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数学B 数学的帰納法 問題 46 解説

数学B 数学的帰納法 問題 46 解説

方針・初手

$(2+i)^n$ の虚部に注目する。まず小さい $n$ で計算し、虚部の整数を $10$ で割った余りに規則性があることを確認する。

その後、$(2+i)^n=a_n+b_n i$ とおき、虚部 $b_n$ が $10$ で割って $1$ または $4$ 余ることを示せば、$b_n\neq 0$ である。したがって $(2+i)^n$ は実数ではなく、虚数であると分かる。

解法1

まず、順に計算する。

$$ (2+i)^2=4+4i+i^2=3+4i $$

よって、虚部の整数は $4$ であり、$10$ で割った余りは $4$ である。

次に、

$$ (2+i)^3=(3+4i)(2+i)=6+3i+8i+4i^2=2+11i $$

よって、虚部の整数は $11$ であり、$10$ で割った余りは $1$ である。

また、

$$ (2+i)^4=(2+11i)(2+i)=4+2i+22i+11i^2=-7+24i $$

よって、虚部の整数は $24$ であり、$10$ で割った余りは $4$ である。

さらに、

$$ (2+i)^5=(-7+24i)(2+i)=-14-7i+48i+24i^2=-38+41i $$

よって、虚部の整数は $41$ であり、$10$ で割った余りは $1$ である。

以上より、$(1)$ の結果は

$$ \begin{aligned} (2+i)^2&=3+4i,\\ (2+i)^3&=2+11i,\\ (2+i)^4&=-7+24i,\\ (2+i)^5&=-38+41i \end{aligned} $$

であり、虚部の整数を $10$ で割った余りは順に

$$ 4,\ 1,\ 4,\ 1 $$

である。

次に、正の整数 $n$ に対して $(2+i)^n$ が虚数であることを示す。

$$ (2+i)^n=a_n+b_n i $$

とおく。ただし、$a_n,b_n$ は整数である。

$(2+i)^{n+1}$ を考えると、

$$ \begin{aligned} (2+i)^{n+1} &=(a_n+b_n i)(2+i)\\ &=2a_n+a_n i+2b_n i+b_n i^2\\ &=(2a_n-b_n)+(a_n+2b_n)i \end{aligned} $$

である。したがって、

$$ a_{n+1}=2a_n-b_n,\qquad b_{n+1}=a_n+2b_n $$

である。

ここで、$b_n$ の $10$ で割った余りが $n$ の偶奇によって定まることを示す。実際、

$$ (2+i)^1=2+i $$

より、$b_1=1$ である。また、すでに計算したように $b_2=4$ である。

さらに、$(2+i)^2=3+4i$ であるから、

$$ (2+i)^{n+2}=(2+i)^n(2+i)^2 $$

である。よって、

$$ \begin{aligned} (2+i)^{n+2} &=(a_n+b_n i)(3+4i)\\ &=3a_n+4a_n i+3b_n i+4b_n i^2\\ &=(3a_n-4b_n)+(4a_n+3b_n)i \end{aligned} $$

となる。したがって、

$$ b_{n+2}=4a_n+3b_n $$

である。

一方、

$$ a_n+2b_n=b_{n+1} $$

より、$a_n=b_{n+1}-2b_n$ である。これを代入すると、

$$ \begin{aligned} b_{n+2} &=4(b_{n+1}-2b_n)+3b_n\\ &=4b_{n+1}-5b_n \end{aligned} $$

を得る。

この漸化式を $10$ で割った余りで考える。

初期値は

$$ b_1\equiv 1\pmod{10},\qquad b_2\equiv 4\pmod{10} $$

である。

ここで、

$$ b_{n+2}\equiv 4b_{n+1}-5b_n\pmod{10} $$

である。

もし

$$ b_n\equiv 1\pmod{10},\qquad b_{n+1}\equiv 4\pmod{10} $$

ならば、

$$ b_{n+2}\equiv 4\cdot 4-5\cdot 1=11\equiv 1\pmod{10} $$

である。

また、次に

$$ b_{n+1}\equiv 4\pmod{10},\qquad b_{n+2}\equiv 1\pmod{10} $$

ならば、

$$ b_{n+3}\equiv 4\cdot 1-5\cdot 4=-16\equiv 4\pmod{10} $$

である。

したがって、虚部の整数 $b_n$ は

$$ b_n\equiv \begin{cases} 1 \pmod{10} & (n\text{ が奇数のとき}),\\ 4 \pmod{10} & (n\text{ が偶数のとき}) \end{cases} $$

を満たす。

いずれの場合も $b_n$ は $10$ で割って $0$ 余る整数ではない。特に $b_n\neq 0$ である。

よって、$(2+i)^n=a_n+b_n i$ の虚部は $0$ ではない。したがって、任意の正の整数 $n$ に対して $(2+i)^n$ は実数ではなく、虚数である。

解法2

合同式を直接用いる方法もある。

$(2+i)^n=a_n+b_n i$ とおく。$a_n,b_n$ は整数である。

まず、$n=1$ のとき

$$ (2+i)^1=2+i $$

より、虚部の整数は $1$ である。

また、

$$ (2+i)^2=3+4i $$

より、虚部の整数は $4$ である。

ここで、$b_n$ が

$$ b_n\equiv \begin{cases} 1 \pmod{10} & (n\text{ が奇数のとき}),\\ 4 \pmod{10} & (n\text{ が偶数のとき}) \end{cases} $$

を満たすことを数学的帰納法で示す。

$(2+i)^2=3+4i$ であるから、$2$ 乗分進めると

$$ (2+i)^{n+2}=(2+i)^n(3+4i) $$

である。

$(2+i)^n=a_n+b_n i$ とすると、

$$ (2+i)^{n+2}=(3a_n-4b_n)+(4a_n+3b_n)i $$

である。

また、

$$ (2+i)^{n+1}=(2a_n-b_n)+(a_n+2b_n)i $$

より、

$$ a_n=b_{n+1}-2b_n $$

である。したがって、

$$ b_{n+2}=4a_n+3b_n=4b_{n+1}-5b_n $$

となる。

初期値

$$ b_1\equiv 1\pmod{10},\qquad b_2\equiv 4\pmod{10} $$

から、上の漸化式により

$$ 1,\ 4,\ 1,\ 4,\ \cdots $$

という余りが繰り返される。

よって、すべての正の整数 $n$ について、$b_n$ は $10$ で割って $1$ または $4$ 余る。したがって $b_n\neq 0$ である。

ゆえに、$(2+i)^n$ の虚部は常に $0$ でないから、$(2+i)^n$ は虚数である。

解説

この問題では、$(2+i)^n$ を直接一般形で求める必要はない。必要なのは「虚部が $0$ にならない」ことだけである。

そのため、虚部の整数を $10$ で割った余りに注目するのが有効である。余りが常に $1$ または $4$ であることが示せれば、虚部は $0$ ではないと結論できる。

重要なのは、複素数の累乗を

$$ (2+i)^n=a_n+b_n i $$

とおき、虚部 $b_n$ の漸化式を作ることである。実数部分を含む形で計算してもよいが、最終的には

$$ b_{n+2}=4b_{n+1}-5b_n $$

という虚部だけの漸化式に落とし込める。

答え

(1)

$$ \begin{aligned} (2+i)^2&=3+4i,\\ (2+i)^3&=2+11i,\\ (2+i)^4&=-7+24i,\\ (2+i)^5&=-38+41i \end{aligned} $$

虚部の整数を $10$ で割った余りは、順に

$$ 4,\ 1,\ 4,\ 1 $$

である。

(2)

任意の正の整数 $n$ に対して、$(2+i)^n=a_n+b_n i$ とおくと、

$$ b_n\equiv \begin{cases} 1 \pmod{10} & (n\text{ が奇数のとき}),\\ 4 \pmod{10} & (n\text{ が偶数のとき}) \end{cases} $$

である。したがって $b_n\neq 0$ であるから、$(2+i)^n$ は虚数である。

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