東北大学 1975年 理系 第2問 解説

方針・初手
与えられた漸化式を繰り返し用いて、数列 $\{x_n\}$ の初めの数項を具体的に書き下し、その規則性を探る。分数型の漸化式であるため、計算を進めると周期性が現れることが多い。
数列が定義されるためには分母が $0$ にならないという条件が必要であるため、$x_n \neq 1$ がすべての $n$ で成り立つための $a$ の条件もあらかじめ確認しておく。
(2)では、(1)で求まった $a$ の式のうち、どの2つが整数になるかで場合分けをして調べる。
解法1
(1)
数列 $\{x_n\}$ が定義されるための条件を考える。 $x_2$ が定義されるためには、$1 - x_1 \neq 0$ より $a \neq 1$ である。 $x_3$ が定義されるためには、$1 - x_2 \neq 0$ すなわち $x_2 \neq 1$ である。 $\frac{1}{1-a} = 1$ とすると $a = 0$ となるため、$a \neq 0$ が必要である。 以下、$a \neq 0, 1$ として項を計算する。
$$ x_1 = a $$
$$ x_2 = \frac{1}{1-x_1} = \frac{1}{1-a} $$
$$ x_3 = \frac{1}{1-x_2} = \frac{1}{1-\frac{1}{1-a}} = \frac{1-a}{(1-a)-1} = \frac{1-a}{-a} = \frac{a-1}{a} $$
$x_4$ を計算すると、
$$ x_4 = \frac{1}{1-x_3} = \frac{1}{1-\frac{a-1}{a}} = \frac{a}{a-(a-1)} = a = x_1 $$
となる。これ以降は同じ値の繰り返しとなるため、数列 $\{x_n\}$ は周期 $3$ で $a, \frac{1}{1-a}, \frac{a-1}{a}$ を繰り返す。 したがって、数列の項として現れる値は最大でこの $3$ 種類である。
これら $3$ つの値が互いに一致することがあるかを調べる。
(i) $a = \frac{1}{1-a}$ のとき
$$ a(1-a) = 1 \iff a^2 - a + 1 = 0 $$
(ii) $\frac{1}{1-a} = \frac{a-1}{a}$ のとき
$$ a = -(1-a)^2 \iff a = -1 + 2a - a^2 \iff a^2 - a + 1 = 0 $$
(iii) $\frac{a-1}{a} = a$ のとき
$$ a-1 = a^2 \iff a^2 - a + 1 = 0 $$
いずれの場合も $a^2 - a + 1 = 0$ となる。 これを変形すると、
$$ \left(a - \frac{1}{2}\right)^2 + \frac{3}{4} = 0 $$
となるが、これを満たす実数 $a$ は存在しない。 $a$ は実数であるから、上の $3$ つの値はすべて相異なる。
ゆえに、相異なる項は $3$ 個あり、それらは $a, \frac{1}{1-a}, \frac{a-1}{a}$ である。
(2)
(1) の結果より、相異なる解は以下の $3$ つである。
$$ A = a, \quad B = \frac{1}{1-a}, \quad C = \frac{a-1}{a} = 1 - \frac{1}{a} $$
これらのうち、$2$ 個が整数となる $a$ の値を求める。
(i) $A$ が整数となる場合 $A$ は整数であるから、$A = k$ ($k$ は $k \neq 0, 1$ を満たす整数)とおける。 このとき、
$$ B = \frac{1}{1-k}, \quad C = 1 - \frac{1}{k} $$
となる。$A, B, C$ のうち $2$ 個が整数となるには、$B$ または $C$ のいずれか一方が整数になればよい($B=C$ となることは(1)で否定されている)。
・$B$ が整数のとき $1-k$ は $1$ の約数であるから、$1-k = \pm 1$ よって、$k = 0, 2$。 $k \neq 0$ より $k = 2$ である。 このとき $a=2$ であり、$A=2, B=-1, C=\frac{1}{2}$ となるため、整数は $A, B$ の $2$ 個となり条件を満たす。
・$C$ が整数のとき $k$ は $1$ の約数であるから、$k = \pm 1$ $k \neq 1$ より $k = -1$ である。 このとき $a=-1$ であり、$A=-1, B=\frac{1}{2}, C=2$ となるため、整数は $A, C$ の $2$ 個となり条件を満たす。
(ii) $A$ が整数でない場合 $A$ が整数でないならば、$2$ 個が整数となるためには $B, C$ の両方が整数でなければならない。 $B$ が整数であるとして、$B = m$ ($m$ は $m \neq 0$ を満たす整数)とおく。
$$ \frac{1}{1-a} = m \iff 1-a = \frac{1}{m} \iff a = \frac{m-1}{m} $$
このとき、$C$ は次のように表される。
$$ C = \frac{a-1}{a} = \frac{\frac{m-1}{m}-1}{\frac{m-1}{m}} = \frac{-\frac{1}{m}}{\frac{m-1}{m}} = \frac{-1}{m-1} = \frac{1}{1-m} $$
$C$ も整数となるので、$1-m$ は $1$ の約数である。 よって $1-m = \pm 1$ より、$m = 0, 2$。 $m \neq 0$ より $m = 2$ である。 このとき $a = \frac{2-1}{2} = \frac{1}{2}$ であり、$A=\frac{1}{2}, B=2, C=-1$ となるため、整数は $B, C$ の $2$ 個となり条件を満たす。
以上 (i), (ii) より、求める $a$ の値は $a = 2, -1, \frac{1}{2}$ である。
解説
分数型の漸化式 $x_{n+1} = \frac{p x_n + q}{r x_n + s}$ は、周期性を持つか、あるいは一般項が求まる形になるかのいずれかであることが多い。本問は初項を文字でおいて計算を進めるとすぐに $x_4 = x_1$ となり、周期 $3$ であることが分かる。
(1) では、求めた $3$ つの項が「本当にすべて相異なるのか」を確認するステップが重要である。実数条件から $a^2 - a + 1 = 0$ が成り立たないことを示せばよい。
(2) では、$A, B, C$ が巡回する構造を持っているため、どれか $1$ つが整数になる場合を調べれば見通しが良くなる。「約数・倍数の関係」に帰着させて整数解を絞り込むのが定石である。
答え
(1) 3個。それらは $a, \frac{1}{1-a}, \frac{a-1}{a}$ (2) $a = 2, -1, \frac{1}{2}$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











