数学B 数学的帰納法 問題 27 解説

方針・初手
(1) では導関数の符号から増減を調べる。特に $x \geqq 0$ に制限されているので、極値を与える候補が定義域内にあるかを確認する。
(2) は
$$ x^3>3x^2+3x+1 $$
を
$$ f(x)>0 $$
と言い換え、(1) で得た増減を用いる。
(3) は数学的帰納法で示す。帰納法の推論部分では、(2) の結果を $x=m$ に適用して
$$ m^3>3m^2+3m+1=(m+1)^3-m^3 $$
を使うのが自然である。
解法1
(1)
$$ f(x)=x^3-3x^2-3x-1 $$
とする。導関数は
$$ f'(x)=3x^2-6x-3=3(x^2-2x-1) $$
である。したがって
$$ f'(x)=3{x-(1-\sqrt{2})}{x-(1+\sqrt{2})} $$
となる。
ここで $1-\sqrt{2}<0$ であり、定義域は $x\geqq 0$ であるから、$x\geqq 0$ において符号が変わる点は
$$ x=1+\sqrt{2} $$
のみである。
よって、$x\geqq 0$ における $f'(x)$ の符号は
$$ \begin{cases} f'(x)<0 & (0\leqq x<1+\sqrt{2}) \\ f'(x)=0 & (x=1+\sqrt{2}) \\ f'(x)>0 & (x>1+\sqrt{2}) \end{cases} $$
である。したがって、$f(x)$ は $0\leqq x\leqq 1+\sqrt{2}$ で減少し、$x\geqq 1+\sqrt{2}$ で増加する。
ゆえに、$x\geqq 0$ における最小値は $x=1+\sqrt{2}$ のときにとる。
$t=1+\sqrt{2}$ とおくと、$t^2=2t+1$ であるから、
$$ t^3=t(2t+1)=2t^2+t=2(2t+1)+t=5t+2 $$
となる。よって
$$ \begin{aligned} f(t) &=t^3-3t^2-3t-1 \\ &=(5t+2)-3(2t+1)-3t-1 \\ &=5t+2-6t-3-3t-1 \\ &=-4t-2 \\ &=-4(1+\sqrt{2})-2 \\ &=-6-4\sqrt{2} \end{aligned} $$
である。
したがって、$x\geqq 0$ における $f(x)$ の最小値は
$$ -6-4\sqrt{2} $$
である。
(2)
(1) より、$f(x)$ は $x\geqq 1+\sqrt{2}$ において増加する。
また、
$$ 4>1+\sqrt{2} $$
であるから、$x\geqq 4$ のとき
$$ f(x)\geqq f(4) $$
である。
ここで
$$ f(4)=4^3-3\cdot 4^2-3\cdot 4-1=64-48-12-1=3 $$
となる。したがって、$x\geqq 4$ のとき
$$ f(x)\geqq 3>0 $$
である。
すなわち
$$ x^3-3x^2-3x-1>0 $$
であるから、
$$ x^3>3x^2+3x+1 $$
が成り立つ。
(3)
$m\geqq 10$ を満たすすべての自然数 $m$ に対して
$$ 2^m>m^3 $$
が成り立つことを数学的帰納法で示す。
まず $m=10$ のとき、
$$ 2^{10}=1024,\qquad 10^3=1000 $$
であるから、
$$ 2^{10}>10^3 $$
が成り立つ。
次に、ある自然数 $k\geqq 10$ に対して
$$ 2^k>k^3 $$
が成り立つと仮定する。このとき、$k\geqq 10$ なので、特に $k\geqq 4$ である。
よって (2) の結果を $x=k$ に適用すると、
$$ k^3>3k^2+3k+1 $$
が成り立つ。
したがって
$$ 2k^3>k^3+3k^2+3k+1=(k+1)^3 $$
である。
帰納法の仮定 $2^k>k^3$ より、
$$ 2^{k+1}=2\cdot 2^k>2k^3 $$
であるから、
$$ 2^{k+1}>2k^3>(k+1)^3 $$
となる。よって
$$ 2^{k+1}>(k+1)^3 $$
が示された。
以上より、数学的帰納法によって、すべての自然数 $m\geqq 10$ に対して
$$ 2^m>m^3 $$
が成り立つ。
解説
(1) は三次関数の増減表の問題である。ただし、定義域が $x\geqq 0$ に制限されているため、導関数の零点のうち $1-\sqrt{2}$ は定義域外にある。この点を処理しないと、増減の判断を誤る。
(2) は不等式を直接変形するよりも、左辺と右辺の差を $f(x)$ と見て、(1) の増減を使うのがよい。$x\geqq 4$ では $f(x)$ が増加しており、しかも $f(4)>0$ であるため、不等式が一気に示せる。
(3) は、指数関数 $2^m$ と多項式 $m^3$ の大小比較を帰納法で扱う典型問題である。帰納法の仮定から $2^{k+1}>2k^3$ まではすぐに出るので、残る課題は
$$ 2k^3>(k+1)^3 $$
を示すことである。これは
$$ k^3>3k^2+3k+1 $$
と同値であり、まさに (2) の結果を利用できる形である。
答え
(1)
$x\geqq 0$ における $f(x)$ の最小値は
$$ -6-4\sqrt{2} $$
である。最小値をとるのは
$$ x=1+\sqrt{2} $$
のときである。
(2)
すべての実数 $x\geqq 4$ に対して
$$ x^3>3x^2+3x+1 $$
が成り立つ。
(3)
すべての自然数 $m\geqq 10$ に対して
$$ 2^m>m^3 $$
が成り立つ。
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