数学B 数列・確率 問題 15 解説

方針・初手
各試行では、赤いボールの位置だけを追えばよい。表が出れば $A$ と $B$ が入れ換わり、裏が出れば $B$ と $C$ が入れ換わるので、赤いボールの位置は $A,B,C$ 上を確率 $1/2$ で移動する。
解法1
はじめの設定では、赤いボールは最初に箱 $A$ に入っているので、
$$ P_0(A)=1,\quad P_0(B)=0,\quad P_0(C)=0 $$
である。
赤いボールが次の試行後に各箱に入っている確率は、次のように表せる。
$$ \begin{aligned} P_{n+1}(A)&=\frac12P_n(A)+\frac12P_n(B),\\ P_{n+1}(B)&=\frac12P_n(A)+\frac12P_n(C),\\ P_{n+1}(C)&=\frac12P_n(B)+\frac12P_n(C). \end{aligned} $$
まず、1回後について考える。赤いボールは、表なら $B$ に移り、裏なら $A$ に残る。したがって
$$ P_1(A)=\frac12 $$
である。よって
$$ [\text{ノ}]=\frac12 $$
である。
次に2回後を求める。1回後の分布は
$$ P_1(A)=\frac12,\quad P_1(B)=\frac12,\quad P_1(C)=0 $$
であるから、
$$ P_2(B)=\frac12P_1(A)+\frac12P_1(C) =\frac12\cdot\frac12+\frac12\cdot0 =\frac14 $$
となる。よって
$$ [\text{ハ}]=\frac14 $$
である。
さらに、2回後の分布は
$$ \begin{aligned} P_2(A)&=\frac12P_1(A)+\frac12P_1(B) =\frac12,\\ P_2(B)&=\frac14,\\ P_2(C)&=\frac12P_1(B)+\frac12P_1(C) =\frac14. \end{aligned} $$
したがって、
$$ P_3(C)=\frac12P_2(B)+\frac12P_2(C) =\frac12\cdot\frac14+\frac12\cdot\frac14 =\frac14 $$
である。よって
$$ [\text{ヒ}]=\frac14 $$
である。
次に、$A$ または $C$ に赤いボールが入っている確率を考える。
$$ x_n=P_n(A)+P_n(C) $$
とおく。赤いボールは必ず $A,B,C$ のいずれか1つにあるので、
$$ P_n(B)=1-{P_n(A)+P_n(C)}=1-x_n $$
である。
また、
$$ \begin{aligned} P_{n+1}(A)+P_{n+1}(C) &=\left(\frac12P_n(A)+\frac12P_n(B)\right) +\left(\frac12P_n(B)+\frac12P_n(C)\right)\\ &=\frac12{P_n(A)+P_n(C)}+P_n(B)\\ &=\frac12{P_n(A)+P_n(C)}+1-{P_n(A)+P_n(C)}\\ &=1-\frac12{P_n(A)+P_n(C)}. \end{aligned} $$
したがって
$$ [\text{フ}]=1-\frac12{P_n(A)+P_n(C)} $$
である。
ここで $x_n=P_n(A)+P_n(C)$ とすると、
$$ x_{n+1}=1-\frac12x_n $$
である。初期状態では赤いボールは $A$ にあるので、
$$ x_0=P_0(A)+P_0(C)=1 $$
である。
漸化式
$$ x_{n+1}=1-\frac12x_n $$
の定数解を求めると、
$$ x=1-\frac12x $$
より
$$ x=\frac23 $$
である。したがって、
$$ x_{n+1}-\frac23=-\frac12\left(x_n-\frac23\right) $$
となる。よって
$$ x_n-\frac23=\left(-\frac12\right)^n\left(x_0-\frac23\right) $$
である。$x_0=1$ を代入すると、
$$ x_n-\frac23=\left(-\frac12\right)^n\cdot\frac13 $$
より、
$$ x_n=\frac23+\frac13\left(-\frac12\right)^n $$
となる。したがって
$$ P_n(A)+P_n(C)=\frac23+\frac13\left(-\frac12\right)^n $$
であり、
$$ [\text{ヘ}]=\frac23+\frac13\left(-\frac12\right)^n $$
である。
また、
$$ P_n(B)=1-{P_n(A)+P_n(C)} $$
だから、
$$ \begin{aligned} P_n(B) &=1-\left\{\frac23+\frac13\left(-\frac12\right)^n\right\}\\ &=\frac13-\frac13\left(-\frac12\right)^n. \end{aligned} $$
したがって
$$ [\text{ホ}]=\frac13-\frac13\left(-\frac12\right)^n $$
である。
最後に、初めに箱 $A,B,C$ にそれぞれ赤、白、赤のボールが入っている場合を考える。この場合は、白いボールの位置だけを追えばよい。白いボールは最初に $B$ にある。
白いボールが $B$ に入っている確率を $Q_n(B)$ とおく。白いボールが次に $B$ に入るのは、直前に $A$ にあり表が出る場合、または直前に $C$ にあり裏が出る場合である。したがって、
$$ Q_{n+1}(B)=\frac12Q_n(A)+\frac12Q_n(C) $$
である。
白いボールは必ず $A,B,C$ のいずれか1つにあるので、
$$ Q_n(A)+Q_n(C)=1-Q_n(B) $$
である。よって
$$ Q_{n+1}(B)=\frac12{1-Q_n(B)} $$
となる。
ここで
$$ y_n=Q_n(B) $$
とおくと、
$$ y_{n+1}=\frac12(1-y_n) $$
である。初期状態では白いボールは $B$ にあるから、
$$ y_0=1 $$
である。
定数解を求めると、
$$ y=\frac12(1-y) $$
より
$$ y=\frac13 $$
である。したがって、
$$ y_{n+1}-\frac13=-\frac12\left(y_n-\frac13\right) $$
となる。よって、
$$ y_n-\frac13=\left(-\frac12\right)^n\left(y_0-\frac13\right) $$
である。$y_0=1$ を代入して、
$$ y_n-\frac13=\left(-\frac12\right)^n\cdot\frac23 $$
となるので、
$$ y_n=\frac13+\frac23\left(-\frac12\right)^n $$
である。したがって、この場合の箱 $B$ に白いボールが入っている確率は
$$ P_n(B)=\frac13+\frac23\left(-\frac12\right)^n $$
である。よって
$$ [\text{マ}]=\frac13+\frac23\left(-\frac12\right)^n $$
である。
解説
この問題では、箱の中身全体を追う必要はない。はじめの設定では赤いボールが1個だけなので、赤いボールの位置だけを追えばよい。
重要なのは、$A$ または $C$ にある確率をまとめて
$$ x_n=P_n(A)+P_n(C) $$
とおくことである。すると、$B$ にある確率は $1-x_n$ と表せるため、3つの確率を個別に追わずに、1つの漸化式
$$ x_{n+1}=1-\frac12x_n $$
に帰着できる。
最後の設定では赤いボールが2個あるため、赤いボールを追うよりも、1個だけ存在する白いボールを追う方が簡単である。白いボールを1個の目印として考えると、同じような1次漸化式で処理できる。
答え
$$ [\text{ノ}]=\frac12 $$
$$ [\text{ハ}]=\frac14 $$
$$ [\text{ヒ}]=\frac14 $$
$$ [\text{フ}]=1-\frac12{P_n(A)+P_n(C)} $$
$$ [\text{ヘ}]=\frac23+\frac13\left(-\frac12\right)^n $$
$$ [\text{ホ}]=\frac13-\frac13\left(-\frac12\right)^n $$
$$ [\text{マ}]=\frac13+\frac23\left(-\frac12\right)^n $$
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