数学3 数列・極限 問題 12 解説

方針・初手
(1) 与えられた関数を微分して導関数 $f'(x)$ を求め、その増減を調べることで不等式を示します。 (2) 方程式 $f(x) = x$ の解が $x=1$ であることに着目し、平均値の定理を用いて漸化式から得られる数列の極限を求めます。極限の証明の典型的な手法である $|x_{n+1} - \alpha| \leqq r |x_n - \alpha|$ ($0 < r < 1$) の形を目指します。
解法1
(1)
与えられた関数は以下の通りである。
$$f(x) = \frac{1}{2}x \{1 + e^{-2(x-1)}\} = \frac{1}{2}x + \frac{1}{2}x e^{-2(x-1)}$$
これを $x$ について微分すると、積の微分法より
$$\begin{aligned} f'(x) &= \frac{1}{2} + \frac{1}{2} \cdot e^{-2(x-1)} + \frac{1}{2}x \cdot (-2)e^{-2(x-1)} \\ &= \frac{1}{2} + \frac{1}{2}(1 - 2x)e^{-2(x-1)} \end{aligned}$$
となる。ここで、$x > \frac{1}{2}$ のとき $1 - 2x < 0$ であり、$e^{-2(x-1)} > 0$ であるから、
$$\frac{1}{2}(1 - 2x)e^{-2(x-1)} < 0$$
が成り立つ。したがって、
$$f'(x) < \frac{1}{2}$$
が示された。
次に、$f'(x) \geqq 0$ を示す。そのために、関数 $g(x)$ を以下のように定める。
$$g(x) = 1 + (1 - 2x)e^{-2(x-1)}$$
$f'(x) = \frac{1}{2}g(x)$ であるから、$x > \frac{1}{2}$ において $g(x) \geqq 0$ を示せばよい。$g(x)$ を微分すると、
$$\begin{aligned} g'(x) &= -2e^{-2(x-1)} + (1 - 2x) \cdot (-2)e^{-2(x-1)} \\ &= -2e^{-2(x-1)}(1 + 1 - 2x) \\ &= -4(1 - x)e^{-2(x-1)} \\ &= 4(x - 1)e^{-2(x-1)} \end{aligned}$$
となる。$g'(x) = 0$ とすると、$e^{-2(x-1)} > 0$ より $x = 1$ である。 $x > \frac{1}{2}$ における $g(x)$ の増減を調べると、
- $\frac{1}{2} < x < 1$ のとき、$x - 1 < 0$ より $g'(x) < 0$
- $x > 1$ のとき、$x - 1 > 0$ より $g'(x) > 0$
となるため、$g(x)$ は $x = 1$ のとき極小かつ最小となる。その最小値は
$$g(1) = 1 + (1 - 2 \cdot 1)e^0 = 1 - 1 = 0$$
である。よって、$x > \frac{1}{2}$ において常に $g(x) \geqq 0$ が成り立つ(等号成立は $x=1$ のとき)。 ゆえに、$f'(x) \geqq 0$ である。
以上より、$x > \frac{1}{2}$ ならば $0 \leqq f'(x) < \frac{1}{2}$ であることが示された。
(2)
まず、すべての自然数 $n$ について $x_n > \frac{1}{2}$ であることを数学的帰納法により示す。
(i) $n = 0$ のとき
条件より $x_0 > \frac{1}{2}$ であるから成り立つ。
(ii) $n = k$ ($k \geqq 0$) のとき
$x_k > \frac{1}{2}$ と仮定する。 (1)より $x > \frac{1}{2}$ において $f'(x) \geqq 0$ であるから、$f(x)$ は $x > \frac{1}{2}$ の範囲で単調に増加する関数である。 したがって、仮定より
$$f(x_k) > f\left(\frac{1}{2}\right)$$
となる。ここで、$f\left(\frac{1}{2}\right)$ を計算すると、自然対数の底 $e$ は $e > 2$ であるから、
$$f\left(\frac{1}{2}\right) = \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{2} \{1 + e^{-2(\frac{1}{2}-1)}\} = \frac{1}{4}(1 + e) > \frac{1}{4}(1 + 2) = \frac{3}{4} > \frac{1}{2}$$
よって、$x_{k+1} = f(x_k) > \frac{1}{2}$ となり、$n = k+1$ のときも成り立つ。
(i)、(ii) より、すべての $n \geqq 0$ について $x_n > \frac{1}{2}$ である。
次に、方程式 $f(x) = x$ を考えると、
$$\frac{1}{2}x \{1 + e^{-2(x-1)}\} = x$$
$x > \frac{1}{2}$ より両辺を $\frac{1}{2}x$ で割って整理すると
$$1 + e^{-2(x-1)} = 2$$
$$e^{-2(x-1)} = 1$$
ゆえに $-2(x-1) = 0$ より $x = 1$ を得る。すなわち $f(1) = 1$ である。
ここで、関数 $f(x)$ に対して、区間 $[x_n, 1]$ または $[1, x_n]$ で平均値の定理を適用する。($x_n = 1$ のときは等号が成り立つ自明な関係となるため、まとめて考えることができる)
$$\frac{f(x_n) - f(1)}{x_n - 1} = f'(c_n)$$
を満たす実数 $c_n$ が $x_n$ と $1$ の間に存在する。 $x_n > \frac{1}{2}$ であり、$1 > \frac{1}{2}$ であるから、$c_n > \frac{1}{2}$ である。 (1)の結果より、$c_n > \frac{1}{2}$ ならば $0 \leqq f'(c_n) < \frac{1}{2}$ であるから、
$$|f(x_n) - f(1)| = |f'(c_n)| |x_n - 1| \leqq \frac{1}{2} |x_n - 1|$$
$x_{n+1} = f(x_n)$、$1 = f(1)$ を代入して、
$$|x_{n+1} - 1| \leqq \frac{1}{2} |x_n - 1|$$
この不等式を繰り返し用いると、
$$|x_n - 1| \leqq \frac{1}{2} |x_{n-1} - 1| \leqq \left(\frac{1}{2}\right)^2 |x_{n-2} - 1| \leqq \cdots \leqq \left(\frac{1}{2}\right)^n |x_0 - 1|$$
となる。$n \to \infty$ のとき $\left(\frac{1}{2}\right)^n \to 0$ であるから、はさみうちの原理より
$$\lim_{n \to \infty} |x_n - 1| = 0$$
したがって、
$$\lim_{n \to \infty} x_n = 1$$
であることが示された。
解説
関数の微分による不等式の証明と、平均値の定理を用いた漸化式の極限という、微分法の応用における非常に典型的な融合問題です。 (1) で導関数のとりうる値の範囲を求めさせ、(2) でその結果と平均値の定理を利用して公比 $\frac{1}{2}$ の等比数列の形(縮小写像)を作り出す流れは、難関大入試で頻出のパターンです。 (2) で平均値の定理を適用する際に、$c_n > \frac{1}{2}$ を保証するために、あらかじめすべての $n$ について $x_n > \frac{1}{2}$ であることを帰納法で示しておくステップを忘れないように注意しましょう。
答え
(1) 導関数 $f'(x)$ を計算し、その増減を調べることで題意の不等式を示した。
(2) すべての $n$ について $x_n > \frac{1}{2}$ であることを帰納法で示し、$f(1)=1$ であることと平均値の定理を用いることで、$\lim_{n \to \infty} x_n = 1$ を示した。
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