トップ 東京大学 2016年 文系 第1問

東京大学 2016年 文系 第1問 解説

数学2/図形と式数学C/平面ベクトルテーマ/軌跡・領域テーマ/図形総合
東京大学 2016年 文系 第1問 解説

方針・初手

3点 $P, Q, R$ が鋭角三角形をなすための条件は、三角形の3つの内角 $\angle P, \angle Q, \angle R$ がすべて鋭角($90^\circ$ 未満)になることである。 角が鋭角である条件は、頂点を始点とする2つのベクトルの内積が正になること、あるいは余弦定理を用いて辺の長さの2乗の大小関係を調べることで立式できる。本解答では計算が簡明なベクトルの内積を用いて条件を求める。

解法1

3点 $P(x, y)$, $Q(-x, -y)$, $R(1, 0)$ について、各頂点における内角が鋭角となる条件をそれぞれ求める。

頂点 $R$ の内角 $\angle R$ が鋭角となる条件は、$\vec{RP} \cdot \vec{RQ} > 0$ である。 各ベクトルは成分表示で

$$ \vec{RP} = (x - 1, y), \quad \vec{RQ} = (-x - 1, -y) $$

であるから、内積を計算して

$$ (x - 1)(-x - 1) + y(-y) > 0 $$

$$ -(x^2 - 1) - y^2 > 0 $$

$$ x^2 + y^2 < 1 $$

となる。

頂点 $P$ の内角 $\angle P$ が鋭角となる条件は、$\vec{PR} \cdot \vec{PQ} > 0$ である。 各ベクトルは成分表示で

$$ \vec{PR} = (1 - x, -y), \quad \vec{PQ} = (-2x, -2y) $$

であるから、内積を計算して

$$ (1 - x)(-2x) + (-y)(-2y) > 0 $$

$$ -2x + 2x^2 + 2y^2 > 0 $$

$$ x^2 - x + y^2 > 0 $$

平方完成して

$$ \left(x - \frac{1}{2}\right)^2 + y^2 > \frac{1}{4} $$

となる。

頂点 $Q$ の内角 $\angle Q$ が鋭角となる条件は、$\vec{QR} \cdot \vec{QP} > 0$ である。 各ベクトルは成分表示で

$$ \vec{QR} = (1 + x, y), \quad \vec{QP} = (2x, 2y) $$

であるから、内積を計算して

$$ (1 + x)(2x) + y(2y) > 0 $$

$$ 2x + 2x^2 + 2y^2 > 0 $$

$$ x^2 + x + y^2 > 0 $$

平方完成して

$$ \left(x + \frac{1}{2}\right)^2 + y^2 > \frac{1}{4} $$

となる。

これら3つの不等式を同時に満たすとき、3点 $P, Q, R$ は同一直線上に存在せず(一直線上にあると仮定すると $y=0$ となるが、このとき不等式をすべて満たす $x$ は存在しないため)、確かに鋭角三角形をなす。

したがって、求める条件は

$$ x^2 + y^2 < 1 \quad \text{かつ} \quad x^2 - x + y^2 > 0 \quad \text{かつ} \quad x^2 + x + y^2 > 0 $$

である。

また、この条件を満たす点 $P(x, y)$ の範囲は、 原点 $(0,0)$ を中心とする半径 $1$ の円の内部、かつ、 点 $\left(\frac{1}{2}, 0\right)$ を中心とする半径 $\frac{1}{2}$ の円の外部、かつ、 点 $\left(-\frac{1}{2}, 0\right)$ を中心とする半径 $\frac{1}{2}$ の円の外部 の共通部分として図示される。

解説

三角形が鋭角三角形となる条件を問う典型的な問題である。最大角が鋭角であることを示してもよいが、どの角が最大になるかは点 $P$ の位置によって変わるため、3つの角すべてについて鋭角である条件(ベクトルの内積が正、または $\cos \theta > 0$)を立式する方が場合分けが不要となり見通しがよい。

辺の長さを用いて $PQ^2 < QR^2 + RP^2$ のように立式しても、本質的に同じ不等式が得られる。なお、「3点が三角形をなす(同一直線上にない)」という前提条件は、得られた3つの不等式を同時に満たす領域が存在し、その領域内に3点が退化するような座標が含まれないことから、結果的に満たされていることが確認できる。

答え

求める条件は、

$$ x^2 + y^2 < 1 \quad \text{かつ} \quad x^2 - x + y^2 > 0 \quad \text{かつ} \quad x^2 + x + y^2 > 0 $$

点 $P(x,y)$ の範囲は、以下の3つの条件をすべて満たす領域である。

これを座標平面上に図示したものが求める範囲となる。(境界線はすべて含まない)

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。