数学1 二次方程式の解の存在範囲 問題 7 解説

方針・初手
- (1) は2次方程式が異なる2つの実数解をもつ条件であるから、判別式 $D>0$ を示す。
- (2) は解の符号に関する問題である。解と係数の関係、あるいは2次関数のグラフの軸の位置からアプローチする。
- (3) は解の配置問題である。特定の $x$ の値(ここでは $x=a$)を2次関数に代入したときの符号を調べることと、解と係数の関係を組み合わせて大小を比較する。
解法1
(1)
与えられた2次方程式 $x^2 - (a+b)x + ab - cd = 0$ の判別式を $D$ とすると、
$$ \begin{aligned} D &= \{-(a+b)\}^2 - 4 \cdot 1 \cdot (ab - cd) \\ &= a^2 + 2ab + b^2 - 4ab + 4cd \\ &= a^2 - 2ab + b^2 + 4cd \\ &= (a-b)^2 + 4cd \end{aligned} $$
$a, b, c, d$ は正の実数であるから、$(a-b)^2 \ge 0$ かつ $c > 0, d > 0$ より $cd > 0$ である。 したがって、
$$ D = (a-b)^2 + 4cd > 0 $$
となり、この2次方程式は異なる2つの実数解をもつ。
(2)
方程式の2つの実数解を $\alpha, \beta$ とする。 解と係数の関係より、
$$ \alpha + \beta = a + b $$
が成り立つ。 $a, b$ は正の実数であるから、$a + b > 0$ であり、
$$ \alpha + \beta > 0 $$
となる。 もし、2つの解 $\alpha, \beta$ がともに正でない($\alpha \le 0$ かつ $\beta \le 0$)と仮定すると、$\alpha + \beta \le 0$ となり矛盾する。 したがって、2つの解のうち少なくとも1つは必ず正の数である。
(3)
$f(x) = x^2 - (a+b)x + ab - cd$ とおく。
(1) より、$f(x) = 0$ は異なる2つの実数解 $\alpha, \beta \ (\alpha < \beta)$ をもつため、放物線 $y = f(x)$ は $x$ 軸と2点 $(\alpha, 0), (\beta, 0)$ で交わる。 $x^2$ の係数が正であるから、$f(x) < 0$ となる $x$ の範囲は $\alpha < x < \beta$ である。
ここで、$x = a$ を $f(x)$ に代入すると、
$$ \begin{aligned} f(a) &= a^2 - (a+b)a + ab - cd \\ &= a^2 - a^2 - ab + ab - cd \\ &= -cd \end{aligned} $$
$c > 0, d > 0$ より $cd > 0$ であるから、$f(a) = -cd < 0$ となる。 これより、$a$ は $f(x) < 0$ となる範囲に含まれるため、
$$ \alpha < a < \beta \quad \cdots \text{①} $$
が成り立つ。
また、解と係数の関係より $\alpha + \beta = a + b$ であり、条件より $\alpha > 0$ であるから、
$$ \begin{aligned} (a+b) - \beta &= (\alpha + \beta) - \beta \\ &= \alpha > 0 \end{aligned} $$
したがって、
$$ \beta < a+b \quad \cdots \text{②} $$
①、②より、求める大小関係は
$$ \alpha < a < \beta < a+b $$
である。
解法2
(2)の別解
$f(x) = x^2 - (a+b)x + ab - cd$ とおく。 $y = f(x)$ のグラフは下に凸の放物線であり、その軸の方程式は平方完成などから
$$ x = \frac{a+b}{2} $$
となる。 $a > 0, b > 0$ より、$\frac{a+b}{2} > 0$ であるから、放物線の軸は $y$ 軸より右側(正の領域)にある。
また、(1) より $y = f(x)$ のグラフは $x$ 軸と異なる2点で交わる。 この2つの交点の $x$ 座標が方程式の解であるが、軸が正の領域にあることから、2つの交点のうち少なくとも大きい方の $x$ 座標(右側の交点)は必ず正となる。 したがって、2つの解のうち少なくとも1つは必ず正の数である。
解説
- 2次方程式の解の判別、符号、解の配置といった基本事項を総合的に問う問題である。
- (1) の判別式における平方完成による正の証明は典型的な処理である。
- (2) は解と係数の関係を用いて和の符号から背理法的に示すか、グラフの軸の位置から図形的に示すのが簡明である。
- (3) で解と特定の数の大小関係を調べる際、2次関数 $f(x)$ にその数を代入した値の符号に着目するのは、解の配置問題における最も重要な定石である。$f(a) < 0$ から直ちに $\alpha < a < \beta$ が導ける。また、もう一つの関係式には解と係数の関係を活用する。
答え
- (1) 判別式 $D = (a-b)^2 + 4cd > 0$ より示された。
- (2) 解と係数の関係より $\alpha + \beta = a + b > 0$ となることから示された。
- (3) $\alpha < a < \beta < a+b$
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