九州大学 1995年 文系 第4問 解説

方針・初手
板の置き方(縦置き、横置き)と、それが長方形の行・列をどのように分割するかを考える。板の幅と高さの制約から、敷き詰め方が「縦方向の列の組み合わせ」または「横方向の行の組み合わせ」に限定されることを見抜くのが鍵となる。
解法1
まず、板の置き方を「横置き(縦 $2\text{m}$、横 $3\text{m}$)」と「縦置き(縦 $3\text{m}$、横 $2\text{m}$)」の2種類とする。 横置きの板は高さ2、幅3であり、縦置きの板は高さ3、幅2である。
部屋の左下を原点とし、敷き詰められた板の配置について考える。 仮に、ある縦の列において、横置きの板と縦置きの板が混在して配置されたとする。 横置きの板は幅3、縦置きの板は幅2であるため、これらが混在すると板の右端の $x$ 座標が一致せず、隣接する列に幅1の隙間が生じる。 しかし、用意された板の最小の辺の長さは2であるため、この幅1の隙間をすきまなく埋めることは不可能である。 したがって、任意の敷き詰め方において「同じ列には同じ幅の板しか置けない」または「同じ行には同じ高さの板しか置けない」の少なくとも一方が成り立つ。
これにより、敷き詰め方は以下の2つのタイプのいずれかに分類される。
- タイプV(縦割り):部屋が垂直な直線によって、幅2の列と幅3の列に分割される。
- タイプH(横割り):部屋が水平な直線によって、高さ2の行と高さ3の行に分割される。
各列・各行が敷き詰め可能であるための条件は以下の通りである。
- 幅2の列:縦置きの板(高さ3)のみで埋めるため、縦の長さ $a$ が3の倍数である必要がある。このとき敷き詰め方は1通り。
- 幅3の列:横置きの板(高さ2)のみで埋めるため、縦の長さ $a$ が2の倍数である必要がある。このとき敷き詰め方は1通り。
- 高さ2の行:横置きの板(幅3)のみで埋めるため、横の長さ $b$ が3の倍数である必要がある。このとき敷き詰め方は1通り。
- 高さ3の行:縦置きの板(幅2)のみで埋めるため、横の長さ $b$ が2の倍数である必要がある。このとき敷き詰め方は1通り。
これをもとに各場合を計算する。
(1) $a=6, b=7$ のとき
縦 $a=6$ は2の倍数かつ3の倍数である。 横 $b=7$ は2の倍数でも3の倍数でもない。
したがって、タイプH(横割り)の場合、高さ2の行(幅が3の倍数必要)も高さ3の行(幅が2の倍数必要)も敷き詰めることができず、条件を満たさない。 よって、タイプV(縦割り)のみを考えればよい。
横幅7を幅2と幅3の列に分割する。 使用する幅2の列の数を $x$、幅3の列の数を $y$ とすると、
$$2x + 3y = 7$$
$x, y$ は0以上の整数であるから、解は $(x, y) = (2, 1)$ のみである。 すなわち、幅2の列が2つ、幅3の列が1つである。 これらの列の並べ方の総数は、
$$\frac{3!}{2!1!} = 3$$
各列内部の敷き詰め方はそれぞれ1通りに定まるため、求める総数は3通りである。
(2) $a=6, b=18$ のとき
縦 $a=6$ は2の倍数かつ3の倍数。横 $b=18$ も2の倍数かつ3の倍数である。
まず、タイプV(縦割り)の敷き詰め方を考える。 横幅18を幅2と幅3の列に分割する。
$$2x + 3y = 18$$
非負整数解 $(x, y)$ は以下の4通りであり、それぞれの並べ方の数は次のようになる。
- $(9, 0)$ のとき、並べ方は $\frac{9!}{9!0!} = 1$ 通り
- $(6, 2)$ のとき、並べ方は $\frac{8!}{6!2!} = 28$ 通り
- $(3, 4)$ のとき、並べ方は $\frac{7!}{3!4!} = 35$ 通り
- $(0, 6)$ のとき、並べ方は $\frac{6!}{0!6!} = 1$ 通り
合計すると $1 + 28 + 35 + 1 = 65$ 通りとなる。
次に、タイプH(横割り)の敷き詰め方を考える。 縦幅6を高さ2と高さ3の行に分割する。
$$2m + 3n = 6$$
非負整数解 $(m, n)$ は $(3, 0)$ と $(0, 2)$ の2通りである。
- $(3, 0)$ はすべて高さ2の行(横置きの板のみ)であり、これはタイプVの $(x, y) = (0, 6)$ と全く同じ配置である。
- $(0, 2)$ はすべて高さ3の行(縦置きの板のみ)であり、これはタイプVの $(x, y) = (9, 0)$ と全く同じ配置である。
したがって、タイプHの配置はすべてタイプVに含まれるため、重複して数える必要はない。 よって、求める総数は65通りである。
(3) $a=8, b=9$ のとき
縦 $a=8$ は2の倍数であるが、3の倍数ではない。 横 $b=9$ は3の倍数であるが、2の倍数ではない。
タイプV(縦割り)について考える。 縦 $a=8$ が3の倍数ではないため、幅2の列(高さ3の板が必要)を作ることはできない。 したがって、すべて幅3の列で構成するしかない。 横幅9をすべて幅3の列で構成すると、必要な列の数は $9 \div 3 = 3$ 列となり、敷き詰め方は1通りである。
タイプH(横割り)について考える。 横 $b=9$ が2の倍数ではないため、高さ3の行(幅2の板が必要)を作ることはできない。 したがって、すべて高さ2の行で構成するしかない。 縦幅8をすべて高さ2の行で構成すると、必要な行の数は $8 \div 2 = 4$ 行となり、敷き詰め方は1通りである。
このとき、タイプVにおける1通り(すべて横置きの板)と、タイプHにおける1通り(すべて横置きの板)は全く同じ配置を指している。 よって、求める総数は1通りである。
解説
長方形のタイリング(敷き詰め)問題において、「タイルの辺の長さの組み合わせによって、直線的な分割線(断層)が必ず生じる」という性質を利用する難問である。 板の向きを混在させると必ず「幅1の隙間」が生じて破綻するという事実に気づけるかどうかが鍵となる。これに気づけば、単なる不定方程式の非負整数解の個数と、同じものを含む順列の計算に帰着できる。
答え
(1) 3通り (2) 65通り (3) 1通り
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