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東京大学 2000年 文系 第2問 解説

数学1/方程式不等式テーマ/軌跡・領域テーマ/不等式の証明テーマ/最大・最小テーマ/場合分け
東京大学 2000年 文系 第2問 解説

方針・初手

2変数 $x, y$ の関数として与えられた式の最小値を考える。変数が独立して動くため、まずは一方の変数(たとえば $x$)を定数とみなし、もう一方の変数 $y$ の関数として扱う「1文字固定法(予選決勝法)」を用いる。 与式は $x, y$ のどちらについて整理しても1次関数(または定数関数)となる。閉区間における1次関数の最小値は区間の端点でとることに着目して条件を絞り込んでいく。

解法1

式を $f(x, y) = 1 - ax - by - axy$ とおく。 条件は、$-1 \leqq x \leqq 1, \ -1 \leqq y \leqq 1$ を満たすすべての $(x, y)$ において $f(x, y) > 0$ となることである。

まず、$x$ を $-1 \leqq x \leqq 1$ の範囲で固定し、$f(x, y)$ を $y$ の関数とみる。 $y$ について整理すると、

$$ f(x, y) = -(ax + b)y - ax + 1 $$

これは $y$ についての1次関数($ax+b=0$ のときは定数関数)である。 したがって、$-1 \leqq y \leqq 1$ の範囲における $f(x, y)$ の最小値は、$y = 1$ または $y = -1$ のときにとる。 ゆえに、常に $f(x, y) > 0$ が成り立つための条件は、

$$ f(x, 1) > 0 \quad \text{かつ} \quad f(x, -1) > 0 $$

となることである。 それぞれの値を計算すると、

$$ f(x, 1) = -(ax + b) \cdot 1 - ax + 1 = -2ax - b + 1 $$

$$ f(x, -1) = -(ax + b) \cdot (-1) - ax + 1 = b + 1 $$

よって、すべての $-1 \leqq x \leqq 1$ において、

$$ -2ax - b + 1 > 0 \quad \cdots \text{①} $$

$$ b + 1 > 0 \quad \cdots \text{②} $$

が成り立つような $a, b$ の条件を求めればよい。

(i) 条件②について

不等式②は $x$ に依存しないため、そのまま

$$ b > -1 $$

が条件となる。

(ii) 条件①について

$g(x) = -2ax - b + 1$ とおく。 すべての $-1 \leqq x \leqq 1$ で $g(x) > 0$ となる条件を考える。 $g(x)$ は $x$ についての1次関数($a=0$ のときは定数関数)であるため、$-1 \leqq x \leqq 1$ における $g(x)$ の最小値は $x = 1$ または $x = -1$ のときにとる。 したがって、常に $g(x) > 0$ となるための条件は、

$$ g(1) > 0 \quad \text{かつ} \quad g(-1) > 0 $$

となることである。 それぞれの値を計算すると、

$$ g(1) = -2a - b + 1 > 0 \iff b < -2a + 1 $$

$$ g(-1) = 2a - b + 1 > 0 \iff b < 2a + 1 $$

(i),(ii)より、求める条件は

$$ b > -1 \quad \text{かつ} \quad b < -2a + 1 \quad \text{かつ} \quad b < 2a + 1 $$

これをひとまとめにすると、

$$ -1 < b < -2|a| + 1 $$

となる。

解法2

$f(x, y) = 1 - ax - by - axy$ とおく。

$f(x, y)$ は $x$ を固定すれば $y$ の1次関数、$y$ を固定すれば $x$ の1次関数である。 このように、各変数について1次関数となっている関数において、領域が各変数について閉区間で定められている場合、その領域内での最小値は必ず領域の頂点のいずれかでとる。 本問の領域は $xy$ 平面上の正方形領域であり、その頂点は

$$ (1, 1), \ (-1, 1), \ (-1, -1), \ (1, -1) $$

の4点である。 したがって、領域全体で $f(x, y) > 0$ となるための条件は、これら4頂点における $f(x, y)$ の値がすべて正になることである。

各頂点での値を計算すると、

$$ f(1, 1) = 1 - a - b - a = 1 - 2a - b $$

$$ f(-1, 1) = 1 + a - b + a = 1 + 2a - b $$

$$ f(-1, -1) = 1 + a + b - a = 1 + b $$

$$ f(1, -1) = 1 - a + b + a = 1 + b $$

これらがすべて正であるから、

$$ 1 - 2a - b > 0 \iff b < -2a + 1 $$

$$ 1 + 2a - b > 0 \iff b < 2a + 1 $$

$$ 1 + b > 0 \iff b > -1 $$

($f(1, -1)$ と $f(-1, -1)$ の条件は一致する)

以上をまとめて、求める条件は

$$ b > -1 \quad \text{かつ} \quad b < -2a + 1 \quad \text{かつ} \quad b < 2a + 1 $$

となる。

解説

2変数関数の最大・最小を考える典型問題である。今回は「領域内のすべての点で値が正」という条件に読み替えて処理する。 一見すると2次の項($xy$)が含まれているが、一方の変数だけに着目すると1次関数になっている式は頻出である。1次関数であれば、閉区間における最大・最小は必ず両端のいずれかでとるという性質を利用し、1変数ずつ順番に端点での条件に帰着させる「1文字固定法」が極めて有効である。解法2はその論理を最後まで進め、4頂点の評価だけで済むことを利用したものである。

答え

求める点 $(a, b)$ の範囲は、連立不等式

$$ \begin{cases} b > -1 \\ b < -2a + 1 \\ b < 2a + 1 \end{cases} $$

の表す領域である。 これは、$ab$ 平面上において、3点 $(0, 1), \ (1, -1), \ (-1, -1)$ を頂点とする三角形の内部であり、境界線を含まない。

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