東京大学 1968年 理系 第2問 解説

方針・初手
正四角錐の形状を正確に把握するため、まずは底面の1辺の長さを文字で置き、各辺の長さや高さを求める。その後、隣り合う2つの斜面の交線に垂直な平面で切断してできる三角形に余弦定理を用いる幾何的アプローチ(解法1)と、図形を座標空間に配置して法線ベクトルを利用する代数的アプローチ(解法2)が考えられる。
解法1
底面の正方形 $ABCD$ の1辺の長さを $2a \ (a > 0)$ とし、その中心(対角線の交点)を $O$ とする。
辺 $AB$ の中点を $M$ とすると、$OM \perp AB$ であり、$OM = a$ となる。 正四角錐の対称性より、頂点 $V$ から底面に下ろした垂線の足は $O$ に一致する。三垂線の定理より $VM \perp AB$ となるため、底面と斜面 $VAB$ のなす角は $\angle VMO$ となる。
問題の条件より $\angle VMO = 45^\circ$ であるから、直角三角形 $VOM$ において
$$ VO = OM \tan 45^\circ = a $$
となる。 また、三平方の定理より、斜面上の高さ $VM$ は
$$ VM = \sqrt{VO^2 + OM^2} = \sqrt{a^2 + a^2} = \sqrt{2}a $$
となる。 さらに、$\triangle VAB$ は $VA = VB$ の二等辺三角形であるため、直角三角形 $VMA$ において三平方の定理より
$$ VA = \sqrt{VM^2 + AM^2} = \sqrt{(\sqrt{2}a)^2 + a^2} = \sqrt{3}a $$
となる。対称性から $VB = VC = \sqrt{3}a$ である。
次に、隣り合う2つの斜面 $VAB$ と $VBC$ のなす二面角を求める。 頂点 $A$ および $C$ から、2つの面の交線である $VB$ に向けて垂線を下ろし、その足をそれぞれ $P, P'$ とする。$\triangle VAB$ と $\triangle VCB$ は合同であるため、垂線の足は一致し($P = P'$)、$AP = CP$ となる。 このとき、求める二面角は $\angle APC$ となる。
$\triangle VAB$ の面積を2通りの方法で表すことで、垂線 $AP$ の長さを求める。
$$ \begin{aligned} \frac{1}{2} \cdot AB \cdot VM &= \frac{1}{2} \cdot VB \cdot AP \\ \frac{1}{2} \cdot 2a \cdot \sqrt{2}a &= \frac{1}{2} \cdot \sqrt{3}a \cdot AP \\ \sqrt{2}a^2 &= \frac{\sqrt{3}a}{2} AP \end{aligned} $$
これを解いて、
$$ AP = \frac{2\sqrt{2}}{\sqrt{3}}a = \frac{2\sqrt{6}}{3}a $$
を得る。対称性より $CP = \frac{2\sqrt{6}}{3}a$ である。 また、正方形 $ABCD$ の対角線であるから、$AC = 2\sqrt{2}a$ である。
$\triangle APC$ において余弦定理を適用すると、
$$ \begin{aligned} \cos \angle APC &= \frac{AP^2 + CP^2 - AC^2}{2 \cdot AP \cdot CP} \\ &= \frac{\frac{8}{3}a^2 + \frac{8}{3}a^2 - 8a^2}{2 \cdot \frac{8}{3}a^2} \\ &= \frac{\frac{16}{3} - \frac{24}{3}}{\frac{16}{3}} \\ &= \frac{-\frac{8}{3}}{\frac{16}{3}} \\ &= -\frac{1}{2} \end{aligned} $$
となる。 $0^\circ < \angle APC < 180^\circ$ より、$\angle APC = 120^\circ$ である。
解法2
空間座標を設定して解く。 底面 $ABCD$ の中心を原点 $O(0,0,0)$ とし、辺が $x$ 軸および $y$ 軸に平行になるように配置する。 正方形の1辺の長さを $2a \ (a > 0)$ とすると、各頂点の座標は $A(a, -a, 0)$, $B(a, a, 0)$, $C(-a, a, 0)$, $D(-a, -a, 0)$ と表せる。
頂点 $V$ は $z$ 軸の正の部分にあるとして $V(0, 0, h) \ (h > 0)$ とおく。 線分 $AB$ の中点 $M$ の座標は $(a, 0, 0)$ であり、底面($xy$ 平面)と斜面 $VAB$ のなす角は $\angle VMO$ となる。 条件より $\angle VMO = 45^\circ$ であるから、
$$ \tan \angle VMO = \frac{VO}{OM} = \frac{h}{a} = 1 $$
より、$h = a$ と求まる。したがって $V(0, 0, a)$ である。
隣り合う斜面を含む平面 $VAB$ と平面 $VBC$ の方程式を求める。 平面 $VAB$ は、$x$ 軸上の $(a, 0, 0)$ と $z$ 軸上の $(0, 0, a)$ を通り、$y$ 軸に平行な平面であるため、その方程式は
$$ \frac{x}{a} + \frac{z}{a} = 1 \iff x + z = a $$
となる。 同様に、平面 $VBC$ は、$y$ 軸上の $(0, a, 0)$ と $z$ 軸上の $(0, 0, a)$ を通り、$x$ 軸に平行な平面であるため、その方程式は
$$ \frac{y}{a} + \frac{z}{a} = 1 \iff y + z = a $$
となる。 これら2つの平面の法線ベクトルをそれぞれ $\vec{n_1}, \vec{n_2}$ とすると、
$$ \vec{n_1} = (1, 0, 1), \quad \vec{n_2} = (0, 1, 1) $$
ととることができる。 この2つの法線ベクトルのなす角を $\alpha \ (0^\circ \leqq \alpha \leqq 180^\circ)$ とすると、
$$ \begin{aligned} \cos \alpha &= \frac{\vec{n_1} \cdot \vec{n_2}}{|\vec{n_1}| |\vec{n_2}|} \\ &= \frac{1 \cdot 0 + 0 \cdot 1 + 1 \cdot 1}{\sqrt{1^2+0^2+1^2} \sqrt{0^2+1^2+1^2}} \\ &= \frac{1}{\sqrt{2}\sqrt{2}} \\ &= \frac{1}{2} \end{aligned} $$
よって、$\alpha = 60^\circ$ となる。
ここで、法線ベクトル $\vec{n_1}, \vec{n_2}$ が正四角錐の内側・外側のどちらを向いているかを確認する。 正四角錐の内部にある点(例えば原点 $O$)を平面 $VAB$ の式 $x + z - a$ に代入すると $0 + 0 - a = -a < 0$ となる。一方、法線ベクトル $\vec{n_1}$ は $x + z - a$ の値が増加する方向を向いているため、正四角錐の「外部」を向いている。$\vec{n_2}$ についても同様に外部を向いている。 したがって、2つの平面が内部に作る二面角を $\theta$ とすると、外側を向く法線ベクトル同士のなす角とは補角の関係になるため、
$$ \theta = 180^\circ - \alpha = 180^\circ - 60^\circ = 120^\circ $$
となる。
解説
空間図形の計量における二面角の求め方を問う典型問題である。 基本方針は解法1のように「2平面の交線に直交する平面で切断し、その断面に現れる2直線のなす角を求める」ことである。この際、交線上の任意の1点からそれぞれの平面上の直線に垂線を引くことで、余弦定理を適用できる三角形を作り出す技術が重要になる。
一方で、正多面体や正四角錐のように対称性が高く、座標空間に埋め込みやすい図形であれば、解法2のように法線ベクトルを用いるアプローチも非常に強力で、計算ミスを減らしやすいメリットがある。ただし、法線ベクトルを利用する場合は、ベクトル同士のなす角が「求める二面角そのもの」なのか「二面角の補角」なのかを、図形の内部・外部の方向関係から正しく判定する必要がある。
答え
$120^\circ$
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