数学B 数学的帰納法 問題 31 解説

方針・初手
漸化式
$$ a_{n+1}=1-\frac{1}{4a_n} $$
は、計算すると分数の分子・分母に規則性が現れる。まず数項を求めて一般項を推定し、その後は数学的帰納法で確定する。
不等式は、漸化式を
$$ 1-a_{n+1}=\frac{1}{4a_n} $$
と見直すと、二次式の判別式が $0$ になる形になっていることを利用する。
解法1
まず数列の初めの項を求める。
$$ a_1=\frac{3}{4} $$
より、
$$ a_2=1-\frac{1}{4a_1} =1-\frac{1}{4\cdot \frac{3}{4}} =1-\frac{1}{3} =\frac{2}{3} $$
である。
同様に、
$$ a_3=1-\frac{1}{4a_2} =1-\frac{1}{4\cdot \frac{2}{3}} =1-\frac{3}{8} =\frac{5}{8} $$
$$ a_4=1-\frac{1}{4a_3} =1-\frac{1}{4\cdot \frac{5}{8}} =1-\frac{2}{5} =\frac{3}{5} $$
$$ a_5=1-\frac{1}{4a_4} =1-\frac{1}{4\cdot \frac{3}{5}} =1-\frac{5}{12} =\frac{7}{12} $$
$$ a_6=1-\frac{1}{4a_5} =1-\frac{1}{4\cdot \frac{7}{12}} =1-\frac{3}{7} =\frac{4}{7} $$
したがって、
$$ a_1=\frac{3}{4},\quad a_2=\frac{4}{6},\quad a_3=\frac{5}{8},\quad a_4=\frac{6}{10},\quad a_5=\frac{7}{12},\quad a_6=\frac{8}{14} $$
と見られるから、一般項は
$$ a_n=\frac{n+2}{2n+2} =\frac{n+2}{2(n+1)} $$
と推定できる。
次に、これを数学的帰納法で証明する。
$n=1$ のとき、
$$ \frac{1+2}{2(1+1)}=\frac{3}{4} $$
であり、確かに成り立つ。
$n=k$ のとき
$$ a_k=\frac{k+2}{2(k+1)} $$
が成り立つと仮定する。このとき、
$$ \begin{aligned} a_{k+1} &=1-\frac{1}{4a_k}\\ &=1-\frac{1}{4\cdot \frac{k+2}{2(k+1)}}\\ &=1-\frac{k+1}{2(k+2)}\\ &=\frac{2(k+2)-(k+1)}{2(k+2)}\\ &=\frac{k+3}{2(k+2)}. \end{aligned} $$
これは
$$ a_{k+1}=\frac{(k+1)+2}{2((k+1)+1)} $$
であるから、$n=k+1$ のときも成り立つ。
よって、すべての正の整数 $n$ について
$$ a_n=\frac{n+2}{2(n+1)} $$
である。
次に、すべての実数 $x$ に対して
$$ a_nx^2+x+1\geqq a_{n+1} $$
を示す。
漸化式より、
$$ a_{n+1}=1-\frac{1}{4a_n} $$
であるから、
$$ 1-a_{n+1}=\frac{1}{4a_n} $$
である。したがって、
$$ \begin{aligned} a_nx^2+x+1-a_{n+1} &=a_nx^2+x+(1-a_{n+1})\\ &=a_nx^2+x+\frac{1}{4a_n}\\ &=a_n\left(x+\frac{1}{2a_n}\right)^2. \end{aligned} $$
ここで $a_n>0$ であるから、
$$ a_n\left(x+\frac{1}{2a_n}\right)^2\geqq 0 $$
である。よって、
$$ a_nx^2+x+1\geqq a_{n+1} $$
がすべての実数 $x$ に対して成り立つ。
最後に、すべての実数 $x$ に対して
$$ x^{2n}+x^{2n-1}+\cdots+x^2+x+1\geqq a_n $$
を示す。
これを数学的帰納法で証明する。
$n=1$ のとき、示すべき不等式は
$$ x^2+x+1\geqq a_1 $$
である。$a_1=\dfrac{3}{4}$ より、
$$ x^2+x+1-a_1 =x^2+x+\frac{1}{4} =\left(x+\frac{1}{2}\right)^2\geqq 0 $$
である。したがって、$n=1$ のとき成り立つ。
次に、$n=k$ のとき
$$ x^{2k}+x^{2k-1}+\cdots+x^2+x+1\geqq a_k $$
がすべての実数 $x$ について成り立つと仮定する。
$n=k+1$ のとき、左辺は
$$ x^{2k+2}+x^{2k+1}+\cdots+x^2+x+1 $$
である。これは
$$ x^2(x^{2k}+x^{2k-1}+\cdots+x^2+x+1)+x+1 $$
と書ける。
帰納法の仮定より、
$$ x^{2k}+x^{2k-1}+\cdots+x^2+x+1\geqq a_k $$
であり、また $x^2\geqq 0$ であるから、
$$ x^2(x^{2k}+x^{2k-1}+\cdots+x^2+x+1)\geqq a_kx^2 $$
である。したがって、
$$ x^{2k+2}+x^{2k+1}+\cdots+x^2+x+1 \geqq a_kx^2+x+1 $$
となる。
すでに示した不等式
$$ a_kx^2+x+1\geqq a_{k+1} $$
を用いれば、
$$ x^{2k+2}+x^{2k+1}+\cdots+x^2+x+1\geqq a_{k+1} $$
が従う。
よって、$n=k+1$ のときも成り立つ。
以上より、すべての正の整数 $n$ とすべての実数 $x$ に対して
$$ x^{2n}+x^{2n-1}+\cdots+x^2+x+1\geqq a_n $$
が成り立つ。
解説
この問題の中心は、漸化式を単に計算するだけでなく、
$$ 1-a_{n+1}=\frac{1}{4a_n} $$
という形に変形して、不等式の平方完成に結びつける点にある。
特に
$$ a_nx^2+x+1-a_{n+1} =a_n\left(x+\frac{1}{2a_n}\right)^2 $$
となるため、二次不等式は自然に証明できる。
最後の不等式では、
$$ x^{2n}+x^{2n-1}+\cdots+x+1 $$
を
$$ x^2(x^{2n-2}+x^{2n-3}+\cdots+x+1)+x+1 $$
と分解するのが重要である。これにより、前問の二次不等式をそのまま帰納法の推移に利用できる。
答え
(1)
$$ a_2=\frac{2}{3},\quad a_3=\frac{5}{8},\quad a_4=\frac{3}{5},\quad a_5=\frac{7}{12},\quad a_6=\frac{4}{7} $$
一般項は
$$ a_n=\frac{n+2}{2(n+1)} $$
である。
(2)
数学的帰納法により、
$$ a_n=\frac{n+2}{2(n+1)} $$
がすべての正の整数 $n$ について成り立つ。
(3)
すべての正の整数 $n$ とすべての実数 $x$ に対して、
$$ a_nx^2+x+1\geqq a_{n+1} $$
が成り立つ。
(4)
すべての正の整数 $n$ とすべての実数 $x$ に対して、
$$ x^{2n}+x^{2n-1}+\cdots+x^2+x+1\geqq a_n $$
が成り立つ。
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