大阪大学 2013年 理系 第2問 解説

方針・初手
$x, y$ が絶対値記号の中に入っていることから、領域の対称性($x$ 軸、$y$ 軸、原点対称)に着目する。まずは第1象限($x \geqq 0, y \geqq 0$)における領域を求め、それを各象限に展開する(折り返す)方針をとる。
解法1
与えられた不等式を次のように定める。
$$ 1 \leqq ||x| - 2| + ||y| - 2| \leqq 3 \cdots (*) $$
$f(x, y) = ||x| - 2| + ||y| - 2|$ とおくと、
$$ f(-x, y) = |-x| - 2| + ||y| - 2| = ||x| - 2| + ||y| - 2| = f(x, y) $$
$$ f(x, -y) = ||x| - 2| + |-y| - 2| = ||x| - 2| + ||y| - 2| = f(x, y) $$
が成り立つ。 したがって、不等式 $(*)$ の表す領域は $y$ 軸に関して対称であり、かつ $x$ 軸に関しても対称である(すなわち原点に関しても対称である)。 よって、第1象限($x \geqq 0, y \geqq 0$)における領域を求め、それを各軸に関して対称移動して全体を把握すればよい。
$x \geqq 0, y \geqq 0$ のとき、$|x|=x, |y|=y$ より、不等式 $(*)$ は次のように表される。
$$ 1 \leqq |x - 2| + |y - 2| \leqq 3 \cdots (**) $$
この不等式は、点 $(2, 2)$ を中心とする2つの正方形に囲まれた領域を表す。
(i)
$|x - 2| + |y - 2| \leqq 3$ について
これは点 $(2, 2)$ を中心とする、対角線の長さが6の正方形の内部および境界である。 各範囲で絶対値を外して境界線の方程式を求めると、以下のようになる。
- $x \geqq 2, y \geqq 2$ のとき : $(x - 2) + (y - 2) = 3 \iff x + y = 7$
- $x < 2, y \geqq 2$ のとき : $-(x - 2) + (y - 2) = 3 \iff -x + y = 3$
- $x \geqq 2, y < 2$ のとき : $(x - 2) - (y - 2) = 3 \iff x - y = 3$
- $x < 2, y < 2$ のとき : $-(x - 2) - (y - 2) = 3 \iff x + y = 1$
これらと $x \geqq 0, y \geqq 0$ の共通部分をとると、境界上の頂点は $(1,0), (3,0), (5,2), (2,5), (0,3), (0,1)$ となる。 これらを順に結んだ多角形の内部および境界が、第1象限において条件を満たす領域の外枠となる。
(ii)
$1 \leqq |x - 2| + |y - 2|$ について
$|x - 2| + |y - 2| < 1$ を満たす領域を除外する。 これは点 $(2, 2)$ を中心とする、対角線の長さが2の正方形の内部である。 境界の頂点は $(3,2), (2,3), (1,2), (2,1)$ であり、この正方形はすべて $x > 0, y > 0$ の範囲に含まれるため、第1象限の領域の内部にすっぽりと穴を開ける形になる。
(i), (ii) より、第1象限における領域は、(i) で求めた多角形から (ii) の正方形の内部を除いた部分となる。
最後に、この第1象限の領域を $x$ 軸、$y$ 軸、原点に関して対称移動して、全体の領域を得る。 このとき、第1象限の境界の一部であった線分($(1,0)$ と $(0,1)$ を結ぶ線分)は、対称移動によって原点 $(0,0)$ を中心とする対角線の長さが2の正方形を形成する。 この正方形の内部では $|x| + |y| < 1$ となり与式を満たさないため、原点の周りにも「穴」ができることになる。
解説
絶対値が複数含まれる方程式や不等式の図示問題では、「対称性」を見抜いて考える範囲を絞る(ここでは第1象限のみにする)ことが定石である。まともに場合分けをすると $x, y$ の正負、$x-2, y-2$ の正負などで場合分けが膨大になってしまうが、対称性を利用することで大幅に手間を省くことができる。 また、$|x-a| + |y-b| \leqq c$ が「点 $(a,b)$ を中心とした対角線の長さが $2c$ の正方形(ひし形)」を表すことは、図形問題の知識として覚えておくと、境界の把握や見直しが極めて容易になる。最終的な図形は、大きな12角形の中に5つの正方形の穴(各象限に1つずつ、および原点に1つ)が空いた特徴的な形となる。
答え
求める領域は、以下の12角形の内部および境界から、5つの正方形の内部を除外した部分である。(境界線はすべて領域に含まれる)
(1) 外枠となる12角形 以下の12個の頂点を順に結んだ多角形。 $(3,0), (5,2), (2,5), (0,3), (-2,5), (-5,2), (-3,0), (-5,-2), (-2,-5), (0,-3), (2,-5), (5,-2)$
(2) 除外される5つの正方形(領域内の穴)
- 点 $(2,2)$ を中心とする、頂点 $(3,2), (2,3), (1,2), (2,1)$ の正方形
- 点 $(-2,2)$ を中心とする、頂点 $(-1,2), (-2,3), (-3,2), (-2,1)$ の正方形
- 点 $(-2,-2)$ を中心とする、頂点 $(-1,-2), (-2,-1), (-3,-2), (-2,-3)$ の正方形
- 点 $(2,-2)$ を中心とする、頂点 $(3,-2), (2,-1), (1,-2), (2,-3)$ の正方形
- 原点 $(0,0)$ を中心とする、頂点 $(1,0), (0,1), (-1,0), (0,-1)$ の正方形
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