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東京大学 2015年 文系 第1問 解説

数学1/方程式不等式数学2/微分法数学A/整数問題テーマ/不等式の証明
東京大学 2015年 文系 第1問 解説

方針・初手

命題 A は、与えられた不等式を満たさない正の整数 $n$ が存在するかどうかを調べる。両辺から式をまとめ、関数として捉えて微分により最小値を考えることで、反例の目星をつける。

命題 B は、条件式を用いて示すべき不等式の変数を減らす。$l$ を消去して $n, m$ の2変数の式とし、各変数が整数であることを用いてとりうる値の範囲を評価する。

解法1

命題 A について

与えられた不等式 $\frac{n^3}{26} + 100 \geqq n^2$ の分母を払い整理すると、

$$ n^3 - 26n^2 + 2600 \geqq 0 $$

実数 $x$ に対する関数 $f(x) = x^3 - 26x^2 + 2600$ を考える。 $f(x)$ を微分すると、

$$ f'(x) = 3x^2 - 52x = x(3x - 52) $$

$x > 0$ において $f'(x) = 0$ となるのは $x = \frac{52}{3} = 17.3\dots$ のときである。 したがって、$x > 0$ の範囲で $f(x)$ は $x = \frac{52}{3}$ で極小かつ最小となる。 $n$ は正の整数であるから、$f(n)$ が最小となり得るのは $n=17$ または $n=18$ のときである。

$n=17$ のとき、

$$ \begin{aligned} f(17) &= 17^3 - 26 \cdot 17^2 + 2600 \\ &= 17^2(17 - 26) + 2600 \\ &= 289 \cdot (-9) + 2600 \\ &= -2601 + 2600 \\ &= -1 \end{aligned} $$

$f(17) = -1 < 0$ となり、$n=17$ のとき与えられた不等式は成り立たない。 よって、命題 A は偽であり、反例は $n=17$ である。

命題 B について

条件式 $5n + 5m + 3l = 1$ より、

$$ 3l = 1 - 5n - 5m $$

これを示すべき不等式の左辺 $10nm + 3ml + 3nl$ に代入し、$l$ を消去する。

$$ \begin{aligned} 10nm + 3l(m + n) &= 10nm + (1 - 5n - 5m)(m + n) \\ &= 10nm + (m + n) - 5(m + n)^2 \\ &= 10nm + m + n - 5(m^2 + 2mn + n^2) \\ &= -5n^2 + n - 5m^2 + m \end{aligned} $$

ここで、整数 $x$ に対する関数 $g(x) = -5x^2 + x$ を考える。

$$ g(x) = -x(5x - 1) $$

$x$ が整数のとき、$g(x)$ のとりうる値を調べると、 $x=0$ のとき、$g(0) = 0$ $x \geqq 1$ のとき、$x > 0$ かつ $5x-1 > 0$ より $g(x) < 0$ $x \leqq -1$ のとき、$x < 0$ かつ $5x-1 < 0$ より $g(x) < 0$

したがって、任意の整数 $x$ において $g(x) \leqq 0$ であり、等号が成立するのは $x=0$ のときのみである。

先ほど変形した式は $g(n) + g(m)$ と表せる。 $n, m$ は整数であるから、

$$ -5n^2 + n - 5m^2 + m = g(n) + g(m) \leqq 0 $$

等号が成立するのは、$g(n)=0$ かつ $g(m)=0$、すなわち $n=0$ かつ $m=0$ のときのみである。 しかし、$n=0, m=0$ のとき、条件式 $5n + 5m + 3l = 1$ に代入すると $3l = 1$ となり、これを満たす整数 $l$ は存在しない。 したがって、与えられた条件を満たす整数 $n, m, l$ において $n=m=0$ となることはないため、等号は成立しない。

よって、$g(n) + g(m) < 0$ が示された。 すなわち、$10nm + 3ml + 3nl < 0$ が成り立つので、命題 B は真である。

解説

命題 A は、一見すると常に成り立ちそうな不等式に反例が存在することを示す問題である。無作為に値を代入するのではなく、実数の連続関数として捉え、微分を用いて最小値の候補を絞り込むアプローチが確実である。

命題 B は、条件付きの不等式の証明である。等式条件を用いて変数を減らすのが基本方針となる。残った2変数の式が「それぞれの変数についての独立した関数の和」として表せることに気づけば、各変数が整数のときの関数の最大値を考えることで証明できる。不等式の等号成立条件と元の条件式とが両立しないことを指摘する論証がポイントである。

答え

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