数学3 数列・極限 問題 38 解説

方針・初手
$n \to \infty$ のとき、$a^n$ の極限は底 $a$ の値によって振る舞いが変わるため、$a$ の値による場合分けが必要である。 具体的には、$a^n \to 0$ または $1$ となる $0 < a \le 1$ の場合と、$a^n \to \infty$ となる $a > 1$ の場合に分けて考える。極限の計算においては、不等式で評価してはさみうちの原理を用いるのが有効な手立てである。
解法1
$a$ は正の実数であるから、$a^n$ の極限の振る舞いに応じて $0 < a \le 1$ と $a > 1$ の2つの場合に分ける。
(i) $0 < a \le 1$ のとき
$0 < a^n \le 1$ であるから、各辺に $1$ を加えて
$$1 < 1+a^n \le 2$$
各辺の $\frac{1}{n}$ 乗をとると、$n$ は自然数であるから
$$1 < (1+a^n)^{\frac{1}{n}} \le 2^{\frac{1}{n}}$$
ここで、$\lim_{n \to \infty} 2^{\frac{1}{n}} = 2^0 = 1$ であるから、はさみうちの原理より
$$\lim_{n \to \infty} (1+a^n)^{\frac{1}{n}} = 1$$
(ii) $a > 1$ のとき
$a^n > 1$ であるから、
$$a^n < 1+a^n < a^n + a^n$$
すなわち
$$a^n < 1+a^n < 2a^n$$
各辺の $\frac{1}{n}$ 乗をとると、
$$a < (1+a^n)^{\frac{1}{n}} < 2^{\frac{1}{n}}a$$
ここで、$\lim_{n \to \infty} 2^{\frac{1}{n}}a = 1 \cdot a = a$ であるから、はさみうちの原理より
$$\lim_{n \to \infty} (1+a^n)^{\frac{1}{n}} = a$$
以上 (i), (ii) より、求める極限が得られる。
解法2
$a>1$ の場合について、くくり出しと対数を用いた式変形によって極限を求める別解を示す。
(ii) $a > 1$ のとき
$(1+a^n)^{\frac{1}{n}}$ を、括弧内で最も発散の速い $a^n$ でくくり出す。
$$(1+a^n)^{\frac{1}{n}} = \left\{ a^n \left( \frac{1}{a^n} + 1 \right) \right\}^{\frac{1}{n}} = a \left( \frac{1}{a^n} + 1 \right)^{\frac{1}{n}}$$
ここで、$A_n = \left( \frac{1}{a^n} + 1 \right)^{\frac{1}{n}}$ とおき、この自然対数をとる。
$$\log A_n = \frac{1}{n} \log \left( \frac{1}{a^n} + 1 \right)$$
$a > 1$ より $\lim_{n \to \infty} \frac{1}{a^n} = 0$ であるから、
$$\lim_{n \to \infty} \log A_n = 0 \cdot \log 1 = 0$$
対数関数は連続であるから、$n \to \infty$ のとき $\log A_n \to 0$ ならば $A_n \to e^0 = 1$ である。よって、
$$\lim_{n \to \infty} a \left( \frac{1}{a^n} + 1 \right)^{\frac{1}{n}} = a \cdot 1 = a$$
解説
指数関数 $a^n$ を含む極限計算の基本であり、底 $a$ の大きさで場合分けを行う定石問題である。 和の $\frac{1}{n}$ 乗の極限では、最も値の大きい項の振る舞いが結果を支配する(今回であれば $1$ と $a^n$ の大小)。 解法1のように定数倍の範囲で不等式を作り、はさみうちの原理を用いる手法が記述として最も安全かつ簡潔である。解法2のように最大項でくくり出す手法も極限の基本操作として重要であり、どちらのアプローチも習熟しておきたい。
答え
$0 < a \le 1$ のとき $1$
$a > 1$ のとき $a$
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