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大阪大学 2016年 理系 第2問 解説

数学1/方程式不等式数学2/式と証明テーマ/不等式の証明テーマ/最大・最小
大阪大学 2016年 理系 第2問 解説

方針・初手

(1) 与式を展開して整理すると、$xy$ の式になる。条件 $x+y=c$ と $x>0, y>0$ を活かし、相加平均と相乗平均の大小関係(または2次関数の最大・最小)を用いて $xy$ の最大値を求めることで、全体の最小値を求める。

(2) (1) の結果を利用して変数を減らす。$x+y=1-z$ として (1) の不等式を適用するが、その際に残りの因数 $1-\frac{4}{3z}$ の符号に注意する必要がある。負の数を掛けることで不等号の向きが反転することを見落とさないようにし、1変数 $z$ の関数の最大値問題に帰着させる。

解法1

(1) 与式を展開して整理する。

$$ \left(1+\frac{1}{x}\right)\left(1+\frac{1}{y}\right) = 1 + \frac{1}{x} + \frac{1}{y} + \frac{1}{xy} = 1 + \frac{x+y}{xy} + \frac{1}{xy} = 1 + \frac{x+y+1}{xy} $$

条件より $x+y=c$ であるため、

$$ \left(1+\frac{1}{x}\right)\left(1+\frac{1}{y}\right) = 1 + \frac{c+1}{xy} $$

となる。$c$ は正の定数なので $c+1 > 0$ であり、この式が最小となるのは $xy$ が最大となるときである。 $x>0, y>0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、

$$ x+y \ge 2\sqrt{xy} $$

が成り立つ。$x+y=c$ を代入すると、

$$ c \ge 2\sqrt{xy} $$

両辺ともに正であるから、両辺を2乗して整理すると、

$$ xy \le \frac{c^2}{4} $$

となる。等号が成立するのは $x=y$ のとき、すなわち $x=y=\frac{c}{2}$ のときであり、これは $x>0, y>0$ を満たす。 したがって、$xy$ の最大値は $\frac{c^2}{4}$ であり、与式の最小値は、

$$ 1 + \frac{c+1}{\frac{c^2}{4}} = 1 + \frac{4(c+1)}{c^2} = \frac{c^2+4c+4}{c^2} = \frac{(c+2)^2}{c^2} $$

となる。

(2) $x, y, z$ は正の実数で $x+y+z=1$ を満たすので、$x+y = 1-z$ であり、$x>0, y>0$ より $1-z>0$ すなわち $0<z<1$ となる。 (1) の結果において、$c = 1-z$ とおくと、

$$ \left(1+\frac{1}{x}\right)\left(1+\frac{1}{y}\right) \ge \frac{(1-z+2)^2}{(1-z)^2} = \frac{(3-z)^2}{(1-z)^2} $$

が成り立つ。等号成立は $x=y=\frac{1-z}{2}$ のときである。 ここで、与式の第3の因数 $1-\frac{4}{3z}$ の符号を調べる。 $0<z<1$ より $0<3z<3$ であるため、

$$ \frac{4}{3z} > \frac{4}{3} > 1 $$

となり、

$$ 1-\frac{4}{3z} < 0 $$

であることが分かる。 したがって、先ほどの不等式の両辺に負の数 $\left(1-\frac{4}{3z}\right)$ を掛けると、不等号の向きが反転し、

$$ \left(1+\frac{1}{x}\right)\left(1+\frac{1}{y}\right)\left(1-\frac{4}{3z}\right) \le \frac{(3-z)^2}{(1-z)^2} \left(1-\frac{4}{3z}\right) $$

となる。この右辺を $f(z)$ とおき、$0<z<1$ における $f(z)$ の最大値を求める。

$$ f(z) = \left(\frac{3-z}{1-z}\right)^2 \left(1-\frac{4}{3z}\right) $$

両辺を $z$ で微分する。積の微分法と合成関数の微分法を用いる。

$$ \left(\frac{3-z}{1-z}\right)' = \left(1+\frac{2}{1-z}\right)' = \frac{2}{(1-z)^2} $$

$$ \left(1-\frac{4}{3z}\right)' = \frac{4}{3z^2} $$

これらを用いると、

$$ \begin{aligned} f'(z) &= 2\left(\frac{3-z}{1-z}\right) \cdot \frac{2}{(1-z)^2} \left(1-\frac{4}{3z}\right) + \left(\frac{3-z}{1-z}\right)^2 \frac{4}{3z^2} \\ &= \frac{3-z}{1-z} \left\{ \frac{4(3z-4)}{3z(1-z)^2} + \frac{4(3-z)}{3z^2(1-z)} \right\} \\ &= \frac{3-z}{1-z} \cdot \frac{4z(3z-4) + 4(3-z)(1-z)}{3z^2(1-z)^2} \\ &= \frac{3-z}{1-z} \cdot \frac{12z^2 - 16z + 4(z^2 - 4z + 3)}{3z^2(1-z)^2} \\ &= \frac{3-z}{1-z} \cdot \frac{16z^2 - 32z + 12}{3z^2(1-z)^2} \\ &= \frac{3-z}{1-z} \cdot \frac{4(4z^2 - 8z + 3)}{3z^2(1-z)^2} \\ &= \frac{4(3-z)(2z-1)(2z-3)}{3z^2(1-z)^3} \end{aligned} $$

$0<z<1$ において、$\frac{4(3-z)}{3z^2(1-z)^3} > 0$ かつ $2z-3 < 0$ であるため、$f'(z)$ の符号は $-(2z-1)$ の符号と一致する。 よって、$f'(z)=0$ となるのは $z=\frac{1}{2}$ のときであり、増減は以下のようになる。

$z$ $(0)$ $\cdots$ $\frac{1}{2}$ $\cdots$ $(1)$
$f'(z)$ $+$ $0$ $-$
$f(z)$ $\nearrow$ 極大 $\searrow$

したがって、$f(z)$ は $z=\frac{1}{2}$ のとき極大かつ最大となる。 最大値は、

$$ f\left(\frac{1}{2}\right) = \left(\frac{3-\frac{1}{2}}{1-\frac{1}{2}}\right)^2 \left(1-\frac{4}{\frac{3}{2}}\right) = 5^2 \left(1-\frac{8}{3}\right) = 25 \cdot \left(-\frac{5}{3}\right) = -\frac{125}{3} $$

このとき、等号成立条件 $x=y=\frac{1-z}{2}$ に $z=\frac{1}{2}$ を代入すると、$x=y=\frac{1}{4}$ となり、$x, y, z$ はいずれも正の実数で $x+y+z=1$ を満たす。 よって、求める最大値は $-\frac{125}{3}$ である。

解法2

(1) の別解 与式を展開するところまでは解法1と同じである。

$$ \left(1+\frac{1}{x}\right)\left(1+\frac{1}{y}\right) = 1 + \frac{c+1}{xy} $$

条件より $y = c-x$ である。$x>0, y>0$ より $0 < x < c$ となる。 これを分母の $xy$ に代入すると、

$$ xy = x(c-x) = -x^2 + cx = -\left(x-\frac{c}{2}\right)^2 + \frac{c^2}{4} $$

となる。$0 < x < c$ の範囲において、2次関数 $xy$ は $x = \frac{c}{2}$ のとき最大値 $\frac{c^2}{4}$ をとる。(このとき $y = \frac{c}{2}$ となり条件を満たす) 式全体は $xy$ が最大となるときに最小となるため、求める最小値は、

$$ 1 + \frac{c+1}{\frac{c^2}{4}} = \frac{(c+2)^2}{c^2} $$

となる。

解説

不等式の証明や最大・最小問題において、条件式を活用して文字を減らす方針は定石である。 (1) では $x+y=c$ という対称な条件が与えられているため、相加・相乗平均の大小関係が有効に働く。2次関数に帰着させる別解のように、1変数関数として処理することも自然な発想である。 (2) は本問の大きな罠が潜んでいる。$(1+\frac{1}{x})(1+\frac{1}{y})$ の最小値を利用して式の値を上から評価しようとするとき、掛け合わせる $1-\frac{4}{3z}$ が「負の値」をとることに気づけるかが鍵となる。負の数を掛けると不等号の向きが変わるという不等式の基本性質を、文字式を扱う際にも忘れずに確認する慎重さが求められる。 微分の計算については、そのまま商の微分法を適用すると計算が煩雑になりやすいため、積の微分法や対数微分法などを利用して工夫すると計算ミスを減らすことができる。

答え

(1)

$$ \frac{(c+2)^2}{c^2} $$

(2)

$$ -\frac{125}{3} $$

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