数学3 数列・極限 問題 20 解説

方針・初手
(1) では、与えられた漸化式を $b_{n+1}$ の定義式に代入し、式を整理して $b_n$ との間に成り立つ関係式を導く。得られた漸化式を繰り返し用いることで、$b_n$ の一般項を推測・決定できる。 (2) では、(1) で得られた $b_n$ の式を $a_n$ について解き直す。その際、極限の振る舞いは初期値 $x$ によって変わるため、$b_1$ の絶対値が $1$ より大きいか小さいか、すなわち $x$ の符号によって場合分けを行う。(1) の前提である $x \neq -1$ にも注意し、$x = -1$ の場合は別途直接確認する。
解法1
(1) 与えられた漸化式 $a_{n+1} = \frac{1}{2} \left( a_n + \frac{1}{a_n} \right)$ を $b_{n+1}$ の定義式に代入する。
$$\begin{aligned} b_{n+1} &= \frac{a_{n+1} - 1}{a_{n+1} + 1} \\ &= \frac{\frac{1}{2} \left( a_n + \frac{1}{a_n} \right) - 1}{\frac{1}{2} \left( a_n + \frac{1}{a_n} \right) + 1} \end{aligned}$$
分母と分子に $2a_n$ を掛けて整理する。
$$\begin{aligned} b_{n+1} &= \frac{a_n^2 + 1 - 2a_n}{a_n^2 + 1 + 2a_n} \\ &= \frac{(a_n - 1)^2}{(a_n + 1)^2} \\ &= \left( \frac{a_n - 1}{a_n + 1} \right)^2 \\ &= b_n^2 \end{aligned}$$
したがって、$b_{n+1} = b_n^2$ が成り立つ。 この漸化式を繰り返し用いると、以下のようになる。
$$\begin{aligned} b_n &= b_{n-1}^2 \\ &= \left( b_{n-2}^2 \right)^2 = b_{n-2}^{2^2} \\ &\ \ \vdots \\ &= b_1^{2^{n-1}} \end{aligned}$$
ここで、初期値 $b_1$ は定義より $b_1 = \frac{x - 1}{x + 1}$ である。 よって、$b_n$ を $x$ の式で表すと以下のようになる。
$$b_n = \left( \frac{x - 1}{x + 1} \right)^{2^{n-1}}$$
(2) (1) より、$b_n = \frac{a_n - 1}{a_n + 1}$ であるから、これを $a_n$ について解く。
$$\begin{aligned} b_n (a_n + 1) &= a_n - 1 \\ (1 - b_n) a_n &= 1 + b_n \end{aligned}$$
ここで、$b_1 = \frac{x - 1}{x + 1}$ であり、仮定より $x \neq 0$ かつ $x \neq -1$ なので $b_1 \neq \pm 1$ である。よって任意の自然数 $n$ について $b_n = b_1^{2^{n-1}} \neq 1$ であるから、$1 - b_n \neq 0$ となり両辺を割ることができる。
$$a_n = \frac{1 + b_n}{1 - b_n}$$
極限を求めるため、$x$ の値によって場合分けを行う。
(i) $x > 0$ のとき $x > 0$ より $(x + 1)^2 - (x - 1)^2 = 4x > 0$ となるため、$|x - 1| < |x + 1|$ が成り立つ。 したがって、$\left| \frac{x - 1}{x + 1} \right| < 1$ であり、$|b_1| < 1$ である。 $n \to \infty$ のとき $2^{n-1} \to \infty$ であるから、$\lim_{n \to \infty} b_n = \lim_{n \to \infty} b_1^{2^{n-1}} = 0$ となる。 よって、極限値は次のようになる。
$$\lim_{n \to \infty} a_n = \frac{1 + 0}{1 - 0} = 1$$
(ii) $x < 0$ かつ $x \neq -1$ のとき $x < 0$ より $(x + 1)^2 - (x - 1)^2 = 4x < 0$ となるため、$|x - 1| > |x + 1|$ が成り立つ。 したがって、$\left| \frac{x - 1}{x + 1} \right| > 1$ であり、$|b_1| > 1$ である。 $n \to \infty$ のとき $2^{n-1} \to \infty$ であり、$b_n$ は正の無限大に発散する。 このとき、$a_n$ の式を次のように変形して極限をとる。
$$\lim_{n \to \infty} a_n = \lim_{n \to \infty} \frac{\frac{1}{b_n} + 1}{\frac{1}{b_n} - 1} = \frac{0 + 1}{0 - 1} = -1$$
(iii) $x = -1$ のとき (1) の変換は使えないため、漸化式から直接求める。 $a_1 = -1$ であり、$n=1$ のとき、
$$a_2 = \frac{1}{2} \left( -1 + \frac{1}{-1} \right) = -1$$
帰納的に、すべての自然数 $n$ について $a_n = -1$ となる。 したがって、極限値は次のようになる。
$$\lim_{n \to \infty} a_n = -1$$
以上 (i), (ii), (iii) より、求める極限値は $x > 0$ のとき $1$、$x < 0$ のとき $-1$ である。
解説
ニュートン法によって平方根を求める際に現れる有名な漸化式 $a_{n+1} = \frac{1}{2}\left(a_n + \frac{A}{a_n}\right)$ において、$A=1$ とした問題である。この漸化式は、関数 $f(t) = t^2 - 1$ に対して $f(t)=0$ の近似解をニュートン法で求める手順そのものを表している。 本問のように $b_n = \frac{a_n - 1}{a_n + 1}$ とおくことで、漸化式が $b_{n+1} = b_n^2$ という非常に扱いやすい形に帰着される手法は、このパターンの典型的な解法である。(2) の極限計算では、公比に相当する $b_1$ の絶対値が $1$ より大きいか小さいかを判定するために、$x$ の符号による場合分けが必要となる点がポイントである。また、文字式で割る際の $1 - b_n \neq 0$ の確認や、$x = -1$ の除外に対するケアを忘れないようにしたい。
答え
(1) $b_{n+1} = b_n^2$
$b_n = \left( \frac{x - 1}{x + 1} \right)^{2^{n-1}}$
(2) $x > 0$ のとき $1$
$x < 0$ のとき $-1$
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