数学2 多項定理 問題 5 解説

方針・初手
多項定理を用いて展開式の一般項を書き出し、各項の次数に着目して $x^5$ となるような指数の組み合わせ(不定方程式)を解く。 あるいは、カッコ内を通分して $\frac{1}{x^7}$ をくくり出し、分子の展開式から特定の次数の項を抽出するという見方も有効である。
解法1
多項定理より、$\left(x^2+x-\frac{1}{x}\right)^7$ の展開式における一般項は、以下のようになる。
$$\frac{7!}{p!q!r!} (x^2)^p x^q \left(-\frac{1}{x}\right)^r$$
ただし、$p, q, r$ は $0$ 以上の整数であり、
$$p+q+r=7$$
を満たす。
一般項を $x$ の累乗の形に整理する。
$$\frac{7!}{p!q!r!} x^{2p} x^q (-1)^r x^{-r} = \frac{7!}{p!q!r!} (-1)^r x^{2p+q-r}$$
これが $x^5$ の項となる条件は、指数の部分を比較して
$$2p+q-r=5$$
である。
$p+q+r=7$ より $q = 7-p-r$ となり、これを上の式に代入する。
$$2p+(7-p-r)-r=5$$
$$p-2r=-2$$
$$p=2(r-1)$$
$p \geqq 0$ であるから $2(r-1) \geqq 0$ となり、$r \geqq 1$ を得る。 また、$p+r \leqq 7$ であるから、$2(r-1)+r \leqq 7$ より $3r \leqq 9$、すなわち $r \leqq 3$ となる。 したがって、$r$ のとり得る値は $r=1, 2, 3$ に絞られる。
それぞれの場合について $p, q$ を求める。
(i) $r=1$ のとき $p = 2(1-1) = 0$ $q = 7-0-1 = 6$ このとき係数は
$$\frac{7!}{0!6!1!} (-1)^1 = -7$$
(ii) $r=2$ のとき $p = 2(2-1) = 2$ $q = 7-2-2 = 3$ このとき係数は
$$\frac{7!}{2!3!2!} (-1)^2 = \frac{7 \cdot 6 \cdot 5 \cdot 4}{2 \cdot 1 \cdot 2 \cdot 1} \cdot 1 = 210$$
(iii) $r=3$ のとき $p = 2(3-1) = 4$ $q = 7-4-3 = 0$ このとき係数は
$$\frac{7!}{4!0!3!} (-1)^3 = \frac{7 \cdot 6 \cdot 5}{3 \cdot 2 \cdot 1} \cdot (-1) = -35$$
以上より、求める $x^5$ の係数はこれらの和となる。
$$-7 + 210 - 35 = 168$$
解法2
カッコ内の式を通分して変形する。
$$\left(x^2+x-\frac{1}{x}\right)^7 = \left(\frac{x^3+x^2-1}{x}\right)^7 = \frac{1}{x^7} (x^3+x^2-1)^7$$
この式において $x^5$ の係数を求めることは、$(x^3+x^2-1)^7$ の展開式において $x^{12}$ の係数を求めることと同値である。
$(x^3+x^2-1)^7$ の一般項は、$0$ 以上の整数 $p, q, r$ を用いて
$$\frac{7!}{p!q!r!} (x^3)^p (x^2)^q (-1)^r = \frac{7!}{p!q!r!} (-1)^r x^{3p+2q}$$
ただし、
$$p+q+r=7$$
である。
$x^{12}$ の項となる条件は
$$3p+2q=12$$
である。これを $q$ について解くと
$$2q = 12-3p$$
$$q = 6 - \frac{3}{2}p$$
$q$ は $0$ 以上の整数であるから、$p$ は偶数でなければならない。 また、$q \geqq 0$ より $6 - \frac{3}{2}p \geqq 0$ すなわち $p \leqq 4$ である。 したがって、$p$ のとり得る値は $p=0, 2, 4$ となる。
(i) $p=0$ のとき $q = 6$、$r = 7-0-6 = 1$ 係数は
$$\frac{7!}{0!6!1!} (-1)^1 = -7$$
(ii) $p=2$ のとき $q = 3$、$r = 7-2-3 = 2$ 係数は
$$\frac{7!}{2!3!2!} (-1)^2 = 210$$
(iii) $p=4$ のとき $q = 0$、$r = 7-4-0 = 3$ 係数は
$$\frac{7!}{4!0!3!} (-1)^3 = -35$$
求める係数はこれらの和となる。
$$-7 + 210 - 35 = 168$$
解説
多項定理の一般項の扱いと、条件を満たす整数の組を過不足なく見つけ出す力が問われる標準的な問題である。 解法1のようにそのまま扱うのが素直だが、不定方程式を解く際に文字の消去や不等式による絞り込みを丁寧に行う必要がある。 解法2のように、分母を先にくくり出して多項式の展開に帰着させる手法は、分数が混ざる展開式では計算のミスを減らし、見通しを良くする有力なテクニックである。今回は $3p+2q=12$ となり、偶奇性から $p$ の値をすぐに絞り込めるため、より簡明に解くことができる。
答え
168
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