複素数平面の公式・定理・考え方
数学Cの複素数平面で使う公式・定理・考え方を、大学入試数学で実際に使う場面に絞って整理します。複素数平面は、複素数を点やベクトルとして扱い、絶対値を距離、偏角を向きとして読む分野です。計算と図形の対応を崩さないことが重要です。
入試問題解析では、1962年度〜2025年度の数学Cの複素数平面236問を分類しています。関連して出やすい分類は、テーマ/軌跡・領域77問、テーマ/図形総合73問、数学2/三角関数57問、数学2/複素数と方程式53問、テーマ/場合分け39問、数学B/数列35問です。
複素数の絶対値・偏角
複素数 $z=x+yi$ は、複素数平面上の点 $(x,y)$ と対応します。絶対値は原点からの距離です。
$$|z|=\sqrt{x^2+y^2}$$
$z\ne0$ のとき、正の実軸から $z$ までの角を偏角といい、$\arg z$ と表します。偏角は $2\pi$ の整数倍だけずれても同じ点を表すため、範囲を指定して扱う必要があります。
また、2点 $\alpha$, $\beta$ の距離は
$$|\alpha-\beta|$$
で表せます。複素数平面の図形問題では、絶対値を距離として読むことが入口です。
極形式
$z\ne0$ のとき、$r=|z|$、$\theta=\arg z$ として、
$$z=r(\cos\theta+i\sin\theta)$$
と表せます。これを極形式といいます。
直交座標の形 $x+yi$ は加減算に向き、極形式は積、商、累乗に向きます。問題で回転や角度が関係するなら、極形式に直す価値があります。
積・商と回転拡大
複素数を極形式で見ると、積と商は図形的な意味を持ちます。
| 操作 | 絶対値 | 偏角 |
|---|---|---|
| $z_1z_2$ | $|z_1||z_2|$ | $\arg z_1+\arg z_2$ |
| $\frac{z_1}{z_2}$ | $\frac{|z_1|}{|z_2|}$ | $\arg z_1-\arg z_2$ |
$w=(\cos\theta+i\sin\theta)z$ は、点 $z$ を原点中心に角 $\theta$ だけ回転した点を表します。さらに $r(\cos\theta+i\sin\theta)z$ なら、$r$ 倍の拡大縮小も同時に行います。
ド・モアブルの定理
整数 $n$ について、
$$\{r(\cos\theta+i\sin\theta)\}^n=r^n(\cos n\theta+i\sin n\theta)$$
です。特に $r=1$ のとき、
$$\{\cos\theta+i\sin\theta\}^n=\cos n\theta+i\sin n\theta$$
となります。累乗や $n$ 乗根を扱う問題では、絶対値と偏角に分けると構造が見えます。
図形問題への利用
複素数平面では、図形条件を絶対値や偏角で表します。
- $|z-\alpha|=r$: 中心 $\alpha$、半径 $r$ の円
- $|z-\alpha|=|z-\beta|$: 2点 $\alpha$, $\beta$ から等距離にある点の集合
- $\arg\frac{z-\alpha}{z-\beta}=\theta$: 点 $\alpha$, $\beta$ を見る角の条件
- $w=az+b$: 拡大、回転、平行移動を組み合わせた変換
図形問題では、まず「距離の条件」なのか「角の条件」なのかを分けます。距離なら絶対値、角なら偏角や商を使います。
軌跡問題への利用
軌跡問題では、条件を満たす点 $z$ の集合を求めます。
- $|z-\alpha|=r$ は円
- $|z-\alpha|\le r$ は円の内部を含む領域
- $|z-\alpha|=|z-\beta|$ は線分 $\alpha\beta$ の垂直二等分線
- $\left|\frac{z-\alpha}{z-\beta}\right|=k$ は、2点からの距離比が一定の点の集合
等式だけでなく、不等式になったときは境界線を求めたあと、どちら側の領域かを代表点で確認します。
方程式との融合
複素数方程式では、解を複素数平面上の点として見ます。例えば $z^n=1$ の解は、単位円上に等間隔に並ぶ点です。極形式を使うと、絶対値と偏角から解の配置を読み取れます。
二次方程式や高次方程式と結びつく問題では、解の和と積を使う代数的な処理と、解の位置関係を見る図形的な処理を切り替えます。回転や正多角形が見える場合は、極形式やド・モアブルの定理が有効です。
複素数平面で失点しやすい点
- 偏角が $2\pi$ の整数倍だけずれることを忘れる
- $|z-\alpha|$ を、原点からの距離と誤読する
- 積で偏角が足され、商で偏角が引かれることを逆にする
- 軌跡問題で、境界だけ求めて領域の判定をしない
- $z=0$ では偏角が定義されないことを確認しない
- 図形条件を、距離条件と角条件に分けずに式変形を始める
複素数平面は、式変形だけで押し切るより、絶対値は距離、偏角は角、積は回転拡大という対応を保つ方が安定します。
この公式集と一緒に見る問題
- 京都大学 2025年 理系 第1問: 数学2/式と証明、数学3/積分法、テーマ/最大・最小
- 東京大学 2025年 理系 第6問: 数学2/図形と式、テーマ/最大・最小
- 北海道大学 2025年 理系 第4問: 数学2/図形と式、テーマ/存在証明
- 九州大学 2024年 理系 第2問: 数学2/複素数と方程式、数学B/数列、テーマ/整式の証明
- 大阪大学 2024年 理系 第2問: 数学C/平面ベクトル
関連する分野・テーマ
複素数平面の対策では、複素数の計算を図形の言葉へ翻訳し、距離、角、回転、軌跡のどれを扱っているかを判断する練習をしてください。
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。