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東京大学 1968年 理系 第1問 解説

数学2/積分法数学2/三角関数テーマ/面積・体積テーマ/定積分計算
東京大学 1968年 理系 第1問 解説

方針・初手

与えられた不等式から、領域の上端と下端を表す関数を把握し、領域全体の面積を定積分によって計算する。 次に、原点を通る直線 $y = \alpha x$ と下端の放物線 $y = x^2 - 5x$ によって囲まれる面積を計算し、それが全体面積の半分になるという条件から $\alpha$ の値を定める。面積の単調性を考慮すると、直線が上端の曲線と交わらない場合を先に調べるのが効率的である。

解法1

下側の曲線を $f(x) = x^2 - 5x$、上側の曲線を $g(x) = \frac{\pi}{5}\sin\left(\frac{\pi x}{5}\right) - \frac{3}{5}\sin^2\left(\frac{\pi x}{5}\right)$ とおく。 方程式 $f(x) = 0$ の解は $x = 0, 5$ である。 また、$x = 0, 5$ のとき $\sin\left(\frac{\pi x}{5}\right) = 0$ となるため、$g(0) = g(5) = 0$ である。 したがって、2つの曲線は原点 $(0, 0)$ と点 $(5, 0)$ で交わる。

区間 $0 < x < 5$ における $f(x)$ と $g(x)$ の符号を調べる。 $f(x) = x(x - 5) < 0$ である。 一方、$0 < x < 5$ において $0 < \frac{\pi x}{5} < \pi$ であるから $0 < \sin\left(\frac{\pi x}{5}\right) \le 1$ となる。 ここで、$g(x)$ を次のように変形する。

$$ g(x) = \sin\left(\frac{\pi x}{5}\right) \left\{ \frac{\pi}{5} - \frac{3}{5}\sin\left(\frac{\pi x}{5}\right) \right\} $$

$\frac{\pi}{5} > \frac{3}{5}$ であるため、カッコ内は常に正となる。 ゆえに、区間 $0 < x < 5$ において $g(x) > 0 > f(x)$ が成り立ち、指定された領域は $0 < x < 5$ の範囲で上下の曲線に挟まれた部分となる。

この領域の全体の面積を $S$ とすると、$S$ は以下の定積分で求められる。

$$ \begin{aligned} S &= \int_{0}^{5} \{ g(x) - f(x) \} dx \\ &= \int_{0}^{5} \left\{ \frac{\pi}{5}\sin\left(\frac{\pi x}{5}\right) - \frac{3}{5}\sin^2\left(\frac{\pi x}{5}\right) - (x^2 - 5x) \right\} dx \end{aligned} $$

各項の定積分を計算する。

$$ \int_{0}^{5} (x^2 - 5x) dx = \left[ \frac{1}{3}x^3 - \frac{5}{2}x^2 \right]_{0}^{5} = \frac{125}{3} - \frac{125}{2} = -\frac{125}{6} $$

$$ \int_{0}^{5} \frac{\pi}{5}\sin\left(\frac{\pi x}{5}\right) dx = \left[ -\cos\left(\frac{\pi x}{5}\right) \right]_{0}^{5} = -\cos\pi + \cos 0 = 2 $$

半角の公式を用いて次数を下げる。

$$ \begin{aligned} \int_{0}^{5} \frac{3}{5}\sin^2\left(\frac{\pi x}{5}\right) dx &= \frac{3}{5} \int_{0}^{5} \frac{1 - \cos\left(\frac{2\pi x}{5}\right)}{2} dx \\ &= \frac{3}{10} \left[ x - \frac{5}{2\pi}\sin\left(\frac{2\pi x}{5}\right) \right]_{0}^{5} \\ &= \frac{3}{10} (5 - 0) = \frac{3}{2} \end{aligned} $$

これらを代入して面積 $S$ を求める。

$$ S = 2 - \frac{3}{2} - \left(-\frac{125}{6}\right) = \frac{1}{2} + \frac{125}{6} = \frac{3}{6} + \frac{125}{6} = \frac{128}{6} = \frac{64}{3} $$

直線 $y = \alpha x$ によって面積が二等分される条件を考える。 原点を通る直線の傾き $\alpha$ が増加すると、直線の下側の領域の面積は単調に増加するため、面積を二等分する $\alpha$ はただ1つ存在する。 直線 $y = \alpha x$ と放物線 $y = x^2 - 5x$ の交点の $x$ 座標は、$x^2 - 5x = \alpha x$ より $x = 0, \alpha + 5$ である。

ここで、交点 $x = \alpha + 5$ が区間 $(0, 5)$ 内にある、すなわち $-5 < \alpha < 0$ の場合を考える。 このとき、区間 $0 < x < \alpha + 5$ において $\alpha x < 0$ であり、また $g(x) > 0$ であるため、直線 $y = \alpha x$ は常に曲線 $y = g(x)$ の下側にある。 したがって、領域が二等分されたときの下側の部分は、直線 $y = \alpha x$ と放物線 $y = x^2 - 5x$ のみで囲まれる領域となる。 この部分の面積 $S_1$ を $\frac{1}{6}$ 公式を用いて計算する。

$$ \begin{aligned} S_1 &= \int_{0}^{\alpha+5} \{ \alpha x - (x^2 - 5x) \} dx \\ &= -\int_{0}^{\alpha+5} x(x - (\alpha + 5)) dx \\ &= \frac{1}{6} (\alpha + 5)^3 \end{aligned} $$

面積が二等分される条件は $S_1 = \frac{1}{2}S$ であるから、

$$ \frac{1}{6} (\alpha + 5)^3 = \frac{1}{2} \cdot \frac{64}{3} $$

$$ \frac{1}{6} (\alpha + 5)^3 = \frac{32}{3} $$

$$ (\alpha + 5)^3 = 64 $$

$\alpha$ は実数であるから、$\alpha + 5 = 4$ より $\alpha = -1$ となる。 これは前提とした $-5 < \alpha < 0$ を満たしており、面積の単調性からこれが唯一の解である。

解説

三角関数の積分や放物線の面積に関する $\frac{1}{6}$ 公式を正確に扱えるかを問う標準的な定積分と面積の問題である。 「面積を二等分する」という条件から、分割された領域の片方が扱いやすい形になる(直線の式が常に上または下になる)と予想して計算を進めるのがよい。直線と上側の曲線の交点を求めようとすると計算が行き詰まるため、下側の放物線とのみ囲まれる弓形の面積に帰着できると見抜けるかがポイントである。

答え

$$ \alpha = -1 $$

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