数学B 数学的帰納法 問題 49 解説

方針・初手
$x^2-2x-1$ で割った余りを考えるので、合同式
$$ x^2\equiv 2x+1 \pmod{x^2-2x-1} $$
を使って、$x^n$ の余りを漸化式で追う。
余りを $a_nx+b_n$ と書き、$a_n,b_n$ が整数であることと、$\gcd(a_n,b_n)=1$ であることを同時に示す。
解法1
$x^n$ を $x^2-2x-1$ で割った余りを
$$ a_nx+b_n $$
とおく。すなわち
$$ x^n\equiv a_nx+b_n \pmod{x^2-2x-1} $$
である。
まず $n=1$ のとき
$$ x\equiv 1\cdot x+0 $$
より
$$ a_1=1,\qquad b_1=0 $$
である。
次に、$x^2\equiv 2x+1$ を用いる。$x^n\equiv a_nx+b_n$ の両辺に $x$ をかけると
$$ x^{n+1}\equiv a_nx^2+b_nx $$
であり、ここで $x^2\equiv 2x+1$ を代入すると
$$ \begin{aligned} x^{n+1} &\equiv a_n(2x+1)+b_nx\\ &=(2a_n+b_n)x+a_n \end{aligned} $$
となる。したがって
$$ a_{n+1}=2a_n+b_n,\qquad b_{n+1}=a_n $$
である。
$a_1=1,\ b_1=0$ は整数であり、$a_n,b_n$ が整数ならば上の漸化式から $a_{n+1},b_{n+1}$ も整数である。よって数学的帰納法により、すべての自然数 $n$ について $a_n,b_n$ は整数である。
次に、$a_n,b_n$ をともに割り切る素数が存在しないことを示す。
$n=1$ のとき、$a_1=1,\ b_1=0$ であるから、両方を割り切る素数は存在しない。
ここで、ある素数 $p$ が $a_{n+1}$ と $b_{n+1}$ をともに割り切ると仮定する。このとき
$$ p\mid b_{n+1} $$
より、$b_{n+1}=a_n$ だから
$$ p\mid a_n $$
である。また
$$ p\mid a_{n+1} $$
であり、$a_{n+1}=2a_n+b_n$ だから
$$ p\mid 2a_n+b_n $$
である。すでに $p\mid a_n$ なので、
$$ p\mid b_n $$
も従う。
つまり、$p$ が $a_{n+1},b_{n+1}$ をともに割り切るならば、$p$ は $a_n,b_n$ もともに割り切る。
したがって、もしある $n$ で $a_n,b_n$ をともに割り切る素数 $p$ が存在するとすれば、この議論を繰り返して、最終的に $p$ は $a_1,b_1$ をともに割り切ることになる。しかし $a_1=1,\ b_1=0$ であるから、$p\mid a_1$ は成り立たない。
よって矛盾する。
したがって、任意の自然数 $n$ について、$a_n,b_n$ をともに割り切る素数は存在しない。
解法2
余りの係数の組をベクトルで表す。
$x^n$ の余りを $a_nx+b_n$ とすると、解法1と同様に
$$ a_{n+1}=2a_n+b_n,\qquad b_{n+1}=a_n $$
である。これは
$$ \begin{pmatrix} a_{n+1}\\ b_{n+1} \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 2&1\\ 1&0 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} a_n\\ b_n \end{pmatrix} $$
と書ける。
初期値は
$$ \begin{pmatrix} a_1\\ b_1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1\\ 0 \end{pmatrix} $$
である。
行列
$$ M= \begin{pmatrix} 2&1\\ 1&0 \end{pmatrix} $$
の行列式は
$$ \det M=2\cdot 0-1\cdot 1=-1 $$
である。したがって任意の素数 $p$ に対して、$M$ は $\bmod p$ で逆行列をもつ。
いま、ある素数 $p$ が $a_n,b_n$ をともに割り切ると仮定する。このとき
$$ \begin{pmatrix} a_n\\ b_n \end{pmatrix} \equiv \begin{pmatrix} 0\\ 0 \end{pmatrix} \pmod p $$
である。
一方、
$$ \begin{pmatrix} a_n\\ b_n \end{pmatrix} = M^{n-1} \begin{pmatrix} 1\\ 0 \end{pmatrix} $$
であり、$M$ は $\bmod p$ で逆行列をもつので、両辺に $M^{-(n-1)}$ をかけることができる。すると
$$ \begin{pmatrix} 1\\ 0 \end{pmatrix} \equiv \begin{pmatrix} 0\\ 0 \end{pmatrix} \pmod p $$
となる。
これは $1\equiv 0\pmod p$ を意味し、矛盾である。
よって、$a_n,b_n$ をともに割り切る素数は存在しない。
解説
この問題の中心は、割る多項式が
$$ x^2-2x-1 $$
であることから、余りの計算を
$$ x^2\equiv 2x+1 $$
という置き換えで処理する点である。
$x^n$ の余りを $a_nx+b_n$ とおくと、$x$ をかけるたびに係数が
$$ (a_n,b_n)\mapsto (2a_n+b_n,a_n) $$
と更新される。この更新は整数係数だけで行われるため、$a_n,b_n$ が整数であることは自然に従う。
また、互いに素であることは、最大公約数を直接計算するよりも、「共通に割る素数があれば一つ前の段階にも戻れる」と見るのが本質である。漸化式が逆向きにも素数の割り切りを保存してしまうため、最終的に初期値 $(1,0)$ に矛盾する。
答え
すべての自然数 $n$ について、$x^n$ を $x^2-2x-1$ で割った余りを $a_nx+b_n$ とすると、$a_n,b_n$ は整数である。
さらに、$a_n,b_n$ をともに割り切る素数は存在しない。
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