トップ 名古屋大学 1967年 理系 第2問

名古屋大学 1967年 理系 第2問 解説

数学A/場合の数数学A/整数問題数学1/図形計量テーマ/最大・最小テーマ/不等式の証明
名古屋大学 1967年 理系 第2問 解説

方針・初手

(1) 三角形の成立条件と、辺の大小関係の条件を数式で表す。最大の辺 $a$ に対して $a < b+c$ が成立すれば、他の2辺についても三角不等式は自動的に成り立つ。さらに $a \geqq b \geqq c$ と $a+b+c=l$ を用いて $a$ のみの不等式を導く。

(2) (1) の結果に $l=60$ を代入し、$a$ のとりうる整数の範囲を絞る。各 $a$ の値に対して、残りの条件を満たす $b, c$ の組を数え上げる。

解法1

(1)

周の長さが $l$ であるから、 $$ a+b+c=l $$ である。

三角形の成立条件より、最大の長さを持つ辺 $a$ に対して、 $$ a < b+c $$ が成り立つ。これに $b+c = l-a$ を代入して、 $$ a < l-a \iff 2a < l \iff a < \frac{l}{2} $$ を得る。

また、$a \geqq b \geqq c$ であるから、 $$ 3a \geqq a+b+c = l \iff a \geqq \frac{l}{3} $$ となる。

以上より、$a$ のとりうる値の範囲は、 $$ \frac{l}{3} \leqq a < \frac{l}{2} $$ である。

(2)

$l=60$ のとき、(1) の結果より $$ \frac{60}{3} \leqq a < \frac{60}{2} \iff 20 \leqq a < 30 $$ となる。$a$ は整数であるから、$a$ は $20$ から $29$ までの値をとる。

また、$c = 60-a-b$ であり、$a \geqq b \geqq c$ であるから、 $$ a \geqq b \geqq 60-a-b $$ が成り立つ。後半の不等式 $b \geqq 60-a-b$ より、 $$ 2b \geqq 60-a \iff b \geqq 30 - \frac{a}{2} $$ を得る。これと $a \geqq b$ を合わせると、各 $a$ に対して $b$ が満たすべき条件は、 $$ 30 - \frac{a}{2} \leqq b \leqq a $$ となる。この範囲にある整数 $b$ の個数を $a$ ごとに数える($b$ が決まれば $c$ も一意に決まる)。

(i) $a$ が偶数のとき

$a=2k$ ($k=10, 11, 12, 13, 14$) とおくと、 $$ 30 - k \leqq b \leqq 2k $$ となり、条件を満たす整数 $b$ の個数は、 $$ 2k - (30-k) + 1 = 3k - 29 $$ である。

$k=10, 11, 12, 13, 14$ について足し合わせると、 $$ 1 + 4 + 7 + 10 + 13 = 35 \ (\text{個}) $$

(ii) $a$ が奇数のとき

$a=2k+1$ ($k=10, 11, 12, 13, 14$) とおくと、 $$ 30 - \left( k + \frac{1}{2} \right) \leqq b \leqq 2k+1 $$ $b$ は整数であるから、 $$ 30 - k \leqq b \leqq 2k+1 $$ となり、条件を満たす整数 $b$ の個数は、 $$ (2k+1) - (30-k) + 1 = 3k - 28 $$ である。

$k=10, 11, 12, 13, 14$ について足し合わせると、 $$ 2 + 5 + 8 + 11 + 14 = 40 \ (\text{個}) $$

したがって、(i), (ii) より求める個数は $$ 35 + 40 = 75 \ (\text{個}) $$

解法2

(2) の別解を示す。

$l=60$ より、 $$ a+b+c = 60 $$ であり、$a \geqq b \geqq c > 0$ かつ $a < b+c$ を満たす整数の組 $(a, b, c)$ の個数を求める。

$a \geqq b \geqq c$ の条件を扱いやすくするため、非負整数 $x, y$ を用いて、 $$ \begin{cases} a = c+y+x \\ b = c+y \end{cases} $$ とおく。このとき $a-b = x \geqq 0, b-c = y \geqq 0$ となり大小関係を満たす。

これを三角形の成立条件 $a < b+c$ に代入すると、 $$ c+y+x < (c+y)+c \iff x < c \iff c \geqq x+1 $$ となる($c$ も整数である)。

したがって、さらに非負整数 $z$ を用いて、 $$ c = x+1+z $$ とおくことができる。これを $a+b+c=60$ に代入すると、 $$ (c+y+x) + (c+y) + c = 3c + 2y + x = 60 $$ $$ 3(x+1+z) + 2y + x = 60 $$ $$ 4x + 2y + 3z = 57 $$ となる。求めるべきは、これを満たす非負整数 $(x, y, z)$ の組の個数である。

この式において、$4x$ と $2y$ は偶数であり、右辺の $57$ は奇数であるから、$3z$ は奇数、すなわち $z$ は奇数でなければならない。そこで、非負整数 $k$ を用いて $z = 2k+1$ とおく。 $$ 4x + 2y + 3(2k+1) = 57 $$ $$ 4x + 2y + 6k = 54 $$ $$ 2x + y + 3k = 27 $$ $x, y, k$ は非負整数である。これを満たす $y$ が少なくとも1つ存在する条件は、 $$ 2x + 3k \leqq 27 $$ である。この不等式を満たす非負整数 $(x, k)$ の組の個数が、そのまま元の条件を満たす $(a, b, c)$ の個数に等しい。

$k$ の値で場合分けして $x$ の個数を数える。

これらの個数を合計すると、 $$ 14 + 13 + 11 + 10 + 8 + 7 + 5 + 4 + 2 + 1 = 75 \ (\text{個}) $$

解説

(1) は三角形の成立条件と、辺の長さの大小関係を数式に翻訳する基本問題である。$a$ が最大辺であることから、$a < b+c$ を確かめれば十分であることに気づきたい。

(2) は (1) の範囲を絞り込む結果を最大限活用する。 解法1のように、$a$ の値が10通りに限定されるため、一つずつ調べて足し合わせるか、$a$ の偶奇で一般項を作って総和を求めるのが自然な発想である。 解法2のように、不等式条件 $a \geqq b \geqq c$ と $b+c > a$ を「差」を非負の文字でおくことで等式条件に変換する手法も強力である。条件が多い場合の整数問題のテクニックとして知っておくとよい。

答え

(1) $\frac{l}{3} \leqq a < \frac{l}{2}$

(2) $75$ 個

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。