九州大学 1995年 文系 第3問 解説

方針・初手
- (1)は、接点の $x$ 座標を文字でおいて接線の方程式を立て、それが点 $(t, f(t))$ を通る条件を考える。あるいは、曲線と直線の交点の条件から、恒等式を用いて係数比較する方針も有効である。
- (2)は、3次関数と接線で囲まれた部分の面積であるため、定積分を計算する。その際、積分区間となる交点の座標の大小関係によってグラフの上下が入れ替わることに注意する。被積分関数が $(x-\alpha)(x-\beta)^2$ の形になることを利用すれば計算量を減らすことができる。
解法1
(1) 接点の $x$ 座標を $s$ とする。
$f(x) = x^3 - 3x$ を微分すると $f'(x) = 3x^2 - 3$
点 $(s, f(s))$ における接線の方程式は
$$y - (s^3 - 3s) = (3s^2 - 3)(x - s)$$
整理すると
$$y = (3s^2 - 3)x - 2s^3$$
この直線が点 $(t, f(t))$ を通るので
$$t^3 - 3t = (3s^2 - 3)t - 2s^3$$
$$t^3 - 3s^2 t + 2s^3 = 0$$
左辺は $s = t$ のとき $0$ になるから、因数定理より $s - t$ を因数にもつ。
$$(s - t)^2 (2s + t) = 0$$
直線 $L$ は点 $(t, f(t))$ とは異なる点で接するため、$s \neq t$ である。 よって $2s + t = 0$ となり、接点の $x$ 座標は
$$s = -\frac{t}{2}$$
このとき、直線 $L$ の方程式は
$$y = \left\{ 3\left(-\frac{t}{2}\right)^2 - 3 \right\}x - 2\left(-\frac{t}{2}\right)^3$$
$$y = \left( \frac{3}{4}t^2 - 3 \right)x + \frac{1}{4}t^3$$
(2) 曲線 $C$ と直線 $L$ の交点の $x$ 座標は $x = t, -\frac{t}{2}$ である。
$$x^3 - 3x - \left\{ \left( \frac{3}{4}t^2 - 3 \right)x + \frac{1}{4}t^3 \right\} = x^3 - \frac{3}{4}t^2 x - \frac{1}{4}t^3 = (x - t)\left(x + \frac{t}{2}\right)^2$$
(i) $t > 0$ のとき
$-\frac{t}{2} < t$ であり、区間 $-\frac{t}{2} \leqq x \leqq t$ において $(x - t) \leqq 0$ であるから、
$$(x - t)\left(x + \frac{t}{2}\right)^2 \leqq 0$$
すなわち、直線 $L$ が曲線 $C$ の上側(または境界)にある。 求める面積 $S(t)$ は
$$S(t) = \int_{-\frac{t}{2}}^{t} \left[ \left\{ \left( \frac{3}{4}t^2 - 3 \right)x + \frac{1}{4}t^3 \right\} - (x^3 - 3x) \right] dx$$
$$S(t) = \int_{-\frac{t}{2}}^{t} -(x - t)\left(x + \frac{t}{2}\right)^2 dx$$
ここで、$-(x - t) = -\left(x + \frac{t}{2}\right) + \frac{3}{2}t$ と変形すると
$$S(t) = \int_{-\frac{t}{2}}^{t} \left\{ -\left(x + \frac{t}{2}\right) + \frac{3}{2}t \right\} \left(x + \frac{t}{2}\right)^2 dx$$
$$S(t) = \int_{-\frac{t}{2}}^{t} \left\{ - \left(x + \frac{t}{2}\right)^3 + \frac{3}{2}t \left(x + \frac{t}{2}\right)^2 \right\} dx$$
$$S(t) = \left[ -\frac{1}{4}\left(x + \frac{t}{2}\right)^4 + \frac{1}{2}t\left(x + \frac{t}{2}\right)^3 \right]_{-\frac{t}{2}}^{t}$$
$$S(t) = -\frac{1}{4}\left(\frac{3}{2}t\right)^4 + \frac{1}{2}t\left(\frac{3}{2}t\right)^3 = \frac{27}{64}t^4$$
(ii) $t < 0$ のとき
$t < -\frac{t}{2}$ であり、区間 $t \leqq x \leqq -\frac{t}{2}$ において $(x - t) \geqq 0$ であるから、
$$(x - t)\left(x + \frac{t}{2}\right)^2 \geqq 0$$
すなわち、曲線 $C$ が直線 $L$ の上側(または境界)にある。 求める面積 $S(t)$ は
$$S(t) = \int_{t}^{-\frac{t}{2}} \left[ (x^3 - 3x) - \left\{ \left( \frac{3}{4}t^2 - 3 \right)x + \frac{1}{4}t^3 \right\} \right] dx$$
$$S(t) = \int_{t}^{-\frac{t}{2}} (x - t)\left(x + \frac{t}{2}\right)^2 dx$$
これを展開して積分するか、(i)と同様に $(x - t) = \left(x + \frac{t}{2}\right) - \frac{3}{2}t$ と変形して計算すると
$$S(t) = \left[ \frac{1}{4}\left(x + \frac{t}{2}\right)^4 - \frac{1}{2}t\left(x + \frac{t}{2}\right)^3 \right]_{t}^{-\frac{t}{2}}$$
$$S(t) = 0 - \left\{ \frac{1}{4}\left(\frac{3}{2}t\right)^4 - \frac{1}{2}t\left(\frac{3}{2}t\right)^3 \right\} = \frac{27}{64}t^4$$
(i), (ii) いずれの場合も結果は同じとなる。
解法2
(1)の別解
直線 $L$ は $y$ 軸に平行ではないため、その方程式を $y = mx + n$ とおく。
曲線 $C$ と直線 $L$ の共有点の $x$ 座標は、方程式 $x^3 - 3x = mx + n$ すなわち $x^3 - (m + 3)x - n = 0$ の実数解である。 条件より、直線 $L$ は点 $(t, f(t))$ で交わり、点 $(s, f(s))$ で接するとおける。(ただし $s \neq t$) したがって、方程式 $x^3 - (m + 3)x - n = 0$ は $x = t$ を解にもち、$x = s$ を重解にもつ。 因数定理より
$$x^3 - (m + 3)x - n = (x - t)(x - s)^2$$
が $x$ についての恒等式となる。 右辺を展開すると
$$x^3 - (2s + t)x^2 + (s^2 + 2st)x - s^2 t$$
両辺の係数を比較して
$$2s + t = 0$$
$$-(m + 3) = s^2 + 2st$$
$$-n = -s^2 t$$
第1式より、接点の $x$ 座標は $s = -\frac{t}{2}$ である。($t \neq 0$ より $s \neq t$ を満たす) これを第2式、第3式に代入して
$$m = -3 - \left(-\frac{t}{2}\right)^2 - 2\left(-\frac{t}{2}\right)t = \frac{3}{4}t^2 - 3$$
$$n = \left(-\frac{t}{2}\right)^2 t = \frac{1}{4}t^3$$
よって、直線 $L$ の方程式は
$$y = \left( \frac{3}{4}t^2 - 3 \right)x + \frac{1}{4}t^3$$
解説
- (1)は、接点から出発して立式する方法(解法1)と、交点の条件から恒等式を作る方法(解法2)の2通りの典型的なアプローチがある。解法2における「接点では重解をもつ」という性質を利用した係数比較は、計算の見通しが良くなることが多い。
- (2)について、$t$ の正負によって積分区間の上下と被積分関数の符号が連動して変わるため、場合分けを行うのが丁寧である。計算過程において $\int_{\alpha}^{\beta} (x - \alpha)(x - \beta)^2 dx = \frac{1}{12}(\beta - \alpha)^4$ のような面積公式を活用すると、ミスを防ぎやすく時間を短縮できる。
答え
(1) 接点の $x$ 座標: $-\frac{t}{2}$ , 直線 $L$ の方程式: $y = \left( \frac{3}{4}t^2 - 3 \right)x + \frac{1}{4}t^3$ (2) $S(t) = \frac{27}{64}t^4$
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