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数学B 数学的帰納法 問題 36 解説

数学B 数学的帰納法 問題 36 解説

方針・初手

$a+b=1$ であるから、$ax+by$ は $x,y$ の重みつき平均である。自然数 $n$ に関する不等式なので、数学的帰納法を用いる。

帰納法の段階では、仮定式に $ax+by$ を掛けたあと、目標との差を

$$ ab(x-y)(x^k-y^k) $$

の形に整理するのが要点である。

解法1

$n=1$ のとき、

$$ (ax+by)^1=ax+by=ax^1+by^1 $$

であるから、不等式は成り立つ。

次に、ある自然数 $k$ に対して

$$ (ax+by)^k\leq ax^k+by^k $$

が成り立つと仮定する。

$x,y,a,b$ は正の数なので $ax+by>0$ である。したがって、両辺に $ax+by$ を掛けて

$$ (ax+by)^{k+1}\leq (ax^k+by^k)(ax+by) $$

を得る。

右辺を展開すると、

$$ \begin{aligned} (ax^k+by^k)(ax+by) &=a^2x^{k+1}+abx^ky+abxy^k+b^2y^{k+1} \end{aligned} $$

である。

ここで、目標である $ax^{k+1}+by^{k+1}$ との差を調べる。

$$ \begin{aligned} &\quad ax^{k+1}+by^{k+1}-(ax^k+by^k)(ax+by)\\ &=ax^{k+1}+by^{k+1} -\left(a^2x^{k+1}+abx^ky+abxy^k+b^2y^{k+1}\right)\\ &=a(1-a)x^{k+1}+b(1-b)y^{k+1}-abx^ky-abxy^k \end{aligned} $$

$a+b=1$ より $1-a=b,\ 1-b=a$ であるから、

$$ \begin{aligned} &\quad a(1-a)x^{k+1}+b(1-b)y^{k+1}-abx^ky-abxy^k\\ &=abx^{k+1}+aby^{k+1}-abx^ky-abxy^k\\ &=ab\left(x^{k+1}+y^{k+1}-x^ky-xy^k\right)\\ &=ab\left\{x^k(x-y)-y^k(x-y)\right\}\\ &=ab(x-y)(x^k-y^k) \end{aligned} $$

である。

$x,y$ は正の数であり、関数 $t^k$ は $t>0$ で増加する。したがって、$x-y$ と $x^k-y^k$ は同符号であるから、

$$ (x-y)(x^k-y^k)\geq 0 $$

である。よって

$$ ab(x-y)(x^k-y^k)\geq 0 $$

となり、

$$ (ax^k+by^k)(ax+by)\leq ax^{k+1}+by^{k+1} $$

が成り立つ。

以上より、

$$ (ax+by)^{k+1}\leq (ax^k+by^k)(ax+by)\leq ax^{k+1}+by^{k+1} $$

である。したがって、$n=k+1$ のときも不等式は成り立つ。

数学的帰納法により、すべての自然数 $n$ に対して

$$ (ax+by)^n\leq ax^n+by^n $$

が成り立つ。

解説

この不等式は、$x^n$ が凸関数であることに対応する重みつき平均の不等式である。ただし、ここでは微分や凸性を使わず、数学的帰納法だけで証明している。

帰納法の核心は、$n=k$ から $n=k+1$ へ進むときに、単に両辺へ $ax+by$ を掛けるだけでは終わらない点である。その後に

$$ (ax^k+by^k)(ax+by)\leq ax^{k+1}+by^{k+1} $$

を示す必要がある。

この差が

$$ ab(x-y)(x^k-y^k) $$

と因数分解でき、これが常に $0$ 以上になることが決め手である。

答え

すべての自然数 $n$ に対して、

$$ (ax+by)^n\leq ax^n+by^n $$

が成り立つ。

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