東京大学 1964年 理系 第3問 解説

方針・初手
切断面の形状を正確に把握することが第一歩である。 底面 $ABCD$ は正方形であるから $BC \parallel AD$ であり、辺 $AD$ は平面 $VAD$ 上にあるため、直線 $BC$ は平面 $VAD$ と平行である。 したがって、直線 $BC$ を含む切断面と、平面 $VAD$ との交線は、直線 $BC$ と平行になる。 この交線上の点を求めることで切り口の図形を決定し、必要な辺の長さを平面幾何または座標計算を用いて求めていく。
解法1
切り口の平面と辺 $VD$ との交点を $Q$ とする。 底面 $ABCD$ は正方形であるから、$BC \parallel AD$ である。 辺 $AD$ は平面 $VAD$ 上にあるため、直線 $BC$ は平面 $VAD$ と平行である。 よって、直線 $BC$ を含む切り口の平面と、平面 $VAD$ との交線 $PQ$ は、直線 $BC$ と平行になる。 $PQ \parallel BC$ かつ $BC \parallel AD$ より、$PQ \parallel AD$ である。
また、四角錐の対称性より、切り口の四角形 $PBCQ$ は $PB = QC$ の等脚台形となる。 $\triangle VAD$ において、$VP:PA = 3:1$ かつ $PQ \parallel AD$ であるから、$\triangle VPQ \sim \triangle VAD$ であり、その相似比は $3:4$ である。 $AD = 20$ より、上底 $PQ$ の長さは、
$$ PQ = 20 \times \frac{3}{4} = 15 $$
次に、脚 $PB$ の長さを求める。 側面 $\triangle VAB$ に着目し、辺 $AB$ の中点を $M$ とする。 $\triangle VAB$ は $VA=VB$ の二等辺三角形であるから、直線 $VM$ は辺 $AB$ の垂直二等分線であり、高さは $VM = 40$ である。 点 $M$ を原点とし、直線 $AB$ を $x$ 軸、直線 $VM$ を $y$ 軸とする座標平面を設定する。 $AB = 20$ より、$A(-10, 0)$、$B(10, 0)$ であり、$V(0, 40)$ と表せる。 点 $P$ は線分 $VA$ を $3:1$ に内分する点であるから、点 $P$ の座標 $(x_p, y_p)$ は、
$$ x_p = \frac{1 \cdot 0 + 3 \cdot (-10)}{3 + 1} = -\frac{15}{2} $$
$$ y_p = \frac{1 \cdot 40 + 3 \cdot 0}{3 + 1} = 10 $$
すなわち $P\left(-\frac{15}{2}, 10\right)$ である。 よって、線分 $PB$ の長さの2乗は、
$$ PB^2 = \left(10 - \left(-\frac{15}{2}\right)\right)^2 + (0 - 10)^2 = \left(\frac{35}{2}\right)^2 + 100 = \frac{1225}{4} + \frac{400}{4} = \frac{1625}{4} $$
等脚台形 $PBCQ$ において、点 $P, Q$ から下底 $BC$ に下ろした垂線の足をそれぞれ $H, I$ とする。 $BC = 20$、$PQ = 15$ より、
$$ BH = \frac{BC - PQ}{2} = \frac{20 - 15}{2} = \frac{5}{2} $$
台形の高さ $PH$ は、直角三角形 $\triangle PBH$ において三平方の定理より、
$$ PH^2 = PB^2 - BH^2 = \frac{1625}{4} - \left(\frac{5}{2}\right)^2 = \frac{1625}{4} - \frac{25}{4} = \frac{1600}{4} = 400 $$
$PH > 0$ より $PH = 20$ である。 したがって、求める切り口の面積 $S$ は、
$$ S = \frac{1}{2}(PQ + BC) \cdot PH = \frac{1}{2}(15 + 20) \cdot 20 = 35 \cdot 10 = 350 $$
解法2
空間座標を設定して解く。 底面 $ABCD$ の中心を原点 $O(0,0,0)$ とし、各頂点の座標を次のようにとる。 $A(10, -10, 0)$、$B(10, 10, 0)$、$C(-10, 10, 0)$、$D(-10, -10, 0)$
四角錐の頂点 $V$ は $z$ 軸上にあり、$z>0$ として $V(0, 0, h)$ とおく。 側面 $\triangle VAB$ の高さが $40$ であり、点 $V$ から直線 $AB$ に下ろした垂線の足は辺 $AB$ の中点 $M(10, 0, 0)$ であるから、$VM = 40$ となる。 $VM^2 = 10^2 + 0^2 + h^2 = 100 + h^2$ より、
$$ 100 + h^2 = 1600 $$
$$ h^2 = 1500 $$
$h > 0$ より $h = 10\sqrt{15}$ であるから、$V(0, 0, 10\sqrt{15})$ となる。 点 $P$ は辺 $VA$ を $3:1$ に内分する点であるから、位置ベクトル $\vec{OP}$ は、
$$ \vec{OP} = \frac{1 \cdot \vec{OV} + 3 \cdot \vec{OA}}{4} = \frac{1}{4}(0, 0, 10\sqrt{15}) + \frac{3}{4}(10, -10, 0) = \left(\frac{15}{2}, -\frac{15}{2}, \frac{5\sqrt{15}}{2}\right) $$
切断面と辺 $VD$ の交点を $Q$ とする。解法1と同様の理由で $PQ \parallel AD$ となるため、点 $Q$ は辺 $VD$ を $3:1$ に内分する点である。
$$ \vec{OQ} = \frac{1 \cdot \vec{OV} + 3 \cdot \vec{OD}}{4} = \frac{1}{4}(0, 0, 10\sqrt{15}) + \frac{3}{4}(-10, -10, 0) = \left(-\frac{15}{2}, -\frac{15}{2}, \frac{5\sqrt{15}}{2}\right) $$
切り口の四角形 $PBCQ$ は等脚台形であり、各辺の長さは以下のようになる。 上底 $PQ$ の長さは、
$$ PQ = \sqrt{\left(-\frac{15}{2} - \frac{15}{2}\right)^2 + 0 + 0} = \sqrt{(-15)^2} = 15 $$
下底 $BC = 20$ であり、脚 $PB$ の長さの2乗は、
$$ PB^2 = |\vec{OB} - \vec{OP}|^2 = \left| \left(\frac{5}{2}, \frac{35}{2}, -\frac{5\sqrt{15}}{2}\right) \right|^2 $$
$$ PB^2 = \frac{25}{4} + \frac{1225}{4} + \frac{75 \cdot 5}{4} = \frac{25 + 1225 + 375}{4} = \frac{1625}{4} $$
これ以降は解法1と同様に等脚台形の高さを求め、面積を計算する。 台形の高さを $h'$ とすると、
$$ h' = \sqrt{PB^2 - \left(\frac{BC - PQ}{2}\right)^2} = \sqrt{\frac{1625}{4} - \frac{25}{4}} = \sqrt{400} = 20 $$
よって、面積 $S$ は、
$$ S = \frac{1}{2}(15 + 20) \cdot 20 = 350 $$
解説
立体図形の切断問題における典型的な定石を問う問題である。 平行な面(あるいは線)の性質を利用して「切り口の交線が平行になる」ことを見抜くのが最大のポイントとなる。今回は $BC \parallel AD$ であることを足がかりに、$PQ \parallel BC$ を導くことができる。 辺の長さを求める際、三平方の定理や余弦定理を愚直に用いると計算が煩雑になりやすいが、解法1のように「特定の側面だけを抜き出して平面座標を設定する」ことで、見通しよく計算を進めることができる。解法2の空間座標は計算量が多くなるものの、図形的な発想に頼らず機械的に処理できる強みがある。
答え
$350 \text{ cm}^2$
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