数学3 数列・極限 問題 26 解説

方針・初手
関数 $f(x) = rx + q$ を用いて作られる数列の漸化式 $a_n = r a_{n-1} + q$ を立てる。(1) は漸化式にしたがって順次計算する。(2) は隣接2項間の線形漸化式を解く一般的な手順を踏むが、公比 $r$ の値による場合分けが必要となる。(3) は (2) で求めた一般項を用いて極限を考え、任意の $n$ に対して極限値が $a_n$ と等しくなる条件を求める。
解法1
問題文の定義より、$f(x) = rx + q$ である。 したがって、数列 $\{a_n\}$ は以下のように定義される。
$$a_1 = f(p) = rp + q$$
$$a_n = f(a_{n-1}) = r a_{n-1} + q \quad (n \ge 2)$$
(1)
漸化式を用いて順次計算する。
$$a_1 = rp + q$$
$$a_2 = r a_1 + q = r(rp + q) + q = r^2p + rq + q$$
$$a_3 = r a_2 + q = r(r^2p + rq + q) + q = r^3p + r^2q + rq + q$$
(2)
漸化式 $a_n = r a_{n-1} + q$ を解く。定数 $r$ の値によって場合分けを行う。
(i) $r = 1$ のとき
漸化式は $a_n = a_{n-1} + q$ となる。 これは、数列 $\{a_n\}$ が初項 $a_1 = p + q$、公差 $q$ の等差数列であることを意味する。 よって、一般項は次のように求められる。
$$a_n = p + q + (n - 1)q = p + nq$$
(ii) $r \neq 1$ のとき
漸化式は、特性方程式 $\alpha = r\alpha + q$ の解 $\alpha = \frac{q}{1-r}$ を用いて次のように変形できる。
$$a_n - \frac{q}{1-r} = r \left( a_{n-1} - \frac{q}{1-r} \right)$$
ここで、初項は $a_1 = rp + q$ であるから、
$$a_1 - \frac{q}{1-r} = rp + q - \frac{q}{1-r} = \frac{(rp + q)(1 - r) - q}{1 - r} = \frac{r(p - rp - q)}{1 - r} = r \left( p - \frac{q}{1-r} \right)$$
数列 $\left\{ a_n - \frac{q}{1-r} \right\}$ は、初項 $r \left( p - \frac{q}{1-r} \right)$、公比 $r$ の等比数列である。
$$a_n - \frac{q}{1-r} = r \left( p - \frac{q}{1-r} \right) \cdot r^{n-1} = r^n \left( p - \frac{q}{1-r} \right)$$
したがって、一般項は次のように求められる。
$$a_n = r^n \left( p - \frac{q}{1-r} \right) + \frac{q}{1-r}$$
(3)
与えられた条件は、極限 $\lim_{k \to \infty} a_k$ が有限の値として存在し、その値が任意の整数 $n \ge 1$ に対して $a_n$ と一致することである。 これを満たす $p$ を、(2) の結果を利用して求める。
(ア) $r = 1$ のとき
$a_k = p + kq$ であり、$p, q$ は正の実数であるから、
$$\lim_{k \to \infty} a_k = \lim_{k \to \infty} (p + kq) = \infty$$
となり、有限の極限値が存在しない。よって不適である。
(イ) $r \neq 1$ のとき
$$a_k = r^k \left( p - \frac{q}{1-r} \right) + \frac{q}{1-r}$$
$r > 0$ であるから、極限 $\lim_{k \to \infty} r^k$ は、$0 < r < 1$ のとき $0$ に収束し、$r > 1$ のとき $\infty$ に発散する。
・$0 < r < 1$ のとき
$\lim_{k \to \infty} r^k = 0$ より、極限は次のように求まる。
$$\lim_{k \to \infty} a_k = \frac{q}{1-r}$$
これが任意の $n$ について $a_n$ と等しいためには、次の等式が常に成り立つ必要がある。
$$r^n \left( p - \frac{q}{1-r} \right) + \frac{q}{1-r} = \frac{q}{1-r}$$
$$r^n \left( p - \frac{q}{1-r} \right) = 0$$
$r > 0$ より $r^n \neq 0$ であるから、
$$p - \frac{q}{1-r} = 0 \iff p = \frac{q}{1-r}$$
このとき、$q > 0$ かつ $0 < r < 1$ より $p > 0$ となり、$p$ が正の実数であるという問題の条件を満たす。
・$r > 1$ のとき
$\lim_{k \to \infty} r^k = \infty$ であるため、数列 $\{a_k\}$ が収束するためには、係数が $0$、すなわち $p - \frac{q}{1-r} = 0$ であることが必要である。 このとき $p = \frac{q}{1-r}$ となるが、$q > 0$ かつ $r > 1$ より $1 - r < 0$ となるため、$p < 0$ となる。 これは $p$ が正の実数であることに矛盾する。よって不適である。
以上より、条件を満たす $p$ は $0 < r < 1$ の場合にのみ存在し、その値は $\frac{q}{1-r}$ である。
解法2
(3)の別解
与えられた条件は、数列 $\{a_n\}$ の極限が存在し、かつそれが任意の $n$ について $a_n$ と等しいということである。 ある極限値 $\alpha$ が存在して $\lim_{k \to \infty} a_k = \alpha$ となるとき、任意の $n$ に対して $a_n = \alpha$ となる。 これは数列 $\{a_n\}$ がすべての項が等しい定数列であることを意味する。 定数列になるための必要十分条件は $a_1 = a_2$ である。(1)の計算結果より、
$$a_1 = rp + q$$
$$a_2 = r^2p + rq + q$$
これらが等しいから、
$$rp + q = r^2p + rq + q$$
移項して整理すると、
$$rp - r^2p - rq = 0$$
$$r(p - rp - q) = 0$$
$r > 0$ であるから、
$$p(1 - r) = q$$
$p, q > 0$ であるから、この等式を満たすためには $1 - r > 0$ すなわち $r < 1$ が必要である。$r > 0$ と合わせて $0 < r < 1$ を得る。 このとき、
$$p = \frac{q}{1-r}$$
となる。逆にこのとき、$a_1 = r \frac{q}{1-r} + q = \frac{rq + q(1-r)}{1-r} = \frac{q}{1-r} = p$ となり、$a_n$ は常に $p$ に等しい定数列となるため、$\lim_{k \to \infty} a_k = p = a_n$ が成り立つ。 したがって、求める $p$ は $0 < r < 1$ のとき $p = \frac{q}{1-r}$ である。
解説
隣接2項間の線形漸化式 $a_n = r a_{n-1} + q$ を解き、その極限を調べる典型的な問題である。(2)で $r=1$ と $r \neq 1$ の場合分けを忘れずに行うことが重要である。(3)の「任意の $n$ について $\lim_{k \to \infty} a_k = a_n$」という条件は、要するに数列 $\{a_n\}$ が定数列になるということと同値である。定数列になる条件 $a_1 = a_2$ から $p = \frac{q}{1-r}$ を導く別解も直感的かつ計算量が少なく有効である。いずれにせよ、問題文の「$p, q, r$ が正の実数」という条件から、$0 < r < 1$ という制約が生じる点を見落とさないようにしたい。
答え
(1) $a_3 = r^3p + r^2q + rq + q$
(2) $r=1$ のとき $a_n = p + nq$ 、 $r \neq 1$ のとき $a_n = r^n \left( p - \frac{q}{1-r} \right) + \frac{q}{1-r}$
(3) $0 < r < 1$ のとき $p = \frac{q}{1-r}$ ($r \ge 1$ のときは存在しない)
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