九州大学 2007年 文系 第1問 解説

方針・初手
(1)は与えられた方程式をそれぞれの因数ごとに解き、得られた解の大小比較を行う。無理数の近似値の評価、または差をとって符号を調べることで正確に大小関係を判定する。
(2)は(1)で求めた実数解の大小関係を利用して $f(x) \leqq 0$ となる区間を求め、その範囲に含まれる整数を拾い上げる。
(3)は $n$ が整数であることを利用する。$f(n)$ を構成する各因数が整数となるため、$f(n)$ も整数である。したがって、$f(n) \leqq 1$ は $f(n) \leqq 0$ または $f(n) = 1$ と同値であることに着目する。
解法1
(1)
方程式 $f(x) = 0$ より、
$$ (x^2 - 2)(x^2 - 4x + 2) = 0 $$
よって、$x^2 - 2 = 0$ または $x^2 - 4x + 2 = 0$ である。
$x^2 - 2 = 0$ を解いて、
$$ x = \pm \sqrt{2} $$
$x^2 - 4x + 2 = 0$ を解いて、
$$ x = \frac{4 \pm \sqrt{16 - 8}}{2} = 2 \pm \sqrt{2} $$
したがって、実数解は $-\sqrt{2}, \sqrt{2}, 2-\sqrt{2}, 2+\sqrt{2}$ の4つである。
これらを小さい順に並べるため、大小関係を調べる。 明らかに $-\sqrt{2} < 0$ であり、他の3つは正である。 $2-\sqrt{2}$ と $\sqrt{2}$ について、差をとると
$$ \sqrt{2} - (2-\sqrt{2}) = 2\sqrt{2} - 2 = \sqrt{8} - \sqrt{4} > 0 $$
よって、$2-\sqrt{2} < \sqrt{2}$ である。 $\sqrt{2}$ と $2+\sqrt{2}$ について、差をとると
$$ (2+\sqrt{2}) - \sqrt{2} = 2 > 0 $$
よって、$\sqrt{2} < 2+\sqrt{2}$ である。
以上より、小さい順に並べると、$-\sqrt{2}, 2-\sqrt{2}, \sqrt{2}, 2+\sqrt{2}$ となる。
(2)
$1 < 2 < 4$ より $1 < \sqrt{2} < 2$ であるから、(1)の各解について以下の評価が成り立つ。
$$ \begin{aligned} -2 &< -\sqrt{2} < -1 \\ 0 &< 2-\sqrt{2} < 1 \\ 1 &< \sqrt{2} < 2 \\ 3 &< 2+\sqrt{2} < 4 \end{aligned} $$
関数 $y = f(x)$ は4次関数であり、$x^4$ の係数が正で、(1)より $x$ 軸と異なる4点で交わる。 したがって、不等式 $f(n) \leqq 0$ を満たす範囲は、
$$ -\sqrt{2} \leqq n \leqq 2-\sqrt{2} \quad \text{または} \quad \sqrt{2} \leqq n \leqq 2+\sqrt{2} $$
である。
$-\sqrt{2} \leqq n \leqq 2-\sqrt{2}$ を満たす整数 $n$ は、上の値の評価から $n = -1, 0$。 $\sqrt{2} \leqq n \leqq 2+\sqrt{2}$ を満たす整数 $n$ は、上の値の評価から $n = 2, 3$。
よって、求める整数 $n$ は $n = -1, 0, 2, 3$ である。
(3)
$n$ は整数であるから、$n^2 - 2$ および $n^2 - 4n + 2$ はともに整数であり、その積である $f(n)$ も整数となる。 したがって、$f(n) \leqq 1$ を満たすための条件は、$f(n) \leqq 0$ または $f(n) = 1$ となることである。
(i) $f(n) \leqq 0$ の場合
(2) より、$n = -1, 0, 2, 3$ である。
(ii) $f(n) = 1$ の場合
$(n^2 - 2)(n^2 - 4n + 2) = 1$ であり、整数どうしの積が $1$ となるのは、各因数がともに $1$ またはともに $-1$ の組み合わせに限られる。
(ア) $n^2 - 2 = 1$ かつ $n^2 - 4n + 2 = 1$ のとき
$n^2 - 2 = 1$ より $n^2 = 3$ となり、$n = \pm \sqrt{3}$。 これは $n$ が整数であることに矛盾する。
(イ) $n^2 - 2 = -1$ かつ $n^2 - 4n + 2 = -1$ のとき
$n^2 - 2 = -1$ より $n^2 = 1$ となり、$n = \pm 1$。 $n = 1$ のとき、$n^2 - 4n + 2 = 1 - 4 + 2 = -1$ となり適する。 $n = -1$ のとき、$n^2 - 4n + 2 = 1 - 4(-1) + 2 = 7 \neq -1$ となり不適。 よって、これを満たすのは $n = 1$ のみである。
以上 (i), (ii) より、求める整数 $n$ は $-1, 0, 1, 2, 3$ である。
解説
(1)の方程式の解から(2)の不等式の範囲決定、そして(3)の整数の性質を利用した解の絞り込みへと自然に繋がる誘導問題である。 (1)における大小比較は、$\sqrt{2} \fallingdotseq 1.41$ という近似値を用いて直感的に把握できるが、答案としては不等式を用いて評価範囲を明示するのが確実である。 (3)では、直接 $f(n) \leqq 1$ の4次不等式を解こうとすると処理が煩雑になる。「$n$ が整数ならば $f(n)$ も整数」という性質を利用して、$f(n) \leqq 1$ を $f(n) \leqq 0$ と $f(n)=1$ に分割して考えるのが、計算量を減らす最大のポイントである。
答え
(1) $-\sqrt{2}, 2-\sqrt{2}, \sqrt{2}, 2+\sqrt{2}$ (2) $n = -1, 0, 2, 3$ (3) $n = -1, 0, 1, 2, 3$
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