京都大学 1962年 理系 第4問 解説

方針・初手
問題の条件「グラフが下側に出ない」を不等式で表す。 与えられた範囲 $-\infty < x \leqq c$ において、不等式 $x(x-a)(b-x) \geqq px^2 - qx$ が常に成り立つような正の定数 $p, q$ の条件を調べる。 特に、$x=0$ の前後での符号に注目する。
解法1
$x \leqq c$ の範囲において、3次関数のグラフが2次関数のグラフの下側に出ないための条件は、
$$ x(x-a)(b-x) \geqq px^2 - qx $$
が常に成り立つことである。 この不等式を整理すると、
$$ x \{ (x-a)(b-x) - (px-q) \} \geqq 0 $$
$$ x \{ -x^2 + (a+b)x - ab - px + q \} \geqq 0 $$
$$ -x^3 + (a+b-p)x^2 - (ab-q)x \geqq 0 $$
$$ x \{ -x^2 + (a+b-p)x - (ab-q) \} \geqq 0 $$
となる。 ここで、$f(x) = x \{ -x^2 + (a+b-p)x - (ab-q) \}$ とおく。 条件は、$x \leqq c$ において常に $f(x) \geqq 0$ が成り立つことである。
(i)
$ab - q \neq 0$ の場合
$x \to 0$ とするときの $f(x)$ の振る舞いを考える。 $x$ が $0$ に十分近いとき、$x^2$ や $x^3$ の項に比べて1次の項 $-(ab-q)x$ の影響が支配的になる。 もし $ab - q > 0$ ならば、$x > 0$ かつ $x$ が十分に小さいとき $f(x) < 0$ となり、条件を満たさない($a, b, c$ は正の定数なので、$c>0$ より $x \leqq c$ の範囲には正の数が含まれる)。 もし $ab - q < 0$ ならば、$x < 0$ かつ $|x|$ が十分に小さいとき $f(x) < 0$ となり、条件を満たさない。 したがって、常に $f(x) \geqq 0$ となるためには $ab - q = 0$ が必要である。 すなわち、$q = ab$ となる。
(ii)
$q = ab$ の場合
$q = ab$ を $f(x)$ に代入すると、
$$ f(x) = x \{ -x^2 + (a+b-p)x \} = x^2 (a+b-p-x) $$
となる。 条件は、$x \leqq c$ において $x^2 (a+b-p-x) \geqq 0$ が成り立つことである。 $x^2 \geqq 0$ は常に成り立つので、不等式が成立する条件は、任意の $x \leqq c$ に対して
$$ a+b-p-x \geqq 0 $$
すなわち
$$ x \leqq a+b-p $$
が成り立つことである。 「$x \leqq c$ ならば常に $x \leqq a+b-p$ が成り立つ」ための必要十分条件は、
$$ c \leqq a+b-p $$
すなわち
$$ p \leqq a+b-c $$
である。
以上より、条件を満たす $p, q$ の範囲は
$$ q = ab \quad \text{かつ} \quad p \leqq a+b-c $$
である。 ここで、$p, q$ は正の定数である。 $a, b$ は正の定数であるから、$q = ab > 0$ は常に満たされる。 一方、$p > 0$ であるから、$p$ は
$$ 0 < p \leqq a+b-c $$
を満たす必要がある。
この不等式を満たす正の定数 $p$ が存在するかどうかは、$a+b-c$ の符号によって変わる。
・$a+b-c \leqq 0$ (すなわち $a+b \leqq c$)のとき $0 < p \leqq a+b-c$ を満たす正の定数 $p$ は存在しない。
・$a+b-c > 0$ (すなわち $a+b > c$)のとき $q = ab$ と一意に定まるが、$p$ は $0 < p \leqq a+b-c$ を満たす任意の正の実数となるため、値は一つに定まらない。
解説
不等式が常に成り立つ条件を求める問題である。 関数が $x=0$ で $0$ になることに着目すると、$x=0$ をまたぐ前後で符号が変わらないための条件から係数を決められる。 $x=0$ の近くでの振る舞いを見ることで、1次の係数が $0$ でなければならないこと、すなわち $q=ab$ が導かれる。 そのうえで、「存在しない場合」と「無数に存在して一意に定まらない場合」を分けて吟味する流れになる。
答え
$a+b \leqq c$ のとき、条件を満たす正の定数 $p$ は存在しない。 $a+b > c$ のとき、$q = ab$ と定まるが、正の定数 $p$ は $0 < p \leqq a+b-c$ の範囲に無数に存在し、一意に定まらない。 したがって、いずれの場合も正の定数 $p, q$ の値を求めることはできない。
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