東京工業大学 1969年 理系 第2問 解説

方針・初手
空間図形における線分の長さや点から平面への距離を求める典型問題です。 (1) では、直線と平面の垂直関係から三垂線の定理を用いて、空間内の直角三角形を見出します。 (2) では、点から平面への距離(垂線の長さ)を求めるため、「適切な平面で切断して2次元に帰着させる方法」と、「四面体の体積を2通りに表して比較する方法」の2つのアプローチが考えられます。
解法1
(1)
直線 $AD$ は平面 $P$ に垂直であり、直線 $BC$ は平面 $P$ 上にある。点 $D$ から直線 $BC$ に引いた垂線の足が $E$ であるから、$DE \perp BC$ が成り立つ。 したがって、三垂線の定理により、$AE \perp BC$ である。 これは、線分 $AE$ の長さが $\triangle ABC$ における底辺を $BC$ としたときの高さに等しいことを意味する。
$\triangle ABC$ において、余弦定理より $BC$ の長さを求める。
$$ BC^2 = AB^2 + AC^2 - 2 \cdot AB \cdot AC \cdot \cos \angle A $$
$$ BC^2 = 4^2 + 3^2 - 2 \cdot 4 \cdot 3 \cdot \cos \frac{\pi}{3} = 16 + 9 - 24 \cdot \frac{1}{2} = 13 $$
よって、$BC = \sqrt{13}$ である。
次に、$\triangle ABC$ の面積 $S$ を求める。
$$ S = \frac{1}{2} \cdot AB \cdot AC \cdot \sin \frac{\pi}{3} = \frac{1}{2} \cdot 4 \cdot 3 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} = 3\sqrt{3} $$
一方、底辺を $BC$、高さを $AE$ として面積 $S$ を表すと、
$$ S = \frac{1}{2} \cdot BC \cdot AE = \frac{\sqrt{13}}{2} AE $$
となる。これらが等しいので、
$$ \frac{\sqrt{13}}{2} AE = 3\sqrt{3} \iff AE = \frac{6\sqrt{3}}{\sqrt{13}} $$
また、直線 $AD$ は平面 $P$ に垂直であるため、平面 $P$ 上の直線 $AE$ と垂直に交わる。すなわち $\angle DAE = \frac{\pi}{2}$ である。 直角三角形 $ADE$ において三平方の定理より、
$$ DE^2 = AD^2 + AE^2 = 5^2 + \left( \frac{6\sqrt{3}}{\sqrt{13}} \right)^2 = 25 + \frac{108}{13} = \frac{325 + 108}{13} = \frac{433}{13} $$
$DE > 0$ であるから、
$$ DE = \sqrt{\frac{433}{13}} = \frac{\sqrt{5629}}{13} $$
(2)
直線 $BC$ は直線 $DE$ および直線 $AE$ と垂直に交わるため、2直線 $DE, AE$ が定める平面 $ADE$ と垂直である。 したがって、直線 $BC$ を含む平面 $BCD$ と平面 $ADE$ は互いに垂直である。 このとき、点 $A$ から平面 $BCD$ に下ろした垂線の足 $F$ は、平面 $ADE$ と平面 $BCD$ の交線である直線 $DE$ 上にある。 よって、線分 $AF$ は直角三角形 $ADE$ の頂点 $A$ から斜辺 $DE$ に下ろした垂線となる。
$\triangle ADE$ の面積に着目し、底辺と高さを2通りにとることで次式が成り立つ。
$$ \frac{1}{2} \cdot AD \cdot AE = \frac{1}{2} \cdot DE \cdot AF $$
これに各値を代入して、
$$ 5 \cdot \frac{6\sqrt{3}}{\sqrt{13}} = \sqrt{\frac{433}{13}} \cdot AF $$
$$ \frac{30\sqrt{3}}{\sqrt{13}} = \frac{\sqrt{433}}{\sqrt{13}} \cdot AF $$
したがって、
$$ AF = \frac{30\sqrt{3}}{\sqrt{433}} = \frac{30\sqrt{1299}}{433} $$
解法2
(2) の別解(体積を利用する方法)
四面体 $ABCD$ の体積 $V$ を2通りの方法で求める。
まず、底面を $\triangle ABC$、高さを $AD$ とみると、
$$ V = \frac{1}{3} \cdot \triangle ABC \cdot AD = \frac{1}{3} \cdot 3\sqrt{3} \cdot 5 = 5\sqrt{3} $$
次に、底面を $\triangle BCD$、高さを $AF$ とみる。 $\triangle BCD$ の面積は、底辺を $BC$、高さを $DE$ として求められる。
$$ \triangle BCD = \frac{1}{2} \cdot BC \cdot DE = \frac{1}{2} \cdot \sqrt{13} \cdot \sqrt{\frac{433}{13}} = \frac{\sqrt{433}}{2} $$
よって、体積 $V$ は、
$$ V = \frac{1}{3} \cdot \triangle BCD \cdot AF = \frac{1}{3} \cdot \frac{\sqrt{433}}{2} \cdot AF = \frac{\sqrt{433}}{6} AF $$
2つの体積の式から、
$$ \frac{\sqrt{433}}{6} AF = 5\sqrt{3} $$
$$ AF = \frac{30\sqrt{3}}{\sqrt{433}} = \frac{30\sqrt{1299}}{433} $$
解説
(1) は三垂線の定理を正しく適用できるかが問われています。「どこに直角三角形ができるか」を平面図を描きながら把握することが重要です。 (2) は空間図形における垂線の長さを求める問題であり、解法2 のように「体積を2通りに表して比較する」のが最も汎用性の高い定石です。一方、本問のように対称性や垂直な平面関係が明確な場合は、解法1 のように適切な平面で切断し、2次元の面積比較に持ち込むことで計算を簡略化できます。
答え
(1) $DE = \frac{\sqrt{5629}}{13}$
(2) $AF = \frac{30\sqrt{1299}}{433}$
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