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東京大学 1963年 文系 第1問 解説

数学1/立体図形数学1/図形計量テーマ/空間図形
東京大学 1963年 文系 第1問 解説

方針・初手

直方体の頂点 $O$ から出る3つの辺の長さを文字でおき、三平方の定理を用いて与えられた条件を式に翻訳する。各辺の長さが正であるという図形的制約から、とりうる値の範囲を絞り込む。

解法1

直方体の頂点 $O$ から出る3つの辺の長さを $OA=x$, $OB=y$, $OC=z$ とおく。直方体の辺であるから、$x>0$, $y>0$, $z>0$ である。

$\triangle OBC$, $\triangle OCA$, $\triangle OAB$ はそれぞれ $\angle O = 90^\circ$ の直角三角形であるから、三平方の定理より以下の関係式が成り立つ。

$$ \begin{cases} y^2 + z^2 = BC^2 = a^2 & \cdots (1) \\ z^2 + x^2 = CA^2 = b^2 & \cdots (2) \\ x^2 + y^2 = AB^2 = c^2 & \cdots (3) \end{cases} $$

また、頂点 $O$ から最も遠い頂点 $D$ までの距離 $OD$ は、直方体の対角線の長さであるから、

$$ OD^2 = OA^2 + OB^2 + OC^2 = x^2 + y^2 + z^2 $$

と表せる。

式(1), (2), (3)の辺々を足し合わせると、

$$ 2(x^2 + y^2 + z^2) = a^2 + b^2 + c^2 $$

$$ x^2 + y^2 + z^2 = \frac{a^2 + b^2 + c^2}{2} $$

$OD > 0$ より、

$$ OD = \sqrt{\frac{a^2 + b^2 + c^2}{2}} $$

次に、直方体が存在するための条件を考える。辺の長さが正であるため、$x^2>0$, $y^2>0$, $z^2>0$ を満たす必要がある。

先ほど求めた和の式から(1), (2), (3)をそれぞれ引くと、

$$ \begin{cases} x^2 = \frac{-a^2 + b^2 + c^2}{2} \\ y^2 = \frac{a^2 - b^2 + c^2}{2} \\ z^2 = \frac{a^2 + b^2 - c^2}{2} \end{cases} $$

これらがすべて正となるための条件は、

$$ \begin{cases} -a^2 + b^2 + c^2 > 0 \\ a^2 - b^2 + c^2 > 0 \\ a^2 + b^2 - c^2 > 0 \end{cases} $$

すなわち、

$$ \begin{cases} c^2 > a^2 - b^2 \\ c^2 > b^2 - a^2 \\ c^2 < a^2 + b^2 \end{cases} $$

ここで、$a=5$, $b=3$ を代入すると、

$$ \begin{cases} c^2 > 25 - 9 = 16 \\ c^2 > 9 - 25 = -16 \\ c^2 < 25 + 9 = 34 \end{cases} $$

第2式は $c^2 > 0$ であるため常に成り立つ。第1式と第3式より、

$$ 16 < c^2 < 34 $$

$c$ は線分 $AB$ の長さなので $c > 0$ であるから、各辺の正の平方根をとって、

$$ 4 < c < \sqrt{34} $$

解説

空間図形の計量問題では、直交する3辺の長さを文字でおき、代数的な連立方程式に帰着させる手法が極めて有効である。本問は、一見すると三角形の辺の長さに関する問題に見えるが、直方体に埋め込まれていることで計算が対称的で扱いやすいものとなっている。

後半の「とりうる値の範囲」については、「図形が存在する条件」を忘れないことが肝要である。ここでは直方体の各辺の長さが正であること($x^2>0, y^2>0, z^2>0$)が必要十分な条件となり、そこから $c$ に関する不等式を導出している。

答え

$OD = \sqrt{\frac{a^2 + b^2 + c^2}{2}}$

$4 < c < \sqrt{34}$

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