トップ 基礎問題 数学3 極限 数列・極限 問題 46

数学3 数列・極限 問題 46 解説

数学3 数列・極限 問題 46 解説

方針・初手

空間内の領域を直接扱うのは難しいため、特定の座標を固定して断面を考える。不等式を整理して絶対値の形にまとめると見通しが良くなる。本問では $y=k$ と固定し、$x, z$ 平面上の格子点数を数え上げる方針をとる。また、和を求めてから極限をとる方法と、区分求積法で一気に極限を計算する方法の2通りを示す。

解法1

与えられた連立不等式を $y$ について整理すると、

$$\begin{cases} y \leqq n - (x+z) \\ y \leqq n + (x-z) \\ y \geqq -n + (x-z) \\ y \geqq -n - (x+z) \end{cases}$$

これを絶対値を用いて書き換えると、

$$\begin{cases} |x+z| \leqq n-y \\ |x-z| \leqq n+y \end{cases}$$

$y$ は整数であり、上式が成立するためには $n-y \geqq 0$ かつ $n+y \geqq 0$、すなわち $-n \leqq y \leqq n$ であることが必要である。 ある整数 $y=k$ ($-n \leqq k \leqq n$) を固定して考える。満たすべき条件は、

$$\begin{cases} |x+z| \leqq n-k \\ |x-z| \leqq n+k \end{cases}$$

ここで $u = x+z$, $v = x-z$ とおくと、$u, v$ は整数である。 $u+v = 2x$ であり、$2x$ は偶数なので、$u$ と $v$ は偶奇が一致する。 逆に、$u, v$ が偶奇の等しい整数であれば、$x = \frac{u+v}{2}, z = \frac{u-v}{2}$ は整数となる。 したがって、求める条件は、

$$\begin{cases} |u| \leqq n-k \\ |v| \leqq n+k \end{cases}$$

を満たす偶奇の等しい整数の組 $(u,v)$ の個数を求めることに帰着される。

$A = n-k$, $B = n+k$ とおく。$A+B = 2n$ (偶数)であるため、$A, B$ は偶奇が等しい非負整数である。 $-A \leqq u \leqq A$ かつ $-B \leqq v \leqq B$ を満たす $(u,v)$ のうち、偶奇が一致するものの個数を調べる。

(i) $A, B$ がともに偶数のとき $-A \leqq u \leqq A$ に含まれる偶数は $A+1$ 個、奇数は $A$ 個である。$-B \leqq v \leqq B$ についても同様である。 $u, v$ がともに偶数となるのは $(A+1)(B+1)$ 通り、ともに奇数となるのは $AB$ 通り。 合計は $(A+1)(B+1) + AB = 2AB + A + B + 1$ 通り。

(ii) $A, B$ がともに奇数のとき $-A \leqq u \leqq A$ に含まれる偶数は $A$ 個、奇数は $A+1$ 個である。$-B \leqq v \leqq B$ についても同様である。 $u, v$ がともに偶数となるのは $AB$ 通り、ともに奇数となるのは $(A+1)(B+1)$ 通り。 合計は $AB + (A+1)(B+1) = 2AB + A + B + 1$ 通り。

いずれの場合も、条件を満たす $(u,v)$ の個数は $2AB + A + B + 1$ 個である。 $A = n-k, B = n+k$ を代入すると、$y=k$ 平面上の条件を満たす格子点の個数 $g(k)$ は、

$$g(k) = 2(n-k)(n+k) + (n-k) + (n+k) + 1 = 2(n^2 - k^2) + 2n + 1$$

$f(n)$ は $g(k)$ を $k=-n$ から $n$ まで足し合わせたものである。

$$\begin{aligned} f(n) &= \sum_{k=-n}^{n} \{ 2(n^2 - k^2) + 2n + 1 \} \\ &= (2n+1)(2n^2 + 2n + 1) - 2 \sum_{k=-n}^{n} k^2 \\ &= (2n+1)(2n^2 + 2n + 1) - 4 \sum_{k=1}^{n} k^2 \\ &= (2n+1)(2n^2 + 2n + 1) - 4 \cdot \frac{n(n+1)(2n+1)}{6} \\ &= (2n+1) \left\{ 2n^2 + 2n + 1 - \frac{2n(n+1)}{3} \right\} \\ &= (2n+1) \cdot \frac{6n^2 + 6n + 3 - 2n^2 - 2n}{3} \\ &= \frac{2n+1}{3} (4n^2 + 4n + 3) \\ &= \frac{1}{3} (8n^3 + 12n^2 + 10n + 3) \end{aligned}$$

よって、求める極限は、

$$\lim_{n \to \infty} \frac{f(n)}{n^3} = \lim_{n \to \infty} \frac{8n^3 + 12n^2 + 10n + 3}{3n^3} = \lim_{n \to \infty} \frac{1}{3} \left( 8 + \frac{12}{n} + \frac{10}{n^2} + \frac{3}{n^3} \right) = \frac{8}{3}$$

解法2

解法1において $y=k$ のときの格子点数 $g(k)$ を求めた後、和の公式を用いず区分求積法を用いて極限を直接求める。

求める極限は、

$$\lim_{n \to \infty} \frac{f(n)}{n^3} = \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n^3} \sum_{k=-n}^{n} \{ 2(n^2 - k^2) + 2n + 1 \}$$

これを区分求積法の形に変形すると、

$$\lim_{n \to \infty} \frac{f(n)}{n^3} = \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sum_{k=-n}^{n} \left\{ 2\left( 1 - \left(\frac{k}{n}\right)^2 \right) + \frac{2}{n} + \frac{1}{n^2} \right\}$$

ここで、第2項および第3項についての極限は、和の項数が $2n+1$ 個であることに注意すると、

$$\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sum_{k=-n}^{n} \left( \frac{2}{n} + \frac{1}{n^2} \right) = \lim_{n \to \infty} \frac{2n+1}{n} \left( \frac{2}{n} + \frac{1}{n^2} \right) = 0$$

したがって、求める極限は次のように定積分で表される。

$$\begin{aligned} \lim_{n \to \infty} \frac{f(n)}{n^3} &= \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sum_{k=-n}^{n} 2\left( 1 - \left(\frac{k}{n}\right)^2 \right) \\ &= \int_{-1}^{1} 2(1 - t^2) dt \\ &= 2 \left[ t - \frac{t^3}{3} \right]_{-1}^{1} \\ &= 2 \left\{ \left( 1 - \frac{1}{3} \right) - \left( -1 + \frac{1}{3} \right) \right\} \\ &= \frac{8}{3} \end{aligned}$$

解説

空間図形内の格子点数を数える典型的な難問である。そのまま $x, y, z$ を動かすと条件が複雑で処理しきれないため、1つの変数を固定して平面で切断する(本問では $y=k$)のが鉄則である。 断面の不等式は絶対値でまとめられるが、これは $x, z$ 平面上で辺が座標軸に対して $45^\circ$ 傾いた正方形を表す。これを数えやすくするために $u=x+z, v=x-z$ と変換する手法も重要である。このとき、変換前後の変数の偶奇性に注意を払う($u, v$ の偶奇一致条件)ことが完答への鍵となる。 また、解法2のように区分求積法を用いれば、$f(n)$ の厳密な多項式を求める煩雑な計算を回避でき、計算ミスを減らすことができる。「格子点数の極限は図形の体積に等しい」という直感的事実と直結する有効な解法である。

答え

$$\frac{8}{3}$$

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