲を、各 $x$ の値について求める(順像法によるアプローチ)。
解法1
点 $\text{A}\left(\frac{2(t^2+t+1)}{3(t+1)}, -2\right)$ と点 $\text{B}\left(\frac{2}{3}t, -2t\right)$ について、$x$ 座標の差をとる。
$$\frac{2(t^2+t+1)}{3(t+1)} - \frac{2}{3}t = \frac{2(t^2+t+1) - 2t(t+1)}{3(t+1)} = \frac{2}{3(t+1)}$$
$0 \leqq t \leqq 1$ において $t+1 > 0$ であるから、この差は常に正であり、点 $\text{A}$ と点 $\text{B}$ の $x$ 座標は一致しない。したがって、直線 $\text{AB}$ は $y$ 軸に平行ではない。
直線 $\text{AB}$ の傾きは次のように計算できる。
$$\frac{-2 - (-2t)}{\frac{2}{3(t+1)}} = \frac{2(t-1)}{\frac{2}{3(t+1)}} = 3(t-1)(t+1) = 3(t^2-1)$$
点 $\text{B}$ を通ることから、直線 $\text{AB}$ の方程式は以下となる。
$$y - (-2t) = 3(t^2-1)\left(x - \frac{2}{3}t\right)$$
$$y = 3(t^2-1)x - 2t(t^2-1) - 2t$$
$$y = 3(t^2-1)x - 2t^3$$
ここで、$x$ を固定し、$y$ を $t$ の関数とみなして $f(t) = -2t^3 + 3xt^2 - 3x$ とおく。$t$ が $0 \leqq t \leqq 1$ を動くときの $f(t)$ のとりうる値の範囲を求める。
$t$ で微分すると、以下のようになる。
$$f'(t) = -6t^2 + 6xt = -6t(t-x)$$
$f'(t) = 0$ となるのは $t=0, x$ である。$x$ の値によって極値をとる場所が変わるため、場合分けを行う。
(i) $x < 0$ のとき
$0 \leqq t \leqq 1$ において $t-x > 0$ であり、$f'(t) \leqq 0$ となる(等号成立は $t=0$ のみ)。よって、$f(t)$ は単調減少する。
最大値は $f(0) = -3x$、最小値は $f(1) = -2 + 3x - 3x = -2$ である。したがって、$y$ の範囲は以下のようになる。
$$-2 \leqq y \leqq -3x$$
(ii) $0 \leqq x \leqq 1$ のとき
$f(t)$ は $0 \leqq t \leqq x$ で単調増加し、$x \leqq t \leqq 1$ で単調減少する。よって、$t=x$ で極大かつ最大となる。
$$f(x) = -2x^3 + 3x^3 - 3x = x^3 - 3x$$
最小値は $f(0) = -3x$ と $f(1) = -2$ の小さい方となる。両者の大小関係を調べるため差をとる。
$$f(0) - f(1) = -3x - (-2) = -3x + 2$$
これより、$x$ と $\frac{2}{3}$ の大小でさらに場合分けする。
(ii-a) $0 \leqq x \leqq \frac{2}{3}$ のとき
$-3x + 2 \geqq 0$ より $f(0) \geqq f(1)$ となるため、最小値は $f(1) = -2$ である。したがって、$y$ の範囲は以下のようになる。
$$-2 \leqq y \leqq x^3 - 3x$$
(ii-b) $\frac{2}{3} < x \leqq 1$ のとき
$-3x + 2 < 0$ より $f(0) < f(1)$ となるため、最小値は $f(0) = -3x$ である。したがって、$y$ の範囲は以下のようになる。
$$-3x \leqq y \leqq x^3 - 3x$$
(iii) $x > 1$ のとき
$0 \leqq t \leqq 1$ において $t-x < 0$ であり、$f'(t) \geqq 0$ となる(等号成立は $t=0$ のみ)。よって、$f(t)$ は単調増加する。
最小値は $f(0) = -3x$、最大値は $f(1) = -2$ である。したがって、$y$ の範囲は以下のようになる。
$$-3x \leqq y \leqq -2$$
以上 (i) ~ (iii) より、求める領域の境界線は以下の3つの曲線・直線となる。
曲線 $C: y = x^3 - 3x$ 直線 $L_1: y = -3x$ 直線 $L_2: y = -2$
これら境界線の位置関係を確認する。 $C$ と $L_1$ を連立すると $x^3=0$ より原点 $(0,0)$ で接する。 $C$ と $L_2$ を連立すると $x^3-3x+2=0$ つまり $(x-1)^2(x+2)=0$ より、$x=1$ で接し、$x=-2$ で交わる。 $L_1$ と $L_2$ は $x=\frac{2}{3}$ で交わり、交点 $\left(\frac{2}{3}, -2\right)$ は $C$ の下方に位置する($C$ の $x=\frac{2}{3}$ における $y$ 座標は $-\frac{46}{27}$ であり、$-2$ より大きい)。
解説
図形と方程式の分野における「直線群の通過領域」を求める典型問題である。
このような問題では、定石として以下の2つの解法が考えられる。 1つは本解答で採用した、ある $x$ を固定したときの $y$ のとりうる値をパラメータ $t$ を動かして調べる「順像法(ファクシミリの原理)」である。この方法は $t$ の関数としての最大値・最小値問題に帰着できるため、微分を用いて機械的に処理できる利点がある。
もう1つは、直線の方程式を $t$ についての3次方程式とみなし、それが $0 \leqq t \leqq 1$ の範囲に少なくとも1つの実数解をもつような $(x, y)$ の条件を求める「逆像法」である。しかし本問では $t$ の3次方程式となるため、解の配置を調べるのはやや煩雑になる。そのため、順像法を選択するのが賢明である。
場合分けの際、極値をとる $t=x$ の位置関係だけでなく、区間の端点である $f(0)$ と $f(1)$ の大小が入れ替わる $x=\frac{2}{3}$ を境界とした場合分けが必要になる点に注意したい。
答え
求める直線 $\text{AB}$ の通りうる範囲は、以下の不等式で表される領域である。
$x < 0$ のとき、$-2 \leqq y \leqq -3x$
$0 \leqq x \leqq \frac{2}{3}$ のとき、$-2 \leqq y \leqq x^3 - 3x$
$\frac{2}{3} < x \leqq 1$ のとき、$-3x \leqq y \leqq x^3 - 3x$
$x > 1$ のとき、$-3x \leqq y \leqq -2$
図示すると、曲線 $y=x^3-3x$、直線 $y=-3x$、直線 $y=-2$ によって囲まれる領域(およびその左右に延びる部分)となり、境界線上のすべての点を含む。
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