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九州大学 1998年 理系 第9問 解説

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九州大学 1998年 理系 第9問 解説

方針・初手

$N$ の各位の数 $a, b, c$ と、それらを係数とする $2$ 次関数を関連付けて処理します。 (1) は判別式が $0$ になるという条件と、$N$ が奇数(すなわち一の位の $c$ が奇数)であることを結びつけ、条件を満たす $a, b, c$ を絞り込みます。 (2) は (1) の考察をもとに、条件を満たしながら接しない反例を見つけます。 (3) は放物線と $x$ 軸で囲まれる面積の公式($\frac{1}{6}$ 公式)を用い、交点の $x$ 座標が整数であることと面積の値から $a$ と交点の距離を特定します。

解法1

(1)

$2$ 次関数 $y=ax^2+bx+c$ のグラフが $x$ 軸と接するための条件は、判別式を $D$ とすると

$$D = b^2 - 4ac = 0$$

すなわち $b^2 = 4ac$ である。 $N$ は奇数であるから、一の位の数 $c$ は奇数である。また、$0 \leqq c \leqq 9$ より $c \in \{1, 3, 5, 7, 9\}$。 さらに、$b^2 = 4ac$ より $b$ は偶数であり、$b = 2k$ ($k$ は $0 \leqq 2k \leqq 9$ を満たす整数、すなわち $k \in \{0, 1, 2, 3, 4\}$)とおける。 このとき、

$$(2k)^2 = 4ac \iff k^2 = ac$$

が成り立つ。 $c$ の値で場合分けを行う。

(i) $c=1$ のとき

$a = k^2$ となる。$1 \leqq a \leqq 9$ より、$a$ は $1, 4, 9$ のいずれか。 $a=1$ のとき $k=1$ であり $b=2$。このとき $N=121=11^2$(奇数の平方数であり適する)。 $a=4$ のとき $k=2$ であり $b=4$。このとき $N=441=21^2$(奇数の平方数であり適する)。 $a=9$ のとき $k=3$ であり $b=6$。このとき $N=961=31^2$(奇数の平方数であり適する)。

(ii) $c=3$ のとき

$3a = k^2$ となる。これを満たす $a$ は $a=3$(このとき $k^2=9$ で $k=3$)のみ。 よって $b=6$ となり $N=363$。しかし、$363 = 3 \times 121$ は平方数ではないため不適。

(iii) $c=5$ のとき

$5a = k^2$ となる。これを満たす $a$ は $a=5$(このとき $k^2=25$ で $k=5$)のみ。 しかし、$k=5$ のとき $b=10$ となり、$b \leqq 9$ に矛盾するため不適。

(iv) $c=7$ のとき

$7a = k^2$ となる。これを満たす $a$ は $a=7$(このとき $k^2=49$ で $k=7$)のみ。 しかし、$k=7$ のとき $b=14$ となり、$b \leqq 9$ に矛盾するため不適。

(v) $c=9$ のとき

$9a = k^2$ より $a = \left(\frac{k}{3}\right)^2$ となる。$a$ は整数なので、$k$ は $3$ の倍数。 $k \leqq 4$ であるから、$k=0, 3$。 $k=0$ のとき $a=0$ となり $1 \leqq a$ に矛盾。 $k=3$ のとき $a=1, b=6$ となり、$N=169=13^2$(奇数の平方数であり適する)。

以上より、条件を満たす $N$ は $121, 169, 441, 961$。

(2)

命題は正しくない。反例を示す。

$N$ が平方数であり、$a$ も平方数でありながら、$b^2 - 4ac \neq 0$ となるものを探す。 $a=1$(平方数)のとき、$N$ は $100$ 番台の数である。 $100$ 番台の平方数は $100, 121, 144, 169, 196$ である。 これらについて、$b^2 - 4ac$ の値を確認する。 $N=100$ のとき $a=1, b=0, c=0$ で $b^2-4ac = 0$ $N=121$ のとき $a=1, b=2, c=1$ で $b^2-4ac = 0$ $N=144$ のとき $a=1, b=4, c=4$ で $b^2-4ac = 0$ $N=169$ のとき $a=1, b=6, c=9$ で $b^2-4ac = 0$ $N=196$ のとき $a=1, b=9, c=6$ で $b^2-4ac = 81-24 = 57 \neq 0$

したがって、$N=196$ は $N=14^2$ かつ $a=1=1^2$ で「$N$ および $a$ が平方数」という条件を満たすが、判別式が $0$ にならないためグラフは $x$ 軸と接しない。

(3)

$2$ 次関数 $y=ax^2+bx+c$ のグラフと $x$ 軸の交点の $x$ 座標を $\alpha, \beta$ ($\alpha, \beta$ は整数で、$\alpha < \beta$)とする。 条件より、$a > 0$ に注意して、グラフと $x$ 軸で囲まれる部分の面積 $S$ は

$$S = \int_{\alpha}^{\beta} \left\{ 0 - (ax^2+bx+c) \right\} dx = -a \int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)(x-\beta) dx = \frac{a}{6}(\beta-\alpha)^3$$

となる。面積が $4$ であるから、

$$\frac{a}{6}(\beta-\alpha)^3 = 4 \iff a(\beta-\alpha)^3 = 24$$

$1 \leqq a \leqq 9$ と、$\alpha, \beta$ は相異なる整数であるから $\beta-\alpha$ が正の整数であることに注意すると、$(\beta-\alpha)^3$ は $24$ の正の約数である立方数でなければならない。 $24$ の正の約数で立方数となるのは $1$ と $8$ のみである。

(ア) $(\beta-\alpha)^3 = 1$ のとき

$\beta-\alpha = 1$ であり、$a=24$ となる。これは $a \leqq 9$ を満たさない。

(イ) $(\beta-\alpha)^3 = 8$ のとき

$\beta-\alpha = 2$ であり、$a=3$ となる。これは $1 \leqq a \leqq 9$ を満たす。

したがって、$a=3, \beta-\alpha=2$ である。 $\alpha, \beta$ は $2$ 次方程式 $3x^2+bx+c=0$ の解であるから、解と係数の関係より

$$\alpha+\beta = -\frac{b}{3}, \quad \alpha\beta = \frac{c}{3}$$

すなわち、

$$b = -3(\alpha+\beta), \quad c = 3\alpha\beta$$

$b$ は $0 \leqq b \leqq 9$ を満たす整数であるから、$b$ は $3$ の倍数であり $b \in \{0, 3, 6, 9\}$ である。 ゆえに $\alpha+\beta \in \{0, -1, -2, -3\}$。 $\beta = \alpha+2$ を代入すると、$\alpha+\beta = 2\alpha+2$ であるから、

$$2\alpha+2 \in \{0, -1, -2, -3\}$$

$\alpha$ は整数であるから、$2\alpha+2$ は偶数でなければならない。よって $2\alpha+2 = 0, -2$ に絞られる。

以上より、条件を満たす $N$ は $360$ である。

解説

各位の数を係数とする多項式の問題は、桁の制約(今回は $1 \leqq a \leqq 9, 0 \leqq b, c \leqq 9$ の整数)を強く意識することが重要である。 (1) では $b$ が偶数になることと、$c$ が奇数であることを組み合わせることで、無駄なくしらみつぶしができる。 (2) は「接するなら $10a+b+c$ のような形から平方数が生まれやすい」という直感に対する逆の問いであり、(1) で調べた平方数を拡張して数え上げることで反例に気づける。 (3) は面積の公式から、交点の差の $3$ 乗が $24$ の約数になるという整数問題の定石に持ち込む。その後は解と係数の関係を用いることで、簡潔に条件を絞り込むことができる。

答え

(1) $121, 169, 441, 961$

(2) 正しくない。(反例:$N=196$ のとき $y = x^2+9x+6$ となり、接しない。)

(3) $N=360$

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