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九州大学 2024年 理系 第2問 解説

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九州大学 2024年 理系 第2問 解説

方針・初手

(1) は方程式 $f(z)=0$ を解くか、あるいは $f(z)$ の形が $z^2$ についての等比数列の和になっていることに着目して式変形を行います。 (2) は「すべての解に対して」という条件をどう処理するかが問われています。具体的に $f(z)=0$ の解の1つを代入して $w$ の必要条件を絞り込むか、極形式を用いて図形的な回転として捉えるのが有効です。

解法1

(1) 与えられた整式 $f(z)$ を因数分解すると、 $$ f(z) = z^4(z^2+1) + (z^2+1) = (z^4+1)(z^2+1) $$ となる。 $f(z) = 0$ となるのは、$z^4+1=0$ または $z^2+1=0$ のときである。

(i) $z^4+1=0$ のとき $z^4 = -1$ より、両辺の絶対値をとると $|z^4| = |-1| = 1$ となる。 $|z|^4 = 1$ であり、$|z| \geqq 0$ より $|z| = 1$ である。

(ii) $z^2+1=0$ のとき $z^2 = -1$ より、同様に両辺の絶対値をとると $|z^2| = |-1| = 1$ となる。 $|z|^2 = 1$ であり、$|z| \geqq 0$ より $|z| = 1$ である。

以上 (i), (ii) より、$f(z)=0$ を満たすすべての複素数 $z$ に対して、$|z|=1$ が成り立つことが示された。

(2) $f(z)=0$ の解の集合を $A$ とする。 条件は、「すべての $z \in A$ について $wz \in A$ が成り立つこと」である。

$z^2+1=0$ の解の1つである $z=i$ を考える。$i \in A$ であるから、条件より $wi \in A$ でなければならない。 $wi \in A$ であるためには、$(wi)^4+1=0$ または $(wi)^2+1=0$ を満たす必要がある。 すなわち、$w^4 = -1$ または $w^2 = 1$ が必要である。

(i) $w^4 = -1$ のとき $A$ の要素のうち、$z^4 = -1$ を満たす $z$ を任意に選ぶ。 このとき、 $$ (wz)^4 = w^4 z^4 = (-1) \cdot (-1) = 1 $$ となる。 $wz \in A$ であるためには、$(wz)^4 = -1$ または $(wz)^2 = -1$ を満たす必要があるが、$(wz)^4 = 1$ であるから前者は成り立たない。よって $(wz)^2 = -1$ が必要となる。 しかし、$z^4 = -1$ を満たす $z$ は4個存在し、$w \neq 0$ であるから対応する $wz$ も4個の異なる値をとる。 $(wz)^2 = -1$ を満たす複素数は $\pm i$ の2個しか存在しないため、4個の異なる $wz$ がすべてこの2個のいずれかに一致することはあり得ず、矛盾する。 よって、$w^4 = -1$ を満たす $w$ は不適である。

(ii) $w^2 = 1$ のとき $w = 1$ または $w = -1$ である。

$w = 1$ のとき、$f(1 \cdot z) = f(z) = 0$ となり、すべての $z \in A$ に対して条件を満たす。

$w = -1$ のとき、 $$ f(-z) = (-z)^6 + (-z)^4 + (-z)^2 + 1 = z^6 + z^4 + z^2 + 1 = f(z) $$ となるため、$f(z) = 0$ ならば $f(-z) = 0$ が成り立つ。よって、すべての $z \in A$ に対して条件を満たす。

以上より、求める複素数 $w$ は $w = \pm 1$ である。

解法2

(1) $z^2 = 1$ を満たす $z = \pm 1$ に対しては、$f(\pm 1) = 1 + 1 + 1 + 1 = 4 \neq 0$ となるため、$f(z)=0$ の解ではない。 したがって、$f(z)=0$ を満たす $z$ について $z^2 \neq 1$ である。

方程式 $f(z) = 0$ の両辺に $z^2 - 1 (\neq 0)$ を掛けると、等比数列の和の公式の逆の変形から $$ (z^2 - 1)(z^6 + z^4 + z^2 + 1) = 0 $$ $$ z^8 - 1 = 0 $$ となる。したがって $z^8 = 1$ である。 両辺の絶対値をとると $|z^8| = 1$ となり、$|z|^8 = 1$ である。 $|z|$ は実数かつ $|z| \geqq 0$ であるから、$|z| = 1$ が成り立つ。

(2) (1)より、$f(z)=0$ を満たす条件は $z^8 = 1$ かつ $z^2 \neq 1$ である。 これを満たす $z$ は、単位円周上の8等分点から実軸上の2点($z=\pm 1$)を除いた6点である。 これを極形式で $z = e^{i\theta}$ とおくと、偏角 $\theta$ は $0 \leqq \theta < 2\pi$ の範囲で $$ \theta \in \left\{ \frac{\pi}{4}, \frac{2\pi}{4}, \frac{3\pi}{4}, \frac{5\pi}{4}, \frac{6\pi}{4}, \frac{7\pi}{4} \right\} $$ の値をとる。この6点の集合を $A$ とする。

条件は「$z \in A$ ならば $wz \in A$」である。 $w=0$ とすると $0 \in A$ となって矛盾するため、$w \neq 0$ である。 すべての $z \in A$ に対して $|z|=1$ であり、かつ $wz \in A$ より $|wz|=1$ となるため、$|w|=1$ が必要である。 よって、$w = e^{i\alpha}$ ($0 \leqq \alpha < 2\pi$) とおける。

複素数 $w$ を掛けることは、複素数平面上で原点を中心に $\alpha$ だけ回転移動させることに対応する。 集合 $A$ の要素が $\alpha$ 回転によって再び $A$ 自身に重なる必要がある。 $A$ は $\frac{\pi}{4}$ の倍数の偏角をもつ点からなるため、回転角 $\alpha$ も $\frac{\pi}{4}$ の倍数でなければならない。 よって $\alpha = \frac{m\pi}{4}$ ($m = 0, 1, 2, \dots, 7$) とおく。

$A$ には偏角 $0, \pi$ の点が欠けている。 もし $m$ が奇数ならば、$z=e^{i\frac{\pi}{4}} \in A$ を $\alpha$ 回転させた点の偏角は $\frac{(m+1)\pi}{4}$ となる。$m+1$ は偶数であり、同様に調べていくと、必ず $0$ または $\pi$ に写る $z \in A$ が存在してしまうため不適である。 もし $m=2, 6$ ならば、$z=e^{i\frac{\pi}{2}} \in A$ または $z=e^{i\frac{3\pi}{2}} \in A$ がそれぞれ偏角 $\pi, 0$ に写ってしまうため不適である。

したがって、$m = 0, 4$ が必要である。 $m=0$ のとき $\alpha=0$ となり、$w=1$。このとき $wz = z \in A$ となり成立する。 $m=4$ のとき $\alpha=\pi$ となり、$w=-1$。このとき $wz = -z \in A$ となり($A$ は原点対称な図形であるため)成立する。

以上より、求める複素数 $w$ は $w = \pm 1$ である。

解説

(1)で $f(z)$ が $z^2$ についての等比数列の和の形になっていることを見抜けると、見通しが良くなります。 (2)の「すべての解に対して」という条件の扱いが最大のポイントです。このような問題では、解法1のように**「すべての解で成り立つなら、特定の扱いやすい解(ここでは $z=i$)でも成り立つ」**と考えて必要条件を絞り込み、その後で十分性を確認する論法が強力です。 一方、解法2のように複素数平面上の図形の回転として捉えるアプローチも、視覚的・直感的に状況を把握しやすく、非常に有用な解法です。

答え

(1) 略(解説中の証明を参照) (2) $w = \pm 1$

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