数学A 整数問題 問題 90 解説

方針・初手
$a+b\sqrt{5}$ 型の数では、有理数部分と $\sqrt{5}$ の係数部分を分けて考える。核心は、$\sqrt{5}$ が無理数であるため、有理数 $x,y$ に対して
$$ x+y\sqrt{5}=0 $$
ならば $x=y=0$ となることである。
解法1
まず (1) を示す。
$a,b$ は有理数であり、
$$ a+b\sqrt{5}=0 $$
とする。
もし $b\ne 0$ ならば、
$$ \sqrt{5}=-\frac{a}{b} $$
となる。右辺は有理数であるから、$\sqrt{5}$ が有理数になってしまう。これは $\sqrt{5}$ が無理数であることに反する。
したがって $b=0$ である。このとき
$$ a+b\sqrt{5}=0 $$
より $a=0$ も従う。
よって、
$$ a=b=0 $$
である。
次に (2) を解く。
$c+d\sqrt{5}$ が $a+b\sqrt{5}$ の逆数であるから、
$$ (a+b\sqrt{5})(c+d\sqrt{5})=1 $$
である。左辺を展開すると、
$$ (a+b\sqrt{5})(c+d\sqrt{5}) =ac+5bd+(ad+bc)\sqrt{5} $$
であるから、
$$ ac+5bd+(ad+bc)\sqrt{5}=1 $$
すなわち
$$ (ac+5bd-1)+(ad+bc)\sqrt{5}=0 $$
となる。
ここで $ac+5bd-1$ と $ad+bc$ は有理数であるから、(1) より
$$ \begin{cases} ac+5bd-1=0,\\ ad+bc=0 \end{cases} $$
である。つまり
$$ \begin{cases} ac+5bd=1,\\ bc+ad=0 \end{cases} $$
を得る。
これを $c,d$ について解く。第1式に $a$、第2式に $-5b$ をかけて加えると、
$$ a(ac+5bd)-5b(bc+ad)=a $$
より、
$$ (a^2-5b^2)c=a $$
となる。
同様に、第1式に $-b$、第2式に $a$ をかけて加えると、
$$ -b(ac+5bd)+a(bc+ad)=-b $$
より、
$$ (a^2-5b^2)d=-b $$
となる。
ここで $a^2+b^2\ne 0$ であるから、$a,b$ は同時には $0$ でない。また、もし
$$ a^2-5b^2=0 $$
ならば、$a^2=5b^2$ である。$b\ne 0$ なら $\sqrt{5}=\left|\dfrac{a}{b}\right|$ となり、$\sqrt{5}$ が有理数になってしまう。これは矛盾である。したがって $b=0$ であり、そのとき $a=0$ となるが、これは $a^2+b^2\ne 0$ に反する。
よって
$$ a^2-5b^2\ne 0 $$
である。
したがって、
$$ c=\frac{a}{a^2-5b^2},\qquad d=-\frac{b}{a^2-5b^2} $$
である。
最後に (3) を示す。
(2) より、
$$ c=\frac{a}{a^2-5b^2},\qquad d=-\frac{b}{a^2-5b^2} $$
である。ここで
$$ N=a^2-5b^2 $$
とおく。
まず、$c,d$ が整数であるとする。このとき
$$ a=Nc,\qquad b=-Nd $$
である。これを $N=a^2-5b^2$ に代入すると、
$$ N=(Nc)^2-5(-Nd)^2 $$
より、
$$ N=N^2(c^2-5d^2) $$
となる。
また $N\ne 0$ であるから、両辺を $N$ で割って
$$ 1=N(c^2-5d^2) $$
を得る。$N$ と $c^2-5d^2$ は整数なので、$N$ は $1$ の約数である。したがって
$$ N=\pm 1 $$
すなわち
$$ |a^2-5b^2|=1 $$
である。
逆に、
$$ |a^2-5b^2|=1 $$
とする。このとき
$$ a^2-5b^2=\pm 1 $$
であるから、
$$ c=\frac{a}{a^2-5b^2},\qquad d=-\frac{b}{a^2-5b^2} $$
は整数である。実際、分母が $1$ または $-1$ なので、整数 $a,b$ に対して $c,d$ も整数になる。
よって、$c,d$ が整数になるための必要十分条件は
$$ |a^2-5b^2|=1 $$
である。
解説
この問題では、$a+b\sqrt{5}$ のような数を扱うとき、有理数部分と $\sqrt{5}$ の係数部分を分けることが重要である。
特に、$\sqrt{5}$ が無理数であることから、有理数 $x,y$ について
$$ x+y\sqrt{5}=0 $$
ならば $x=y=0$ と判断できる。この事実を使うことで、逆数の条件を連立方程式に直すことができる。
また、(3) では
$$ a^2-5b^2 $$
が分母として現れるため、これを $N$ とおくと整理しやすい。$c,d$ が整数であることは、分母 $N$ が $a,b$ を割ることに対応し、最終的に $N=\pm 1$ が導かれる。
答え
(1)
$$ a+b\sqrt{5}=0 $$
ならば
$$ a=b=0 $$
である。
(2)
$$ c=\frac{a}{a^2-5b^2},\qquad d=-\frac{b}{a^2-5b^2} $$
である。
(3)
$c,d$ が整数になるための必要十分条件は
$$ |a^2-5b^2|=1 $$
である。
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