数学A 整数問題 問題 15 解説

方針・初手
共通の値をそのまま扱うより、各式を
$$ ab+2b-a=(a+2)(b-1)+2 $$
と変形するのが初手である。これにより、3つの条件を1つの循環的な写像として処理できる。
解法1
共通の値を $K$ とし、$d=K-2$ とおく。このとき
$$ (a+2)(b-1)=(b+2)(c-1)=(c+2)(a-1)=d $$
である。
まず $d\neq 0$ を確認する。もし $d=0$ なら
$$ (a+2)(b-1)=0,\quad (b+2)(c-1)=0,\quad (c+2)(a-1)=0 $$
である。第3式より $c=-2$ または $a=1$ である。
(i)
$a=1$ のとき、第1式より $3(b-1)=0$ となり、$b=1$ である。これは $a,b,c$ が相異なることに反する。
(ii)
$a\neq 1$ のとき、第3式より $c=-2$ である。すると第2式より $(b+2)(-3)=0$ なので $b=-2$ となり、$b=c$ である。これも相異なることに反する。
よって $d\neq 0$ である。
したがって $a+2,b+2,c+2$ はいずれも $0$ でない。そこで
$$ f(x)=1+\frac{d}{x+2} $$
とおくと、
$$ b=f(a),\quad c=f(b),\quad a=f(c) $$
である。したがって
$$ f(f(f(a)))=a $$
が成り立つ。
ここで計算すると
$$ \begin{aligned} f(f(f(x)))-x &= -\frac{(d+9){(x+2)(x-1)-d}}{dx+5d+9x+18} \end{aligned} $$
である。これに $x=a$ を代入する。
分母は、もとの $a,b,c$ が実数として定まっているので $0$ ではない。また
$$ (a+2)(a-1)-d=0 $$
ならば、$d=(a+2)(b-1)$ と合わせて
$$ (a+2)(a-1)=(a+2)(b-1) $$
となる。$d\neq 0$ より $a+2\neq 0$ だから、$a=b$ となり、相異なる条件に反する。
したがって残る可能性は
$$ d+9=0 $$
であり、
$$ d=-9 $$
である。よって
$$ K=d+2=-7 $$
となる。したがって
$$ ab+2b-a=-7 $$
である。
次に、$d=-9$ より
$$ (a+2)(b-1)=-9 $$
なので
$$ b=1-\frac{9}{a+2}=\frac{a-7}{a+2} $$
である。また
$$ c=1-\frac{9}{b+2} $$
に代入すると
$$ c=-\frac{2a+7}{a-1} $$
となる。ここで $a\neq -2,1$ である。
まず $a,b,c$ がすべて整数である場合を調べる。すべて整数なら特に $a,b$ は整数であるから、
$$ b=1-\frac{9}{a+2} $$
より、$a+2$ は $9$ の約数でなければならない。したがって
$$ a+2=\pm1,\pm3,\pm9 $$
である。ただし $a=1$ は除くので、候補は
$$ a=-11,-5,-3,-1,7 $$
である。
それぞれについて $b,c$ を求めると、次のようになる。
| $a$ | $b$ | $c$ |
|---|---|---|
| $-11$ | $2$ | $-\dfrac{5}{4}$ |
| $-5$ | $4$ | $-\dfrac{1}{2}$ |
| $-3$ | $10$ | $\dfrac{1}{4}$ |
| $-1$ | $-8$ | $\dfrac{5}{2}$ |
| $7$ | $0$ | $-\dfrac{7}{2}$ |
いずれの場合も $c$ は整数でない。よって、$a,b,c$ がすべて整数である組は存在しない。
次に、$a,b,c$ のうち少なくとも2つが整数である場合を数える。
まず $a,b$ が整数である場合は、上の表より5通りである。このとき $c$ はいずれも整数でない。
条件は $a,b,c$ に関して循環的であるから、$b,c$ が整数である場合も5通り、$c,a$ が整数である場合も5通りである。さらに、すべて整数である組は存在しないので、これらは重複しない。
したがって、少なくとも2つが整数である組の個数は
$$ 5+5+5=15 $$
である。
最後に、この15通りにおける $a+b+c$ の最大値と最小値を求める。循環的に並べ替えても和は変わらないので、上の5通りだけを調べればよい。
| $(a,b,c)$ | $a+b+c$ |
|---|---|
| $\left(-11,2,-\dfrac{5}{4}\right)$ | $-\dfrac{41}{4}$ |
| $\left(-5,4,-\dfrac{1}{2}\right)$ | $-\dfrac{3}{2}$ |
| $\left(-3,10,\dfrac{1}{4}\right)$ | $\dfrac{29}{4}$ |
| $\left(-1,-8,\dfrac{5}{2}\right)$ | $-\dfrac{13}{2}$ |
| $\left(7,0,-\dfrac{7}{2}\right)$ | $\dfrac{7}{2}$ |
よって最大値は
$$ \frac{29}{4} $$
であり、最小値は
$$ -\frac{41}{4} $$
である。
解説
この問題の核心は、式
$$ ab+2b-a $$
をそのまま扱わず、
$$ ab+2b-a=(a+2)(b-1)+2 $$
と見ることである。これにより、条件が
$$ (a+2)(b-1)=(b+2)(c-1)=(c+2)(a-1) $$
という循環構造になる。
その後は、共通値から2を引いた値を $d$ とおき、$b=f(a),c=f(b),a=f(c)$ という3周期の形に落とす。相異なる3つの実数という条件により、固定点の場合を排除できるため、$d=-9$ が強制される。
整数条件では、$b=1-\dfrac{9}{a+2}$ から $a+2$ が $9$ の約数であることを使う。ここで全整数解が存在しないことを確認してから、循環対称性により「少なくとも2つが整数」の個数を3倍するのが効率的である。
答え
(1)
$$ \boxed{-7} $$
(2)
$$ \boxed{0} $$
(3)
少なくとも2つが整数である組の個数は
$$ \boxed{15} $$
である。
その中で $a+b+c$ の最大値は
$$ \boxed{\frac{29}{4}} $$
であり、最小値は
$$ \boxed{-\frac{41}{4}} $$
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