数学1 二次不等式 問題 23 解説

方針・初手
与えられた連立不等式の解が $x>p$(上に有界でなく、下に有界である)という形をしていることに着目する。
(1) は $x$ が十分大きいときの挙動を考え、2次の係数が負であれば不等式が成り立たなくなることを利用して背理法で示す。
(2) は「少なくとも1個は0」を示すため、「すべて正」であると仮定して背理法を用いる。各2次方程式の解が負になることから、$x$ が十分小さい(負で絶対値が大きい)ときに連立不等式を満たしてしまい、解が下に有界であることと矛盾することを導く。
(3) は与式が $a, b, c$ について巡回対称であることを利用し、$a=0$ の場合について解けばよい。
解法1
(1)
$a<0$ と仮定する。
このとき、$\lim_{x \to \infty} (ax^2+bx+c) = -\infty$ であるから、ある実数 $M$ が存在して、$x>M$ を満たすすべての実数 $x$ に対して $ax^2+bx+c < 0$ となる。
これは、連立不等式の解が $x>p$ であり、いくらでも大きい実数 $x$ が不等式 $ax^2+bx+c>0$ を満たすことと矛盾する。
したがって、$a \ge 0$ である。
同様に、$bx^2+cx+a>0$ と $cx^2+ax+b>0$ についても、$x \to \infty$ の挙動を考えることにより、$b \ge 0$ かつ $c \ge 0$ であることが示される。
以上より、$a, b, c$ はすべて0以上である。
(2)
(1) の結果より、$a \ge 0, b \ge 0, c \ge 0$ である。
ここで $a>0$, $b>0$, $c>0$ と仮定する。
2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の判別式を $D_1=b^2-4ac$ とする。
(i) $D_1 < 0$ のとき
$ax^2+bx+c>0$ はすべての実数 $x$ に対して成り立つ。
(ii) $D_1 = 0$ のとき
$ax^2+bx+c>0$ の解は $x \neq -\frac{b}{2a}$ である。
(iii) $D_1 > 0$ のとき
$ax^2+bx+c=0$ は異なる2つの実数解 $\alpha_1, \beta_1$ ($\alpha_1 < \beta_1$) を持つ。
解と係数の関係より、$\alpha_1 + \beta_1 = -\frac{b}{a} < 0$ かつ $\alpha_1 \beta_1 = \frac{c}{a} > 0$ であるから、2つの解はともに負である。
すなわち $\alpha_1 < \beta_1 < 0$ となる。
不等式 $ax^2+bx+c>0$ の解は $x < \alpha_1$ または $x > \beta_1$ である。
いずれの場合も、ある負の実数 $M_1$ が存在して、$x < M_1$ を満たすすべての実数 $x$ は $ax^2+bx+c>0$ を満たす。
他の2つの不等式 $bx^2+cx+a>0$、$cx^2+ax+b>0$ についても同様に考えれば、ある負の実数 $M_2, M_3$ が存在して、$x < M_2$ および $x < M_3$ を満たすすべての実数 $x$ はそれぞれの不等式を満たす。
ここで $M = \min(M_1, M_2, M_3)$ とおくと、$x < M$ を満たすすべての実数 $x$ は与えられた3つの不等式をすべて満たす。
これは、連立不等式を満たす実数 $x$ の集合が $x>p$ であること(すなわち下に有界であること)と矛盾する。
したがって、$a, b, c$ のうち少なくとも1個は0である。
(3)
与えられた連立不等式は $a, b, c$ に関して巡回対称である。
(2) より $a, b, c$ のうち少なくとも1個は0であるから、一般性を失うことなく $a=0$ と仮定してよい。
このとき、(1) より $b \ge 0, c \ge 0$ であり、連立不等式は以下のようになる。
$$ \begin{cases} bx+c>0 & \cdots ① \\ bx^2+cx>0 & \cdots ② \\ cx^2+b>0 & \cdots ③ \end{cases} $$
(i) $b=0$ のとき
①は $c>0$ となる。
②は $cx>0$ となり、$c>0$ より $x>0$ である。
③は $cx^2>0$ となり、$c>0$ より $x \neq 0$ である。
①、②、③をすべて満たす実数 $x$ の集合は $x>0$ である。
(ii) $b>0$ のとき
①は $bx > -c$ より $x > -\frac{c}{b}$ である。
②は $x(bx+c)>0$ と変形できる。
①が成り立つ条件下では $bx+c>0$ であるから、②を満たすためには $x>0$ が必要十分である。
ここで $b>0, c \ge 0$ より $-\frac{c}{b} \le 0$ であるから、①かつ②を満たす実数 $x$ の集合は $x>0$ である。
③について、$c \ge 0, b>0$ より $cx^2 \ge 0$ であるから、$cx^2+b \ge b > 0$ となり、すべての実数 $x$ に対して成り立つ。
したがって、①、②、③をすべて満たす実数 $x$ の集合は $x>0$ である。
(i)、(ii) のいずれの場合も、連立不等式を満たす実数 $x$ の集合は $x>0$ となる。
条件よりこの集合が $x>p$ と一致するから、$p=0$ である。
解説
(1) では、解が $x>p$ であり上に有界でないことから、上に凸な2次関数では不適であることを背理法で示す。(2) も背理法の良いアプローチとなる。「少なくとも1つは0」を示すために「すべて正」と仮定して矛盾を導く論法が定石である。(3) の対称性の利用は、論述を大幅に簡略化できる有効な手段である。文字の巡回対称性に気づけるかどうかが論理展開の長さを左右する。
答え
(1) 題意の通り証明された。
(2) 題意の通り証明された。
(3) $p=0$ であることが示された。
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