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北海道大学 2025年 理系 第4問 解説

数学C/複素数平面数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/存在証明
北海道大学 2025年 理系 第4問 解説

方針・初手

(1) 与えられた方程式の両辺は正または0であるため、両辺を2乗して同値変形を行います。複素数の絶対値の性質 $|w|^2 = w\bar{w}$ を用いて $z$ と $\bar{z}$ の式に直し、円の方程式の基本形に変形します。

(2) (1) の結果を利用しますが、問題文の条件に注意が必要です。(1) には「$a$ が1でないとき」という前提がありますが、(2) にはこの前提がありません。したがって、$a=1$ の場合と $a \neq 1$ の場合で場合分けを行って考えます。$a \neq 1$ の場合は、(1) で得られた式と第1式を連立させて、$z = x+yi$ とおいて実数 $y$ が存在する条件($y^2 \ge 0$)に帰着させるのが確実です。

解法1

(1)

方程式 $a|z-1| = |(a-2)z+a|$ の両辺は0以上であるから、両辺を2乗しても同値である。

$$ a^2|z-1|^2 = |(a-2)z+a|^2 $$

$$ a^2(z-1)(\bar{z}-1) = \{(a-2)z+a\}\{(a-2)\bar{z}+a\} $$

両辺を展開して整理する。

$$ a^2(z\bar{z} - z - \bar{z} + 1) = (a-2)^2 z\bar{z} + a(a-2)z + a(a-2)\bar{z} + a^2 $$

$$ a^2 z\bar{z} - a^2(z+\bar{z}) + a^2 = (a^2-4a+4)z\bar{z} + (a^2-2a)(z+\bar{z}) + a^2 $$

両辺の項を左辺にまとめ、$z\bar{z}$ と $z+\bar{z}$ について整理する。

$$ \{a^2 - (a^2-4a+4)\}z\bar{z} - \{a^2 + (a^2-2a)\}(z+\bar{z}) = 0 $$

$$ (4a-4)z\bar{z} - (2a^2-2a)(z+\bar{z}) = 0 $$

$$ 4(a-1)z\bar{z} - 2a(a-1)(z+\bar{z}) = 0 $$

ここで、$a \neq 1$ より $a-1 \neq 0$ であるから、両辺を $2(a-1)$ で割ることができる。

$$ 2z\bar{z} - a(z+\bar{z}) = 0 $$

$$ z\bar{z} - \frac{a}{2}(z+\bar{z}) = 0 $$

$$ \left( z - \frac{a}{2} \right)\left( \bar{z} - \frac{a}{2} \right) - \frac{a^2}{4} = 0 $$

$$ \left| z - \frac{a}{2} \right|^2 = \frac{a^2}{4} $$

$a > 0$ より $\frac{a}{2} > 0$ であるから、両辺の正の平方根をとる。

$$ \left| z - \frac{a}{2} \right| = \frac{a}{2} $$

したがって、求める集合は点 $\frac{a}{2}$ を中心とする半径 $\frac{a}{2}$ の円である。 (複素数平面上において、実軸上の点 $\frac{a}{2}$ を中心とし、原点を通る円となる)

(2)

方程式を満たす複素数 $z$ が存在するための $a$ の条件を求める。$a$ は正の実数である。

(i) $a=1$ のとき

方程式は以下のようになる。

$$ \begin{cases} |z|^2 = 5 \\ |z-1| = |-z+1| \end{cases} $$

第2式は $|z-1| = |z-1|$ となり、すべての複素数 $z$ について成り立つ。 第1式より $|z| = \sqrt{5}$ となるから、これを満たす複素数 $z$(例えば $z = \sqrt{5}$ など)は存在する。 よって、$a=1$ は条件を満たす。

(ii) $a \neq 1$ のとき

(1) の変形過程より、第2式は以下と同値である。

$$ 2z\bar{z} - a(z+\bar{z}) = 0 $$

一方、第1式は $|z|^2 = 6-a$ であり、$z\bar{z} = 6-a$ と表せる。 $|z|^2 \ge 0$ であるから、$6-a \ge 0$ すなわち $a \le 6$ が必要である。 $z\bar{z} = 6-a$ を第2式の変形した式に代入する。

$$ 2(6-a) - a(z+\bar{z}) = 0 $$

$$ z+\bar{z} = \frac{2(6-a)}{a} $$

ここで、$z = x+yi$ ($x, y$ は実数)とおくと、$z+\bar{z} = 2x$ であり、$z\bar{z} = x^2+y^2$ である。 上の式より $2x = \frac{2(6-a)}{a}$、すなわち $x = \frac{6-a}{a}$ を得る。 これを $x^2+y^2 = 6-a$ に代入する。

$$ \left( \frac{6-a}{a} \right)^2 + y^2 = 6-a $$

$$ y^2 = 6-a - \frac{(6-a)^2}{a^2} $$

実数 $y$ が存在するための条件は $y^2 \ge 0$ であるから、

$$ 6-a - \frac{(6-a)^2}{a^2} \ge 0 $$

$$ a^2(6-a) - (6-a)^2 \ge 0 $$

$$ (6-a)\{a^2 - (6-a)\} \ge 0 $$

$$ (6-a)(a^2+a-6) \ge 0 $$

$$ (6-a)(a+3)(a-2) \ge 0 $$

$a > 0$ かつ $a \le 6$ のもとで考える。 $a \le 6$ より $6-a \ge 0$、$a > 0$ より $a+3 > 0$ である。

・$a=6$ のとき 不等式は $0 \ge 0$ となり成り立つ。このとき $x=0, y=0$ となり、$z=0$ が方程式を満たす。

・$0 < a < 6$ のとき $6-a > 0$ であるから、不等式の両辺を $(6-a)(a+3)$ で割ることができる。

$$ a-2 \ge 0 $$

$$ a \ge 2 $$

$0 < a < 6$ と $a \neq 1$ を考慮して、$2 \le a < 6$ を得る。 $a=6$ も適するので、これらをまとめると $2 \le a \le 6$ となる。

(i), (ii) より、求める $a$ の範囲は $a=1$ または $2 \le a \le 6$ である。

解法2

(2)の別解(図形的なアプローチ)

(i) $a=1$ のときは解法1と同様であり、適する。

(ii) $a \neq 1$ のとき

第2式は、(1) より点 $\frac{a}{2}$ を中心とする半径 $\frac{a}{2}$ の円 $C_1$ を表す。 第1式は、点 $0$ を中心とする半径 $\sqrt{6-a}$ の円 $C_2$ を表す。($a=6$ のときは原点のみからなる図形となるため、$a \le 6$ が必要) 方程式をともに満たす $z$ が存在するということは、この2つの図形 $C_1, C_2$ が共有点をもつということである。

円 $C_1$ の中心間の距離 $d$ は、中心が $\frac{a}{2}$ と $0$ であるから $d = \frac{a}{2}$。 2円の半径はそれぞれ $r_1 = \frac{a}{2}, r_2 = \sqrt{6-a}$ である。 これらが共有点をもつ条件は、

$$ |r_1 - r_2| \le d \le r_1 + r_2 $$

$$ \left| \frac{a}{2} - \sqrt{6-a} \right| \le \frac{a}{2} \le \frac{a}{2} + \sqrt{6-a} $$

右側の不等式 $\frac{a}{2} \le \frac{a}{2} + \sqrt{6-a}$ は $0 \le \sqrt{6-a}$ となり、$a \le 6$ のとき常に成り立つ。 左側の不等式 $\left| \frac{a}{2} - \sqrt{6-a} \right| \le \frac{a}{2}$ について、両辺ともに0以上であるから2乗して整理する。

$$ \left( \frac{a}{2} - \sqrt{6-a} \right)^2 \le \frac{a^2}{4} $$

$$ \frac{a^2}{4} - a\sqrt{6-a} + (6-a) \le \frac{a^2}{4} $$

$$ 6-a \le a\sqrt{6-a} $$

$a \le 6$ のとき両辺ともに0以上であるから、さらに両辺を2乗して同値変形できる。

$$ (6-a)^2 \le a^2(6-a) $$

$$ a^2(6-a) - (6-a)^2 \ge 0 $$

$$ (6-a)(a^2+a-6) \ge 0 $$

これは解法1で得られた不等式と一致する。以降は解法1と同様にして $2 \le a \le 6$ を得る。 (i) と合わせて、求める範囲は $a=1$ または $2 \le a \le 6$ となる。

解説

(1) はアポロニウスの円に関連する典型的な軌跡の問題です。絶対値の式を2乗して $z\bar{z}$ の式に展開し、平方完成のようにして円の基本形 $|z - \alpha| = r$ に持ち込む計算は、複素数平面における重要な基本処理です。

(2) では、(1) の誘導に乗る際に「$a \neq 1$」という前提条件に気付けるかが大きな分かれ目となります。問題文 (1) では意図的に $a=1$ が除外されていますが、(2) の連立方程式自体は $a=1$ でも意味を持ちます。この場合分けを落とすと減点対象となります。 条件処理については、解法1のように $z=x+yi$ とおいて実数条件に持ち込む方法が代数的に確実ですが、解法2のように2円の共有点条件(距離と半径の関係)に図形的に翻訳してもスムーズに解き進めることができます。

答え

(1) 点 $\frac{a}{2}$ を中心とする半径 $\frac{a}{2}$ の円

(2) $a=1, \ 2 \le a \le 6$

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