数学3 数列・極限 問題 57 解説

方針・初手
- (1) は、数列の各項の範囲と単調増加性を示す。関数 $g(x) = \sin\frac{\pi x}{2} - x$ の増減を調べて $f(x)>x$ を示すことと、数学的帰納法を組み合わせる。
- (2) は、数列の比を関数 $h(x) = \frac{1-\sin\frac{\pi x}{2}}{1-x}$ の値と見なし、この関数の単調減少性を微分を用いて示す。
- (3) の $a_n$ の極限は、(2) の不等式から等比数列の和の形(はさみうちの原理)に帰着させる。$b_n$ の極限は、微分の定義式とみなして処理する。
解法1
(1)
$g(x) = \sin\frac{\pi x}{2} - x$ ($0 \le x \le 1$)とおく。これを微分すると
$$g'(x) = \frac{\pi}{2}\cos\frac{\pi x}{2} - 1$$
$$g''(x) = -\frac{\pi^2}{4}\sin\frac{\pi x}{2}$$
$0<x<1$ において、$g''(x) < 0$ であるから、$g'(x)$ は単調に減少する。
$g'(0) = \frac{\pi}{2} - 1 > 0$、$g'(1) = -1 < 0$ であるため、中間値の定理より $g'(c)=0$ となる実数 $c$ が $0<c<1$ の範囲にただ1つ存在する。
したがって、$g(x)$ は $0 \le x \le c$ で増加し、$c \le x \le 1$ で減少する。
$g(0)=0$、$g(1)=0$ であるから、$0<x<1$ において $g(x)>0$、すなわち $\sin\frac{\pi x}{2} > x$ が成り立つ。
次に、すべての自然数 $n$ に対して、$0<a_n<1$ であることを数学的帰納法で示す。
(i) $n=1$ のとき、$0<\alpha<1$ であり $a_1=\alpha$ であるから、$0<a_1<1$ が成り立つ。
(ii) $n=k$ のとき、$0<a_k<1$ が成り立つと仮定する。
$a_{k+1} = \sin\frac{\pi a_k}{2}$ であり、$0<a_k<1$ より $0<\frac{\pi a_k}{2}<\frac{\pi}{2}$ であるから、$0<\sin\frac{\pi a_k}{2}<1$ となる。
よって、$0<a_{k+1}<1$ が成り立ち、$n=k+1$ のときも成立する。
(i)、(ii) より、すべての自然数 $n$ に対して $0<a_n<1$ が成り立つ。
このとき、$0<a_n<1$ であるから、先に示した不等式に $x=a_n$ を代入すると $\sin\frac{\pi a_n}{2} > a_n$、すなわち $a_{n+1} > a_n$ が成り立つ。
以上より、すべての自然数 $n$ に対して、$0<a_n<1$ かつ $a_{n+1}>a_n$ が成り立つ。
(2)
$h(x) = \frac{1-\sin\frac{\pi x}{2}}{1-x}$ ($0<x<1$)とおく。これを微分すると
$$h'(x) = \frac{ \left( -\frac{\pi}{2}\cos\frac{\pi x}{2} \right)(1-x) - \left( 1-\sin\frac{\pi x}{2} \right)(-1) }{ (1-x)^2 } = \frac{ 1 - \sin\frac{\pi x}{2} - \frac{\pi}{2}(1-x)\cos\frac{\pi x}{2} }{ (1-x)^2 }$$
分子を $p(x)$ とおき、さらに微分する。
$$p'(x) = -\frac{\pi}{2}\cos\frac{\pi x}{2} - \frac{\pi}{2} \left\{ -\cos\frac{\pi x}{2} + (1-x)\left(-\frac{\pi}{2}\sin\frac{\pi x}{2}\right) \right\} = \frac{\pi^2}{4}(1-x)\sin\frac{\pi x}{2}$$
$0<x<1$ において、$1-x>0$ かつ $\sin\frac{\pi x}{2}>0$ であるから、$p'(x) > 0$ となる。
したがって、$p(x)$ は $0<x<1$ において単調に増加する。
また、$x \to 1$ のとき、$p(x) \to 1 - \sin\frac{\pi}{2} - 0 = 0$ であるから、$0<x<1$ において常に $p(x) < 0$ である。
ゆえに、$0<x<1$ において $h'(x) < 0$ となり、$h(x)$ は単調に減少する。
ここで、$b_n = \frac{1-a_{n+1}}{1-a_n} = \frac{1-\sin\frac{\pi a_n}{2}}{1-a_n} = h(a_n)$ と表せる。
(1) より $0<a_n<a_{n+1}<1$ であるから、$h(a_n) > h(a_{n+1})$ が成り立つ。
すなわち、すべての自然数 $n$ に対して $b_n > b_{n+1}$ が成り立つ。
(3)
(2) の結果より、$b_n = \frac{1-a_{n+1}}{1-a_n}$ だから $1-a_{n+1} = b_n(1-a_n)$ である。
数列 $\{b_n\}$ は単調に減少するため、$b_n \le b_1$ が成り立つ。
また、(1) より $0<a_n<1$、$0<a_{n+1}<1$ であるから、$b_n > 0$ である。
よって、以下の不等式が得られる。
$$0 < 1-a_{n+1} \le b_1(1-a_n)$$
これを繰り返し用いると
$$0 < 1-a_n \le b_1^{n-1} (1-a_1)$$
ここで、$b_1 = h(\alpha)$ である。(2) で示したように関数 $h(x)$ は $0<x<1$ で単調減少し、$\lim_{x \to +0} h(x) = 1$ であるから、$0<\alpha<1$ より $h(\alpha) < 1$ である。
すなわち、$0 < b_1 < 1$ であるから、$\lim_{n\to\infty} b_1^{n-1} = 0$ となる。はさみうちの原理より
$$\lim_{n\to\infty} (1-a_n) = 0$$
すなわち、$\lim_{n\to\infty} a_n = 1$ である。
次に、$\lim_{n\to\infty} b_n$ を求める。
$b_n = \frac{1-\sin\frac{\pi a_n}{2}}{1-a_n}$ であり、$\lim_{n\to\infty} a_n = 1$ であるから
$$\lim_{n\to\infty} b_n = \lim_{x\to 1} \frac{1-\sin\frac{\pi x}{2}}{1-x}$$
$f(x) = \sin\frac{\pi x}{2}$ とすると、$f(1) = 1$ であるから
$$\lim_{x\to 1} \frac{1-\sin\frac{\pi x}{2}}{1-x} = \lim_{x\to 1} \frac{f(1)-f(x)}{1-x} = \lim_{x\to 1} \frac{f(x)-f(1)}{x-1}$$
これは関数 $f(x)$ の $x=1$ における微分係数 $f'(1)$ の定義式に他ならない。
$f'(x) = \frac{\pi}{2}\cos\frac{\pi x}{2}$ より、$f'(1) = \frac{\pi}{2}\cos\frac{\pi}{2} = 0$ である。
したがって、$\lim_{n\to\infty} b_n = 0$ となる。
解法2
(3) の別解
(1) より、数列 $\{a_n\}$ は単調増加であり、かつ上に有界($a_n < 1$)である。
したがって、数列 $\{a_n\}$ は収束する。その極限値を $\beta$ とおくと、$0 < \alpha = a_1 \le a_n < 1$ であるから、$0 < \beta \le 1$ である。
漸化式 $a_{n+1} = \sin\frac{\pi a_n}{2}$ の両辺において $n \to \infty$ の極限をとると、関数 $\sin\frac{\pi x}{2}$ は連続であるから
$$\beta = \sin\frac{\pi \beta}{2}$$
ここで、$0 < x < 1$ においては (1) で示したように $\sin\frac{\pi x}{2} > x$ が成り立つため、$x = \sin\frac{\pi x}{2}$ を満たす実数 $x$ は区間 $(0, 1)$ に存在しない。
よって、$0 < \beta \le 1$ の範囲で等式を満たすのは $\beta = 1$ のみである。
したがって、$\lim_{n\to\infty} a_n = 1$。
次に、$b_n$ の極限について置き換えを用いて求める。
$\lim_{n\to\infty} a_n = 1$ より、
$$\lim_{n\to\infty} b_n = \lim_{x\to 1} \frac{1-\sin\frac{\pi x}{2}}{1-x}$$
$1-x = t$ とおくと、$x \to 1$ のとき $t \to 0$ であるから
$$\begin{aligned} \lim_{x\to 1} \frac{1-\sin\frac{\pi x}{2}}{1-x} &= \lim_{t\to 0} \frac{1-\sin\frac{\pi(1-t)}{2}}{t} \\ &= \lim_{t\to 0} \frac{1-\cos\frac{\pi t}{2}}{t} \\ &= \lim_{t\to 0} \frac{1-\cos^2\frac{\pi t}{2}}{t\left(1+\cos\frac{\pi t}{2}\right)} \\ &= \lim_{t\to 0} \frac{\sin^2\frac{\pi t}{2}}{t\left(1+\cos\frac{\pi t}{2}\right)} \\ &= \lim_{t\to 0} \left( \frac{\sin\frac{\pi t}{2}}{\frac{\pi t}{2}} \right)^2 \cdot \frac{\pi^2}{4} \cdot t \cdot \frac{1}{1+\cos\frac{\pi t}{2}} \\ &= 1^2 \cdot \frac{\pi^2}{4} \cdot 0 \cdot \frac{1}{1+1} = 0 \end{aligned}$$
したがって、$\lim_{n\to\infty} b_n = 0$。
解説
関数の反復による数列の極限を扱う、難関大で頻出のテーマである。
(1) での関数 $f(x)$ と直線 $y=x$ の上下関係の証明は、微分を用いて増減を調べる定石である。(2) で示す $b_n$ の単調減少性は、(3) で $a_n \to 1$ を厳密にはさみうちの原理で示すための誘導となっている。
(3) の前半については、「上に有界で単調増加な数列は収束する」という実数の連続性に関わる定理(解法2)を用いると簡潔に極限値の候補を絞り込めるが、高校数学の範囲では未証明の事実とされることが多い。そのため、解法1のように (2) の誘導に乗って等比数列の形に帰着させ、はさみうちの原理を用いるのが、出題者の意図に沿った最も厳密で安全な解法である。
(3) の後半の $b_n$ の極限は、式が微分の定義式 $\frac{f(x)-f(a)}{x-a}$ の形になっていることに気づけば、計算量が大幅に減る。極限の基本に忠実に置き換えを用いて計算するのも良い練習になる。
答え
$$\lim_{n\to\infty} a_n = 1$$
$$\lim_{n\to\infty} b_n = 0$$
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